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「パックでちゃんとした条件で走れなかったのが残念ですが
クルマの完成とは高いと感じています」
――走行は48周でした。全体的に見ても、チームメイトたちと比べても少なかったですね?
佐藤琢磨:インディ500のプラクティスではよくやることなんですが、確認を二重に行うために、走らせたクルマをガレージのセットアップ・パッチに持って行って計測して次に進む……ということを今日の自分たちはやっていました。仕事を確実に進めるための手法なんですが、その分ちょっと時間を食ってしまうので、思ったより連続周回ができなかったし、パックでちゃんとした条件で走れなかったのは少し心残りです。でも、クルマの完成度は高いと感じています。今日は夕方に、元々良い方向じゃないことは十分にわかってたんだけど、どうしても確認のためにやりたいっていうセットアップがあって、それをやって、またガレージにマシンを戻して……ということをやっていました。それで時間がかかりました。それ以外は非常に順調だったし、実り多き1日だったと思います。
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「アライメント関係は自分のやってきたものをどんどん入れて
それがガナッシのセッティングと同じ方向性になることがわかった」
――悪いセッティングだけれど、悪いことをちゃんと確認しておきたい……ってことですね?
佐藤琢磨:そうです。良くないのはわかったので、でも、どう良くないのか、特に今年の新しいエアロがどう影響するのかだとか、いろいろなことをチェックしました。チップ・ガナッシ・レーシングが持っている風洞でのデータ、ホンダのHPDが持っているエアロ・データと、実走行でのデータがどうなるのか……っていうのの三重の確認でした。ということで、今日の自分たちは足回りのテストはほとんどやってません。アライメント関係はこれまで自分がずっと使って来たものをどんどん入れて行って、方向としてはガナッシのセッティングと同じ方向になることがわかったのは良かった。まだ煮詰めてないけれど、全体的なCGRの所謂セットアップというのは確認できました。
――ガナッシのベースのセッティングと、昨年まで琢磨選手がやって来たセッティングの比較みたいなこともやっていたんですね?
佐藤琢磨:なんか答え合わせみたいな感じでしたね。今までやって来たことは間違ってなかった。それが確認されました。去年でもスピードは結構出ていたじゃない? 自分のものがスピードが出ることはレイホール時代からわかっていたんだけど、ただその……ダウンフォースを削って行くとスピードは出るんですよ、今日のジョセフ・ニューガーデンみたいに。今日の彼、最後にスピード出した時のウィングはマイナス2度だったから。227マイルは確かに速い。自分は出せなかった。でも、そういうやり方っていうのはできるんだけど、それをやってしまうと実際のレースの、長丁場での、熱いコンディション、フル・タンク、前にトラフィックがある……という状況で苦しくなる。そういう時は絶対にダウンフォースが必要だから。去年のレースでCGRのマシンは結構なダウンフォースをつけて行って、自分たちは真逆の方向でやっていた。今日の自分たちのマシンはダウンフォースをつけて行ったスペック。それでもこれだけのポジション(5番手)につけることができた。それは良いことだと思います。
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「新エアロ・パッケージでダウンフォースが増えたけど
前を行くクルマが逃げられない状況になるだけで、抜けない」
――インディーカーの思惑通りに新エアロ・パッケージではマシン同士がより接近して走ることができ、オーヴァーテイクが増えることになるという印象を受けましたか?
佐藤琢磨:確かにダウンフォースは去年より出るようになっているので、近づくことはできるんだけど、結局みんな同じだから相対差が生まれなくなっちゃう。ダウンフォースを増やすことで前を行くクルマが逃げることができない……という状況をどんどん作り出しているだけ。抜けないのは抜けない、ですよ。ダウンフォースが大きいイコール、タービュランスも大きくなるので。なおかつ、自分のマシンだけじゃなく、自分の前を走っているマシンもダウンフォースが大きいから、前のクルマはさらに前にいるクルマに近づける。結局みんなが近づける。そうやってひとつの団子になった時には、みんなのダウンフォースが抜けちゃう。
「ダウンフォースが増えることで自分の得意分野が消えていく気がする
一方、今年の自分にはトップ・チームの、トップ・スピードが出るクルマがある!」
この自分のポジションを、最大限に生かしたい」
――去年よりドラマティックなパスが増える……ってことはなさそう。
佐藤琢磨: いや、そんなこともないです。先頭を走る人は空気の壁に大きな穴を開けて行くわけで、とてもキツイ。リーダー・チェンジはより多くなるでしょうね。ミッドフィルダーも、去年までだったらタイヤのデグラデーションがあって、パフォーマンスのピークはピット・アウト直後の1ラップか2ラップ。そこからはずっと下り坂。それがダウンフォースの大きさによって抑えられる。2020年に自分がレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングでやった走りっていうのは、もう今はみんなができるようになっている。そこには良し悪しがありますね。自分にとっては、得意分野がどんどん消えて行く感じがする。フィールドの差がもっと縮まる気がする。でも、その時にトップ・チームの、トップ・スピードの出るクルマがある。そういうポジションに今年の自分はいるので、そのチャンスをやっぱり最大限活かしたいですよね。今日のマシンにはダウンフォースがあって、トラフィックで乗り易かった。ダンパーなど各可動パーツのフリクションとかの細いところも結構効いているのかもしれません。
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――でも、みんながダウンフォースが増えて安定して……となると、少しでもダウンフォースを軽くすることでアドヴァンテイジを得たい……ってなりませんか?
佐藤琢磨:そう、そう。もちろん、そうなんですよ。そこは本番のプラクティスが始まってから、スタート位置も見て、プラクティスでどれだけダウンフォースを下げて行ってもちゃんと走れるかっていうのを二重に確認しながら行きたいですね。
――明日やりたいことは?
佐藤琢磨:明日も是非走りたいですね。そうできたら、今日結構大きいところ、骨になる部分をやったんですよ。ホイールベースを含めた。それなので明日はディティールをやりたいですね、ダンパーなど。今日は10号車が結構色々なエアロをやったはずなんです。そういうプログラムになっていたから。それの見直しも明日やりたい。どこまでやれるかは、エンジニアのエリック(・カウディン)と相談します。
以上
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