いよいよ2023年シーズンが開幕!
2023年シーズンが始まります。今週末にフロリダ州デイトナ・ビーチでIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの開幕戦=第61回ロレックス24・アット・デイトナの予選が行われるんです。いわゆるデイトナ24時間レースですね。決勝は次の週で、スタートが28日、ゴールが29日です。
近年のデイトナには多くのインディーカー・ドライヴァーが出場して来ています。オフの間ですらテストが思い切り限られるレギュレーションが続いて来ているだけに、そこそこハイパワーなマシンでの耐久レース出場ってトレーニングとして悪くないんですよ。
IMSAシリーズのトップ・カテゴリーは、去年まではDPi(Daytona Prototype Intenational)でしたが、今年からGTP*Grand Touring Prototype)に変わります。LMDh(Le Mans Daytona Hybrid)と呼ばれていたものを、80〜90年代に一世を風靡したGTPに名称変更されました。
GTPクラスにマシンをエントリーさせるチームは、その大半がインディーカー・チームを母体としています。チーム・ペンスキー、チップ・ガナッシ・レーシング、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング、メイヤー・シャンク・レーシング、そしてアンドレッティ・オートスポーツが今年からIMSAシリーズのトップ・カテゴリーで鎬を削り合います。
これらのチームは、インディーカーとスポーツカーで組んでいる自動車メーカーが異なるケースも見られます。そして、ドライヴァーたちもインディーカーで乗っているのと違うブランドのマシンに乗る人が少なくありません。
GMワークス体制となったチップ・ガナッシ
ディクソンがキャディラックV-LMDhに搭乗
スコット・ディクソンは、インディーカーと同じくチップ・ガナッシ・レーシングからデイトナに出場します。しかし、彼が乗るマシンはダラーラ製シャシーをベースとするキャディラックV-LMDhです。ガナッシのキャディラック・ファミリー入りは遅かったんですが、ライヴァル勢を押し退けてGMのワークス・チーム待遇を勝ち取ったんです。彼らは今年、IMSAに2台、WECに1台をフル・エントリーさせます。
アキュラ勢はメイヤー・シャンク・レーシングと
今年からアンドレッティと提携したウェイン・テイラー・レーシングの2チーム
しかし、AAのインディーカードライヴァーはWTRのマシンには乗らず!
エリオ・カストロネヴェスとシモン・パジェノーも、ディクソンと同様にインディーカーと同じチームからの参戦を行います。彼らを走らせるのはメイヤー・シャンク・レーシング。インディーカーでホンダ・エンジンを使う彼らは、スポーツカーでもアキュラのマシン=オレカ・ベースのARX-06を走らせます。
もうひとつのアキュラ・チームであるウェイン・テイラー・レーシングは、昨年の暮れにアンドレッティ・オートスポートと提携。しかし、アンドレッティのインディーカー・ドライヴァーたちは随分と前からデイトナに出場するチームを決めていたようで、誰もWTRのGTPマシンには乗りません。
コルトン・ハータはBMWからエントリーします。2019年にBMWのLMGTマシンでデイトナ24時間でのクラス優勝を飾っているので、その縁でオファーが来たのでしょう。彼の場合、WTRーアンドレッティからの出場ではない上に、インディーカーでのライヴァルであるRLLからの出場で、乗るマシンはBMW MハイブリッドV8です。
アンドレッティ・オートスポートのハータ以外のドライヴァーたちは、昨年のデイトナでLMP2(Le Mans Prototype 2)のクラス優勝を飾ったデヴリン・デフランチェスコ(パト・オーワード、ハータと共にオレカ07/ギブソン搭乗)がLMP2での2連勝にチャレンジします。今年デフランチェスコが乗るのはリック・ウェア・レーシングのオレカ07/ギブソン。一昨年と昨年、インディーカー・シリーズにデイル・コイン・レーシングと組んで出場していた、あのRWRです。
ニューガーデンとマクロクリンがデイトナ初出場!
LMP2で大きな注目を集めているのは、タワー・モータースポーツからデイトナ初出場を果たすジョセフ・ニューガーデンとスコット・マクロクリンのチーム・ペンスキー・コンビです。近い将来にスポーツカー・レースに出場するための準備なんですかね。例えば、ル・マンにポルシェが大量エントリーを行う時に呼ばれるとかの。インディーカー・シリーズをフルタイムで戦うドライヴァーたちがル・マンに出場するのって日程的に難しい場合も考えられますが……。
さらに、TDSレーシングからリナス・ヴィーケイがデイトナのLMP2に出場します。ペンスキー・ドライヴァーたちと同じくマシンはオレカ07/ギブソン。伝統あるデイトナでの耐久レース出場、ヴィーケイは3年連続の3回目となるはずです。
グロジャン、ランボルギーニの契約ドライバーに
2024年投入予定のWECハイパーカーの開発も担当
最も多くのメーカーが参戦しているGTD(Grand Touring
Daytona)というカテゴリーは、プロフェッショナル・クラスとアマチュア・ドライヴァーたちのクラスに分けられていて、GTDプロにロマイン・グロジャンがアイアン・リンクスというチームのランボルギーニ・ウラカン GT3 Evo2で出場します。GTDクラスには、2年前までデイル・コイン・レーシングと組んでインディーカー・シリーズに出場していたジミー・ヴァッサーとジム・サリヴァンのコンビが作ったチーム=ヴァッサー・サリヴァンがいて、彼らのレクサスRC F GT3(トヨタ・ワークス)ではカイル・カークウッドが走ります。
グロジャンは、このオフの間にランボルギーニの契約ドライヴァーになったんですよ。WECのトップカテゴリーであるハイパーカーに来年から参戦する計画を持っているイタリアのメーカーは、グロジャンにそちらの開発も任せる、と。レース経験は豊富だし、ル・マンに出場するならフレンチ・ドライヴァーは政治的にも不可欠、ということで選ばれたようです。しかし、グロジャンてイタリアの自動車メーカーの耐久プロジェクトなんぞに関わったりしてる場合なんですかね?
昨年からアンドレッティで走り出しましたが、インディーカーでは未だ勝利なし。マシンを開発するとなると、ヨーロッパとアメリカを行ったり来たりする必要も出てくるでしょう。インディーカーへのフォーカスが鈍らないか心配です。
マクラーレンのドライヴァーは今年のデイトナに参戦せず
参考までに、昨年のデイトナ24時間レースのリザルトを紹介しておきます。
トップ・カテゴリーだったDPiの優勝クルーにはカストロネヴェスとパジェノーが含まれ、2位フィニッシュしたチームの一員にはアレクサンダー・ロッシがおりました。
そして、前述の通り、LMP2優勝チームではオーワード、ハータ、デフランチェスコが一緒に走っていました。
今年はマクラーレンのインディーカー・ドライヴァーたち、デイトナには出場しない模様です。
BMW-RLLで走っても全然不思議じゃないグレアム・レイホールもデイトナには出ません。過去にBMWのGTマシンや、ペンスキー・アキュラのDPiマシンとかで出場したこともあるんですけどね。
ウィル・パワーはインディーカーのチームメイトたちとは違い、GTDクラスでデイトナ初出場を果たす話が決まっていました。ところが、つい最近になって奥方が体調不良に陥ったため、今年のエントリーは断念しました。奥方の1日も早い快方を祈ります。
最後に、今年のエントリーでインディーカー・シリーズへの出場経験があるドライバーたちもリスト・アップしました。
GTPクラスには、チャンプカーで4年連続チャンピオンとなったセバスチャン・ブルデイがいます。彼が乗るのはチップ・ガナッシ・レーシングのキャディラック。
LMP2出場者はライアン・ディール、エド・ジョーンズ、ピエトロ・フィッティパルディ。
そしてGTには、ジャック・ホークスワース(GTD Pro)、マイク・コンウェイ(GTD)、ライアン・ブリスコー(GTD)が出場する予定です。
以上
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