アメリカ、ヨーロッパ、日本、韓国の自動車メーカーが工場を構え
ブリヂストン/ファイアストンのお膝元としての顔もあるナッシュビル
テネシー州ナッシュヴィルでのレースはNTTインディーカー・シリーズで最も新しいストリート・レースだ。
“ミュージック・シティ”と呼ばれ、アメリカにおける音楽の都として名を馳せてきているテネシー州々都だが、音楽以外にもセールス・ポイントを持ち、より一層の発展を遂げたいということで、2021年からダウンタウンを舞台としたストリート・レースを開催し始めた。全米にレースがテレビ放映され、街の名前が改めて世に知られることで新たな企業の誘致などのきっかけを作りたい……ということなのだろう。
アメリカ南部には米欧日韓の自動車メーカーの生産工場がある。ブリヂストン/ファイアストンは、工場を持つ上に本社をオハイオ州アクロンからナッシュヴィルへと移している。ナッシュヴィルでのレースはインディーカーにタイヤを単独供給するブリヂストン/ファイアストンとっても大きな意味を持つイヴェントだ。
他に例を見ない渡河レイアウトをもつストリート・コース
全体的にコース幅が狭く、過去2レースではマルチクラッシュ発生
ナッシュヴィルという街は、緩やかに蛇行する大河=カンバーランド川沿いに展開している。そこで、インディーカー用ストリート・コースは、世界でも珍しい川を渡るレイアウトが採用された。コース全長は2.1マイル。コーナー数は11。パドックとピット・エリアはNFLのテネシー・タイタンズが本拠地としているニッサン・スタジアム(6万7,700人収容)の駐車場が利用されている。
コースに使用される橋は川の中央部が最も高いデザインのため、両岸にハード・ブレーキング・スポットがあり、そこがパッシング・ゾーンになっている。それ以外の部分はほぼフラットで、直角コーナーばかり。全体的にコース幅はタイトで、ひとりが無理をしたがために多重クラッシュが引き起こされて……というシーンが過去2回のレースでは見られた。チャンピオン争いをする面々には厄介なレースだと言える。
過去のウィナー
2022 スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)
2021 マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)
*なぜか2年続けてウィナーはチップ・ガナッシ・レーシング/ホンダが輩出
過去の決勝トップ3
2022 優勝:ディクソン 2位:スコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー/シヴォレー) 3位:アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)
2021 優勝:エリクソン 2位:ディクソン 3位:ジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・スタインブレナー・オートスポート/ホンダ)
過去のポール・ポジション・ウィナー
2022 マクロクリン 1分14秒5555
2021 コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン/ホンダ) 1分13秒6835
*2戦だけのデータだが、PPからは勝てていない
過去のファイストン・ファスト6
2022 PP:マクロクリン
2位:ロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)
3位:クリスチャン・ルンドガールド(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)
4位:パロウ
5位:パト・オーワード(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)
6位:ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー/シヴォレー)
2021 PP:ハータ
2位:ディクソン
3位:パロウ
4位:アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)
5位:フェリックス・ローゼンクイスト(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)
6位:ロマイン・グロジャン(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD/ホンダ)
*ナッシュヴィルといえばジョセフ・ニューガーデン。彼はヘンダーソンヴィルというナッシュヴィル郊外の出身だ。
二度のシリーズ・タイトル獲得を誇るニューガーデンは、念願のインディー500優勝を達成してから初の凱旋。彼に贈られる声援、今年は一際高くなることだろう。しかし、ニューガーデンはホームタウンの期待を一身に集めて……という戦いで、初開催の2021年は予選12位/決勝10位という結果を出すにとどまり、2022年は予選6位/決勝も6位と、2年とも期待にそぐわぬ結果しか残せていない。
今年はどうなるか? ニューガーデンは前々戦からの2連勝(アイオワのダブルヘダーをスウィープ)でポイント・リーダーのパロウとの差を大きく縮めたところ。地元のレースで勝利すればパロウと並ぶ3連勝で、さらに流れを引き寄せることになるが……。
Jack Amano
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