チップ・ガナッシのカーナンバー11のロード&ストリート戦に参戦することとなったマーカス・アームストロング。オーバル戦に出場する佐藤琢磨のいわば反対番をルーキーが務めることに Photo:Chip Ganassi Racing クリックして拡大 |
2023年シーズンのレギュラードライバーが確定
ルーキーは4チームから4人がエントリー
2023年のNTTインディーカー・シリーズにレギュラー出場するメンバー全員が確定しました。
来るシーズンから新人ドライヴァーを起用するのは、チップ・ガナッシ・レーシング(CGR)、フンコス・ホリンジャー・レーシング(JHR)、デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシング(DCR-RWR)の3チーム。彼らが栄えあるルーキー・オヴ・ザ・イヤーを競い合います。
佐藤琢磨のチップ・ガナッシのカーナンバー11
ロード&ストリートはマーカス・アームストロングに
CGRのカー・ナンバー11は、ロード&ストリート・レースではマーカス・アームストロング、オーヴァル・レースでは佐藤琢磨に委ねられることと決まりました。
アームストロングはニュージーランド出身の22歳。FIA F2に2020〜2022年の3シーズンに渡って参戦し、三つのチームでトータル4勝、表彰台フィニッシュ8回という成績を残しています。
母国のヒーローであるスコット・ディクソン、昨年インディー500で優勝したマーカス・エリクソン、一昨年のチャンピオンであるアレックス・パロウとアームストロングは素晴らしいチームメイトたちに恵まれます。マシンが高い戦闘力を備えているのはほぼ間違いないので、初年度からかなりのパフォーマンスを期待することができます。同じマシンでオーヴァル・レースに出場する琢磨もアームストロングにとって良きアドヴァイザーとなるでしょう。ただ、オーヴァル5レースに出場しないため、アームストロングのルーキー・オヴ・ザ・イヤー獲得は難しいかもしれません。
AJフォイト・レーシングからのインディーカーデビューが決まったベンジャミン・ピーダーセン Photo:Penske Entertainment (Travis Hinkle) クリックして拡大 |
インディー・ライツ出身のシアトル育ちのデンマーク人
ベンジャミン・ ピーダーセンはAJフォイトから出場
アームストロングより先にインディーカー・デビューを決めていたのがベンジャミン・ピーダーセン、23歳です。デンマークの首都コペンハーゲン生まれで、アメリカのシアトル育ちというピーダーセンは、アメリカでF4、イギリスでF3を戦った後にインディー・ライツにステップ・アップ。2021、2022年シーズンを戦い、1勝、1ポール・ポジションを昨シーズンに記録しました。彼のインディーカーでのカー・ナンバーは4か41になると見られていましたが、つい最近、55に決まったとアナウンスがされました。そして、そのピーダーセンのマシンがフォイトのトレード・カラーであるコヨーテ・レッドをまとうことが併せて発表されました。あの独特の濃いオレンジ色が戻って来ます。
いよいよ2台体制となるフンコス・ホリンジャー・レーシング
アルゼンチン人でツーリングカー出身のアグスティン・カピナート
昨年11月にアルゼンチンで行われたエキシビジョンでアイロットのマシンをドライブしたカナピート。母国ではかなりの人気ドライバーのようだ Photo:Agustin Canapito Official Site |
JHRはカルーム・アイロットのチームメイトにアルゼンチン・ドライヴァーを迎えます。カー・ナンバー78を任せられるのは、アルゼンチンのツーリング・カーで15回もチャンピオンになっているアグスティン・カナピーノ、32歳です。チームの創始者で現在は共同オーナーとなっているリカルド・フンコスは、念願だったアルゼンチン出身ドライヴァーの起用実現についに漕ぎ着けたというわけですね。昨年11月に彼らはインディーカーをアルゼンチンへと持ち込み、デモンストレーション・ランを行ったんですが、それが見事に功を奏し、アルゼンチンの観光協会をスポンサーに迎えることに成功しました。カナピーノがスコット・マクロクリンのようにツーリングカーからインディーカーへのスイッチを成功させることを期待したいところです。マシンのカラーリングが白と水色のストライプとなるのか……にも注目です。
デイル・コイン・ウィズ・リック・ウェア・レーシングは
スティング・レイ・ロブ起用でマルーカスと21歳コンビを実現
最後のシートとなっていたDCR-RWRのシートを手に入れたーーそれもフル・シーズン参戦ーーのは昨シーズンのインディー・ライツ(今年からインディーNXT・バイ・ファイアストンに改名)でランキング2位となった、アメリカ北西部のアイダホ州出身のスティング・レイ・ロブでした。スティング・レイとはユニークな名前ですね。シヴォレー・コルトベット・スティング・レイってスポーツ・カーがその由来なんでしょうが。
JHRの2台体制を担うスティング・レイ・ロブは21歳! Photo:Penske Entertainment (Travis Hinkle)クリックして拡大 |
インディー・ライツに2020年はフンコス・レーシングから、2021年はアンドレッティ・オートスポートからエントリーしたロブ。2シーズン目の最終戦ラグナ・セカで念願の初優勝を達成しました。8回表彰台に上り、トップ5フィニッシュは11回も記録し、ポール・ポジションも2回獲得と2022年の彼はとても安定したパフォーマンスを見せていました。
インディー・ライツにステップ・アップする前、ロブは4シーズンをインディー・プロ2000チャンピオンシップ(2018年まではプロ・マツダ・チャンピオンシップと呼ばれてました)に参戦していました。2019年に2回のポール・ポジションを獲得した彼は、2020年に急成長を見せて7勝、11回のトップ3フィニッシュ、5回のポールポジション獲得という圧倒的成績でチャンピオンの栄冠を手に入れました。
ロブは21歳。先輩チームメイトとなるデイヴィッド・マルーカス(厳密にはデイル・コイン・レーシング・ウィズHMDからのエントリー)も21歳。DCRは非常に若いコンビで戦います。
2022年のインディー・ライツ・チャンピオンのルンドクィストは
インディーカーへのステップアップを果たせず
昨年のインディー・ライツでは、マルーカスの父ヘンリーがオーナーのHMDモータースポーツ・ウィズ・デイル・コイン・レーシングから出場したスウェーデン出身のリヌス・ルンドクィストが5勝を挙げてチャンピオンになりました。しかし、彼は望んでいいたDCR内でのインディーカーへのステップ・アップを果たすことができませんでした。インディー・ライツでチームメイトだったピーダーセンはランキングが5位だったのにフォイトからインディーカーに進む話をまとめ、ランキング2位だったロブもコインにインディーカーのシートを確保しました。彼ら二人がインディー・ライツで挙げた勝利は1回だけで、ルンドクィストは5勝もマークしたのに……。ピーダーセンとロブの初勝利=インディー・ライツでの唯一の勝利は、ルンドクィストのタイトル獲得がほぼ確定していたシーズン終盤に記録されたものでもありました。
ライヴァルを突き放してチャンピオンになったルンドクィストでしたが、彼を取り巻く環境は非常に不運なものへとシフトしていました。2022年にペンスキー・エンターテインメント傘下に入り、インディーカーの奔流に組み入れられたはずのインディー・ライツでしたが、この過渡期にあって、彼らは2021年までの奨学制度=翌年のインディー500とその他2戦への出場を行うための120万ドルの授与=を維持することができなかったのです。ルンドクィストに提示されたのは50万ドルと前年の半額以下で、しかも参戦レース数もギャランティーされませんでした。
2023年、インディー・ライツはファイアストン・インディNXTシリーズと名称を新たにしてスタートを切ります。その母体であるインディーカーは奨学金も、各レースでの賞金も増額させます。チャンピオンに贈られる奨学金は85万ドルにアップ。2021年レヴェルの120万ドルまでは戻せていませんが、次の世代のドライヴァーへのサポートを強化して行く方針です。レースの世界はタイミング……と言われますが、今年のインディー500出場の話も、その他のレースへのスポット参戦の話もない状況に陥っているルンドクィストの境遇には同情を禁じ得ません。
2023年 エントリー
最大はガナッシとアンドレッティの4カー。3カーがペンスキー、マクラーレンとレイホール。他は2カーで、シングル・カー・チームはいなくなりました。
*(C)はタイトル獲得経験者、(W)はインディー500ウィナー、(R)はルーキー。インディー500のみへのエントリーは一部未確定。
チーム・ペンスキー/シヴォレー
2 ジョセフ・ニューガーデン(C)
3 スコット・マクロクリン
12 ウィル・パワー(C)(W)
チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ
8 マーカス・エリクソン(W)
9 スコット・ディクソン(C)(W)
10 アレックス・パロウ(C)
11 マーカス・アームストロング(R)/佐藤琢磨(W)
アロウ・マクラーレン/シヴォレー
5 パト・オーワード
6(?) アレクサンダー・ロッシ(W)
7(?) フェリックス・ローゼンクィスト
? トニー・カナーン(C)(W) =インディー500
アンドレッティ・オートスポート/ホンダ
26 コルトン・ハータ
27 カイル・カークウッド
28 ロマイン・グロジャン
29 デヴリン・デフランチェスコ
98(?) マルコ・アンドレッティ =インディー500(?)
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ
15 グレアム・レイホール
30 クリスチャン・ルンドガールド
45 ジャック・ハーヴィー
? ライアン・ハンター-レイ =インディー500(?)
エド・カーペンター・レーシング/シヴォレー
20 コナー・デイリー/エド・カーペンター
21 リナス・ヴィーケイ
33(?) エド・カーペンター =インディー500
メイヤー・シャンク・レーシング/ホンダ
06 エリオ・カストロネヴェス(W)
60 シモン・パジェノー(C)(W)
デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD/ホンダ
18 デイヴィッド・マルーカス
51 スティング・レイ・ロブ(R)
AJ・フォイト・エンタープライゼス/シヴォレー
14 サンティーノ・フェルッチ
55 ベンジャミン・ピーダーセン(R)
? JR・ヒルデブランド =インディー500(?)
フンコス・ホリンジャー・レーシング/シヴォレー
77 カルーム・アイロット
78 アグスティン・カナピーノ(R)
ドレイヤー&レインボールド・レーシング/キューシック・
モータースポーツ/シヴォレー
24 ステファン・ウィルソン =インディー500
以上
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