Photo:Penske Entertainment (Chris Owens)
ミッド・オハイオでいよいよ今シーズンも折り返し点!
2023年のNTTインディーカー・シリーズは全17戦。ミッド・オハイオ・スポーツ・カー・コースで6月30日から7月2日に行われるのがその第9戦で、シーズンのちょうど折り返し点となる。
ミッド・オハイオでのレースの正式名称は、ホンダ・インディー200アット・ミッド・オハイオ・プレゼンテッド・バイ・ザ・2023アコード・ハイブリッドだ。ホンダのアメリカでの主力車種であるアコードが2023年にフル・モデル・チェンジして登場する(2リッター・ハイブリッド・モデルと1.5リッター・ガソリン・ターボ・エンジン・モデルあり)ということで……。去年のレースは、プレゼンテッド・バイ・ジ・オール・ニュー2023シヴィック・タイプRだった。
ホンダ、第2のホーム・レース
アップダウンが激しく、マシンセットアップが大きなカギに
ミッド・オハイオのあるレキシントンという小さな町は、オハイオ州の大都市コロンバスのほぼ真北60マイルの位置にあるが、コロンバスの北西部にはアコードを生産するメアリーズヴィル工場、エンジン用、トランスミッション用など、ホンダの工場が幾つもある。アメリカン・ホンダにとってオハイオ州の中心部はカリフォルニアに次ぐ第二の故郷で、ミッド・オハイオでのレースはGPオヴ・ロング・ビーチに次ぐ第二のホーム・レースだと言える。ロング・ビーチにはアメリカン・ホンダ本社やHPDで働く人々とその家族、ミッド・オハイオではファクトリーに務めている人々が家族連れでレース観戦に訪れる。
ミッド・オハイオは1962年にオープンしたロード・コースで、全長は2.258マイル。コーナー数は13(左4、右9)だ。時計周りで、メイン・ストレートは365.76メートルと短いが、バック・ストレッチは914.4メートルと長く、レースの最初のスタートだけはバッック・ストレッチで切られる。
メイン・ストレート・エンドから高速左コーナーを駆け抜けるとメイン・ストレートとほぼ同じ長さのストレートがあり、その先がホース・シュー(馬蹄)と呼ばれる降りながらのヘアピン。その先がバック・ストレッチで、その後半は少し下り勾配。ストレート・エンドの右コーナーからS字セクションは結構な上りで、S字のトップからまた一気に下って……とアップ&ダウンが激しいのがミッド・オハイオのコースだ。コーナーのヴァリエーションは豊富で、路面もコーナーのストレスがかかる部分にコンクリートが使用されていたり、とマシンをハイ・レヴェルにまとめ上げるのが難しいコースだ。
現在、ペンスキー勢が3連覇中、その前はホンダ勢が3連覇
そして、スコット・ディクソンはなんとミッド・オハイオで6勝!
過去のウィナー
2022 スコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー/シヴォレー)
2021 ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー/シヴォレー)
2020 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー/シヴォレー)
2020 コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン/ホンダ)
2019 スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)
2018 アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)Photo:Penske Entertainment (Chris Owens)
昨年のレースはマクロクリンがアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)を0.5512秒差で封じ込めての優勝。3位は予選21位だったパワー(!)
6回ものフル・コース・コーションが出される荒れたレースでもあった。
2018年からホンダ勢が3チームによる3連勝を飾った後、3シーズン続けてチーム・ペンスキー/シヴォレーが3人のドライヴァーで3連勝中。今年はペンスキー勢の4連勝がなるのか、誰かがそれを阻むのか。
下のリストで振り返るのは現行マシンと仕様が大きく変わらない2018年までのウィナー&その他の情報とするが、ミッド・オハイオといえばスコット・ディクソンということは記しておくべきだろう。2007、2009、2011、2012、2014、2019年と彼は6回も優勝している。
コロンバスが地元のレイホールの活躍にも注目
パワーが1回しか勝ったことのないミッド・オハイオだが、コロンバスが地元のグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)は2015年に優勝しており、地元ファンから大喝采を浴びた。彼の父ボビー・レイホール(当然、彼もコロンバスが地元)も1983、1984年に連勝している。期待もプレッシャーも大きい地元のレースで勝つことのできるドライヴァーは決して多くはない。それはひとつの大きな能力だと言える。グレアムにはそれが備わっていた。もう何年も苦戦続きのレイホール二世だが、今年はRLLのロードコース用セッティングに向上の兆しが見えているので、相性が良く、思い入れも大きいコースで1ステップのレヴェル・アップを果たし、好結果に結びつけたいところだろう。
歴代ポール・ポジションは以下の通り。
2022年 パト・オーワード(アロウ・マクラーレン/シヴォレー) 01:06.7054
2021年 ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー/シヴォレー) 01:06.6739
2020年 コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン/ホンダ) 01:26.2788
2020年 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー/シヴォレー) 01:06.6739
2019年 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー/シヴォレー) 01:05.1569
2018年 アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ) 01:04.6802
コース・レコードは2016年のシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー/シヴォレー)による 01:03.8700 だ。
ペンスキーとマクラーレン、ガナッシとアンドレッティの4強はやはり盤石
カークウッドとアームストロングのパフォーマンスにも注目
昨年のポールシッター、オーワードは決勝でも快走を見せたがトランスミッションが壊れてリタイア Photo:Penske Entertainment (Chris owens) |
今年のロード・レースを振り返ると、バーバー・モータースポーツ・パークがマクロクリン、インディアナポリス/ロード・コースとロード・アメリカではパロウが優勝して来ている。ペンスキー勢1勝vs.ガナッシ勢2勝=シヴォレー1勝vs.ホンダ2勝。
今年のロード・コースで表彰台に上った面々(ウィナー以外)を見渡すと、
オーワードが2位1回、3位1回
ロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)が2位1回
ニューガーデンも2位1回
パワーが3位1回で、
アレクサンダー・ロッシ(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)も3位1回
去年までのミッド・オハイオでのトップ3(ウィナー除く)を見ると、
パロウが2位1回、3位1回
フェリックス・ローゼンクイスト(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)が2位1回
パワーが3位2回
ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)も3位2回
マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)が3位1回
ロッシも3位1回ポイントリーダーのパロウは、昨年のミッド・オハイオでは2位。予選ではファスト6進出を逃したものの、巧みなタイヤタクティクスとドライビングで、最後までマクロクリンと優勝を争った Photo:Penske Entertainment (Chris owens)
マクラーレンとペンスキーは、ともに走らせる3人全員が速いだろう。ガナッシとアンドレッティもほぼ同様。どのコースでも奮闘してきているカイル・カークウッド(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)、ロード・アメリカで好パフォーマンスを見せたガナッシのルーキー=マーカス・アームストロングに注目したい。
グロジャンにもある意味で注目。開幕4戦で2位2回と絶好調だったが、インディー500からアクシデントが多過ぎるシーズンになっているので、そろそろ巻き返さなねばならない。
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダは、とうとうスポーツ・カー・チームも含めて全面的にインディアナポリス郊外へと本拠地を移してしまったが、コロンバスを本拠地としていたチームとして今年も人気を博すことだろう……が、エンジニアリング部門でもマネジメント部門でもインディー500惨敗の責任問題によってチームから放出、もしくは自ら離脱している人材がいるとか、いないとか(チームは未だ発表していない)。チームの立て直しに今季終了後に改めて取り組まねばならないようだ。
RLLは去ったが、オハイオ州コロンバスには今も本拠地を置いているチームがある。コロンバスの東側に長年ショップを構えているのは、2021年にインディーカー・シリーズでの初勝利をインディー500で飾ったメイヤー・シャンク・レーシング/ホンダだ。マイケル・シャンク率いるチームは、ステップ・アップ・フォーミュラ・カー・シリーズとスポーツ・カー・レースで実績を積み重ね、長い長い年月を経てインディーカーへと進出してきた。彼らの苦闘の歴史を知っている熱心なファンがミッド・オハイオには数多く集まり、エリオ・カストロネヴェスとシモン・パジェノー、ふたりのヴェテランに声援を贈ることになる。
以上
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