前夜の雨でタイヤ・ラバーが流れてコンディションが変化
バーバー・モータースポーツ・パークは朝から快晴。しかし、午前11時スタートのファイナル・プラクティス=ウォーム・アップ・セッション中の気温は19〜20℃。風があり、やや肌寒く感ずるほどのコンディションだった。
昨日の晩に予報の通りに雨があったため、コースのタイヤ・ラバーは流されてしまっていたが、30分間のセッションでは出場27台の多くがソフト・コンパウンドのレッド・タイヤ=オルタネート・タイヤでの走行を多めに行い、アレクサンダー・ロッシ(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)が走行時間の終わりが近づいた頃、1分06秒6677の最速ラップをマークした。彼はこのセッション中に20周を走ったが、その17周目にベストは記録された。
2番手に来たのはコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン/ホンダ)で、自己ベストの1分06秒7922を記録したのはレッド・タイヤだった。
プライマリーもオルタネートも新スペック
タイヤの耐久性に関しては全チームが未知数
ファイアストンが今回供給しているタイヤは、ブラックもレッドも昨年よりグリップ力の高い(しかし、耐久性は低い)仕様となっていて、どのチームもどちらにどの程度のデグラデーションに見舞われるのかを充分に把握していない。レッドは誰もが金曜のプラクティス終盤と予選で使ったのみ。それも、金曜のプラクティス1は赤旗が続出したため、ほとんどのチームが予定していたよりもレッドでこなせたラップ数は少なくなっていたはずだ。予選でファイナルに進んだ面々はユーズド・レッドでのアタックも行ったので少し多めのデータを手にしたが、他は5〜6周の連続周回しかやって来ていない。予選をファイナルまで戦えた場合、このようにデータ収集面で有利になることもあるということだ。 その一方、1セットのレッド投入のみでQ1敗退を喫したエントラントはレースでフレッシュ・レッドを1セット多く使え、それが優位を招くこともある。金曜のプラクティスで使ったレッド・タイヤ1セットをウォーム・アップで使用オーケイ、という新ルール採用は正解だ。ただ、難しいのはレッドの“持ち”が未知数であるからといって、レッドのデグラデーション評価ばかりをしているわけにも行かないところ。今日のウォーム・アップでは通常と比べてレッドで走る周回数がどのチームも多くなっていたが、レースではブラックが優位になる可能性もある。ブラック装着でのパフォーマンスを伸ばす方がもたらす効果が大きいケースも考えられる。
プライマリーとオルタネートの差をウォームアップでのデータからチェック
インディーカーやファイアストンのタイム・モニターを注視し続けても全ドライヴァーのタイヤ使用状況、ラップ・タイム、遭遇しているトラフィックを把握するのは至難。今回はチップ・ガナッシ・レーシングの4台と、モニター上位に来るエントラントの動向をチェックしてみた。
ガナッシ勢で最上位につけたのはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)。彼はセッションの前半はハード・コンパウンドのブラック・タイヤ=プライマリー・タイヤで15周ほどの連続走行を行い、そのセットでの9周目に1分07秒4429のベストを記録。残り8分頃にレッドへとスイッチし、その5周目に1分06秒8538を出してセッション3番手につけた。
アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)はセッション前半はモニター上位に来ることがなかったが、終盤になってから1分07秒2042をブラックで出して6番手に飛び込んで来た。彼はこのセッションでブラックの評価に重きを置いていたようだ。最終的にパロウのこのセッションでの順位は8番手となった。
マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)はディクソンと逆パターンで走っていた。彼のセッション・ベストとなった1分07秒5287は24周走行中の6周目で、レッドでの4ラップ目か5ラップ目=最終順位は16番手(どのチームも大抵はセッション開始直後はレース用タイヤのスカッフィングのために1、2ラップを走り、その後に予定したテストをこなす)。ディクソン(=ブラック)とエリクソン(=レッド)のラップ・タイム比較は以下の通り。
10周目:ディクソン=1分08秒6014 エリクソン=1分08秒6912
11周目:ディクソン=1分08秒6229 エリクソン=1分09秒1603
12周目:ディクソン=1分08秒4910 エリクソン=1分09秒2138
13周目:ディクソン=1分08秒4797 エリクソン=1分09秒3222
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15周目:ディクソン=1分07秒7092 エリクソン=1分09秒0861
16周目:ディクソン=1分08秒6192 エリクソン=1分09秒6732
ブラックのディクソンはよりコンシスタントで、11周目より15周目の方が速かった。反対にレッドのエリクソンは毎ラップ着実にラップ・タイムは落ちて行った。ブラックの方が安定感があり、レッドは短いスティントでないと威力を発揮しにくいかもしれない。もっとも、彼らのこの時のタイヤが、昨日までにそれぞれ何ラップずつをこなしたものなのかはわかっていない。午後になっても気温はあまり上がらなさそうだし、今年からファイアストン・タイヤ装着となっているインディーNXT(去年までのインディー・ライツ)のレースも行われるので、路面のグリップ・レヴェルは高くなり、レッドの摩耗具合が緩やかになることも考えられる。
ポールシッターのグロジャンはブラック装着で23番手タイム
セッション4番手はカイル・カークウッド(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)=1分06秒9723=レッド・タイヤ。5番手はジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー/シヴォレー)1分07秒0124=レッド・タイヤ。6番手はグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)=1分07秒0697=レッド・タイヤ。7番手は予選4位だったスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー/シヴォレー)=1分07秒1708=レッド・タイヤ。8番手は予選2位のパロウで、9番手はウィル・パワー(チーム・ペンスキー/シヴォレー)=1分07秒2155=レッド・タイヤ。そして、10番手はシモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング/ホンダ)=1分07秒2917=レッド・タイヤだった。
ポール・シッターのロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)はブラックでの1分07秒9639がベストで23番手。予選3位だったパト・オーワード(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)は1分07秒3352で13番手=レッド・タイヤ。
予選順位と比例しなかった今回のウォームアップのオーダー
ピット戦略で後方からポジションアップを図るドライバー出現の可能性も
このセッションでの順位と予選順位を比べたのが以下:
1 ロッシ=予選10位
2 ハータ=予選14位
3 ディクソン=予選5位
4 カークウッド=予選12位
5 ニューガーデン=予選7位
6 レイホール=予選19位
7 マクロクリン=予選4位
8 パロウ=予選2位
9 パワー=予選11位
10 パジェノー=予選16位
予選10位までのドライヴァーでウォーム・アップもトップ10入りしたドライヴァーは4人だけ。後方スタートでも速い……といいうドライヴァーが現れる可能性・大。タイヤ戦略、ピット回数とタイミングがどうなるかも興味深い。
以上
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