2022年11月30日水曜日

2022 INDYCARレポート 11月27日:このオフは色々ありますね

ジョンソンは今シーズンをもってインディーカーフル参戦を終了。チップ・ガナッシからジョンソンが持ち込んだカーバナが去り、さらにはNTTデータも!Photo:Penske Entertainment (Chris Jones)

ジミー・ジョンソンはインディーカーから撤退?

 2022年にフル・シーズンを戦った元ストック・カー・チャンピオンのジミー・ジョンソンだったが、トップ5に1回入っただけのランキング21位は、チップ・ガナッシ・レーシングからのエントリーとしては厳しい結果だった。
 NASCARのトップ・シリーズで史上最多タイの7回もチャンピオンになった彼が持つ集客力はすさまじく、テレビでもジョンソンの話題に割かれる時間は多かった。しかし、その一方で、真のコンテンダーではない、との批判もあった。レース展開に影響を及ぼすスピンやコース・アウトを数多く犯したからだ。
 注目度が高いからスポンサーはつく。その資金で子供のころから憧れていたインディーカーに乗る。それができるのは素晴らしいことだが、インディーカーでまともに走っていないうちからル・マン24時間レース出場に興味を示したり、何やら“レース・ファン”的なスタンスが目に付くようにもなってもいた。


ペティGMSレーシングのモーターホームでポーズをとるジョンソン Photo:Jimmie Johnson

  インディーカーの2022年シーズン終了後、ジョンソンは突如、NASCARチームの共同オーナーになった。それも、史上初めて7回チャンピオンになった、通算200勝、デイトナ500優勝も7回で“キング”と呼ばれるリチャード・ペティのチームで。そして、そのチームからドライヴァーとして2023年に数レースに出場する計画まであるという。
 もうインディーカーは堪能した? ロード&ストリートはもう出場しない方がいいだろうが、オーヴァルでのパフォーマンスは悪くなかった。そう考えるとインディー500には出場するかもしれないが、それもキッパリやめるかもしれない。
 ル・マン参戦話は今も可能性が残されているのか。もし乗るとしたら、チップ・ガナッシ・レーシングのキャディラックではなく、NASCAR系チームであるアクション・エクスプレス・レーシングのキャディラックってことになるのだろうが……。

リチャード・ペティとジョンソン、NASCARレジェンド二人のコラボは2023年シーズンどのような活躍を見せてくれるだろうか Photo:Jimmie Johnson

 しかし、この世に2人しか存在しないストック・カーの7タイム・チャンピオン(もうひとりのデイル・アーンハートは2001年のデイトナ500で事故死)両方がオーナーのチームって、すごい。


チップ・ガナッシ・レーシングは4カー体制を維持できる?

 ジミー・ジョンソンがフル出場しない場合、彼の代わりに2023年シーズンを戦うドライヴァーを探すべきなのか、何人かのドライヴァーたちに1台をシェアさせるべきか……チップ・ガナッシ・レーシングは悩むところだ。
 飛び抜けた才能と十分な資金を併せ持つ者が現れるのを彼らは待っているのだろうが、そんなケースは滅多にない。フル・エントリー用に彼らはどれだけの持ち込み資金を要求するものなのか?
ガナッシ参画時のアレックス・パロウにはいくら持参するように言ったんだろう??
 ガナッシが3台になったら、ホンダ・エンジンが1基余る。すると、他チームの体制にも影響が及ぶ。

ドライヴァーは奪えずも、スポンサーはかっさらう

 アロウ・マクラーレンSPによるアレックス・パロウ強奪を阻止したチップ・ガナッシ・レーシングだったが、パロウが乗っていたカー・ナンバー10についていた大型スポンサーの=NTTデータをマクラーレンに持って行かれた。えげつないことをするもんだ、ザック・ブラウン陣営。もしパロウの移籍もなっていたら、チームは変わるのにNTTデータ・カラーのマシンにまた乗るってことになっていたらしい。
 NTTデータを持って行かれた。痛い。悔しい。しかし、ガナッシもやられっ放しではない。マクラーレンでCEOとして陣頭指揮を取って来たテイラー・キールが2022年シーズン終了と同時に「生まれたばかりの娘との時間を……」とか言ってチームを辞めたが、その彼がガナッシにチーム・マネジャーとして入ることになった。この移籍話って、シーズン中にすでに合意ができていたってこと……のように見える。マクラーレン行きが多い中、このチームを離れる人もいるということ。


トニー・カナーンがアロウ・マクラーレンSPへ

 パロウは獲れなかったアロウ・マクラーレンSPだが、インディー500用にトニー・カナーンを手に入れた。これまた実にえげつない。去年までのマクラーレンはインディー500用のヴェテラン枠にファン・パブロ・モントーヤを起用していたけれど、カナーンを引っ張れば、チップ・ガナッシ・レーシングの最新のセッティング情報を得られるという非常に大きなメリットがある(使用エンジンは異なるが)。

カナーンは2023年シーズンはマクラーレンに。インディー500要員として期待される Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)

 トニーとしてみれば、ガナッシだったらスポンサー持ち込みが必要だったけれど、マクラーレンだったらそれナシで……って話なのかもしれない。今年のインディーでは3位でゴール。トニーのインディでの実力はまだまだ十分に高い。
 データ流出って意味では、カナーンの移籍に伴って、彼との縁が深いエンジニア=エリック・カウディンもガナッシを離れてマクラーレンにセットで移るってことも考えられる。彼の担当していたジミー・ジョンソンがいなくなっちゃうことでもあるし。

ガナッシvsマクラーレンのとばっちり

 チップ・ガナッシ・レーシングは2023年向けの補強としてデイル・コイン・レーシングでテクニカル・ディレクターを務めていたロス・バネルを引き抜くことになった。マイケル・キャノンをDCRからぶん取ったガナッシが、今度はバネルを……。去年、DCRはオリヴィエ・ボアッソンをアンドレッティ・オートスポートに引っこ抜かれたばかりだというのに。
 バネルはルーキーのデイヴィッド・マルーカスが大活躍した、影の立役者。2シーズン目の更なる飛躍が期待されているマルーカスにとっても大きな痛手だ。

2023年の佐藤琢磨はオーヴァル・オンリー?

Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)

 エンジニアリングの弱さを露呈してしまった2022年のデイル・コイン・レーシングだが、その中核を担っていたロス・バネルがチップ・ガナッシ・レーシングへ移籍する。シカゴ近郊のチームは非常に厳しい状況に追い込まれてしまった。RWR、HMDとの協力体制で2台を走らせる彼らは、2022年でもエンジニアの不足が言われていたというのに、チームの中心となるエンジニアを見つけることが必要になった。
 デイヴィッド・マルーカスはカー・ナンバー18でフル参戦2シーズン目を戦う。カー・ナンバー51は佐藤琢磨が同じくフル参戦……と思っていたら、ここへ来て“琢磨はオーヴァルのみ”という情報がアメリカのメディアで流されるようになった。DCRが走らせるのは2台。HMDとしては、HMDからの出場でインディー・ライツ(2023年からはインディーNXTにシリーズ名が変わる)・チャンピオンになったリヌス・ルンドクィスト(スウェーデン出身/23歳)も出場させる意向なのだが、3台への体制拡大はホンダのエンジン供給体制からして難しいとされており、琢磨のマシンにロード&ストリートで彼を起用することが話し合われているようなのだ。ルンドクィスト以外にもDCRのマシンに乗りたいと交渉をしている若手がいると言われている。
 ラグナ・セカでの最終戦終了後、「来年もフル参戦を!」と琢磨は意気込んでいた。そこに期待したいが、果たして……。
以上


4 件のコメント:

  1. 佐藤選手がチップガナッシに移籍する可能性はあるのでしょうか。実力は申し分ないと思いますけど…。

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  2. DCRでフル参戦できないならいっそのこと他チームで…って思ってしまうのですが難しいのでしょうか?

    ホンダ系チームだとガナッシしか空きが無さそうだし、絶好のチームだと思うのですがやはり持参金がかなり必要?

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  3. ガナッシはメインスポンサーのNTT DATAを引っこ抜かれたから相当懐は厳しそうですね。
    パロウの10号車をフル参戦させる資金は調達済みとコメントしていますが。
    但し、アームストロングがF2からガナッシ11号車でロード/ストリート参戦らしいので
    11号車のオーバルを琢磨がという線は、うーんありますかねえ?

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  4. サッカーW 杯より、琢磨選手の来季がとても気になります。琢磨選手もだろうけどやっぱりフル参戦の琢磨選手が見たい!早く決まって安心したいです。

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