2023年4月25日火曜日

2023 INDYCARレポート R4 バーバー 事前テスト情報&プレビュー

3月のテストではマクロクリンがトップタイムをマークしている Photo:Penske Entertainment (Chris Owens)クリックして拡大

3月のプライヴェイト・テストはアンドレッティ、マクラーレン、RCRを除く
6チーム、合計16台が参加


 バーバー・モータースポーツ・パークは今年もシーズン最初の常設ロードコースでのレースとして開催される。開幕前だとアラバマ州あたりでもまだまだ寒いため、プライヴェイト・テストはセイント・ピーターズバーグでの開幕戦の後、3月14日に行われた。集まったのはチーム・ペンスキー/シヴォレー、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ、チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ、デイル・コイン・レーシング/ホンダ、メイヤー・シャンク・レーシング/ホンダ、フンコス・ホリンジャー・レーシング/シヴォレー、そしてAJ・フォイト・エンタープライゼス/シヴォレーの合計16台。



 ジャック・ハーヴィー(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)はセイント・ピーターズバーグでのレース中のアクシデントによってドクター・ストップがかけられて走れず。RRLは代役としてF2で2勝しているエストニア出身ドライヴァー、ユーリ・ヴィップスを走らせた。彼のインディーカー初ドライヴはフロリダ州セブリングのショート・コースで昨年10月にRLLですでに済まされており、チームに馴染みがあり、能力もわかっている彼が急遽採用された。

アンドレッティ勢は、今回はメイヤーシャンクにお任せ
フンコスと同様にアイオワでのテストを計画中


 アンドレッティ・オートスポート/ホンダ、アロウ・マクラーレン/シヴォレー、エド・カーペンター・レーシング/シヴォレーは参加しなかった。マクラーレンとカーペンターはバーバーで速さを見せて来ているので、他でテスト・デイを使用する考え。アンドレッティは技術提携しているメイヤー・シャンク・レーシングが今回2台を走らせたので、”残り2日あるテスト・デイは、おそらくアイオワとどこかで使う”とチーフ・オペレイティング・オフィサーのロブ・エドワーズは話していた。インディーNXTに出場している彼らはテスト・デイを1日多く貰えるルールとなっている。フンコス・ホリンジャーとフォイトはルーキーのみの走行とし、彼らもチームのプライヴェイト・テスト・デイをセイヴした。オーナーのリカルド・フンコスもアンドレッティと同様に“アイオワでのテストを計画中”と話していた。アイオワはダブルヘダーなので、テストする価値が高いのだ。フォイトの動向は不明。

 元ホンダ・パフォーマンス・デヴェロップメント副社長兼チーフ・オペレイティング・オフィサーだったスティーヴ・エリクセンをCOOとして迎え、フェラーリF1で働いていたステファノ・ソルドを新テクニカル・ディレクターとして起用するなどエンジニアリングの強化に尽力して来ているレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダは、テキサスでのレース翌日に今年のインディー500に出場させるキャサリン・レッグと、昨年度インディNXTチャンピオンのリヌス・ルンドクイストにテストの機会を与えた。レッグにとっては2013年以来(!)となるインディー500出場に向けた準備で、ルンドクイストも走らせることでチームのスーパー・スピードウェイ用データをより多く集めようということだ。

ペンスキー勢がマクロクリンを筆頭に1-2+5位と好タイム! 
3番手にはルンドガールド、ガナッシ勢トップはルーキーのアームストロング

開幕から苦戦が続くRLLだが、バーバーのプライヴェート・テストではルンドガールドが3番手タイム。レイホールもトップ10入りしており、巻き返しを図るラウンドとしたいところだPhoto:Penske Entertainment (Chris Owens)クリックして拡大  

 マクラーレンとカーペンターがいない中、ペンスキー勢が1-2&5。ルンドガールドがトップからコンマ3秒遅れの3番手、レイホールがトップと0.565秒差の9番手とRLL勢も健闘していた。ガナッシ・ドライヴァーたちは4、6、8、10番手。ルーキーのアームストロングは、エリクソンとディクソンという2人の先輩チームメイトより速いラップを記録して6番手につけた。
 10番手だったディクソンと11番手のカストロネヴェスの間には0.343秒の開きがあった。カストロネヴェスはトップからだと0.926秒離されていた。パジェノーはトップから1秒452遅れの最下位=16番手。アンドレッティ軍団を代表してのテスト参加だったが、大きな成果の得られないテストとなってしまったかもしれない。

世代交代を印象付ける近年のバーバー戦

 バーバー・モータースポーツ・パークでの過去3回のレースを振り返ると、なかなかおもしろい。ウィナーは2022年がオーワード(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)、2021年はパロウ(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)、2020年はCOVID-19パンデミックでレースがなく、2019年は佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)だった。昨年の表彰台に登壇したのはオーワード(当時22歳)、パロウ(同25歳)、ヴィーケイ(同21歳)。一昨年はパワーとディクソンという40歳のヴェテラン二人を抑えて24歳のパロウがキャリア初勝利を飾った。その2年前の表彰台は琢磨(同42歳)、ディクソン(同39歳)、セバスチャン・ブルデイ(同40歳)とヴェテランばかり3人が並んでいた。インディーカー・シリーズの世代交代が進んでいることと、強力なヴェテランたちの健在ぶりが現れている。

各チーム好材料が多く、シーズン初のロードレースは熾烈な展開の予感

 事前テストではペンスキーの看板を背負う若手=マクロクリンが最速だったが、4月のバーミンガムはテスト時よりも気候が温かくなることが多いので、成績を残すには異なるコンディションでも変わらぬ速さを見せることが求められる。
 マクラーレンは3人のドライヴァーたちの協力体制が馴染んで来ており、ガナッシはそれより1人多い4人のドライヴァーたちによって価値あるデータをテストで収集。レイホール・レターマン・ラニガンの3カー・チームも今年のレースでは上位に食い込んで来る可能性を見せた。前述の通りエド・カーペンター・レーシングもバーバーとの相性が良い。フンコス・ホリンジャー・レーシング/シヴォレーのカルーム・アイロットのパフォーマンスも楽しみだし、デイヴィッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD/ホンダ)も忘れてはいけない存在で、アンドレッティ勢の巻き返しもあるかもしれない……と、今シーズン最初のロードレースも熾烈な戦いとなりそうだ。

*プライヴェイト・テスト・リザルト(計測はエンジン・マニュファクチャラーによる)
参考:2022年ポール・ポジション:1分06秒2507 ヴィーケイ
   2022年ファステスト・ラップ:1分08秒504: パロウ
(R):ルーキー (N):インディーカー・シリーズ未参戦ドライヴァー


コース・データ
全長:2.3マイル(時計回り)
コーナー数:17(左7、右10)
高低差:24.38メートル


1.     マクロクリン             :1分06秒222
2.     パワー                      :1分06秒429
3.     ルンドガールド          :1分06秒525
4.     パロウ                      :1分06秒570
5.     ニューガーデン          :1分06秒753
6.     アームストロング(R) :1分06秒767
7.     マルーカス                :1分06秒776
8.     エリクソン                :1分06秒779
9.     レイホール                :1分06秒787
10.     ディクソン              :1分06秒805
11.     カストロネヴェス     :1分07秒148
12.     ピーダーセン(R)     :1分07秒239
13.     ヴィップス(N)        :1分07秒467
14.     カナピーノ(R)        :1分07秒552
15.     ロブ(R)                 :1分07秒580
16.     パジェノー              :1分07秒674

以上
 

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