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走行開始早々に予想外の事態で赤旗に
1時間半後セッション再開するも赤旗多発!
天候:快晴
気温:30〜31℃
ゲイトウェイでシーズン5勝目を挙げたジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が、その勢いを保っているように見える。残り2戦でポイント・リーダーのチームメイト、ウィル・パワーに3点差に迫った彼は、ポートランド・インターナショナル・レースウェイでのプラクティス1で最速ラップ=58秒5769をマークしたのだ。これは昨年のアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)によるポール・ポジション・タイム=58秒7701を上回るものだ。
今日のプラクティスでは珍しいことが起こった。走行開始から20分少しが経過した頃、メイン・ストレート横に設置されている大型スクリーンが傾き、コースに倒れてくる心配がなされたために赤旗が出されたのだ。
赤旗中断中の佐藤琢磨のピット。手前は左からトミー小笹、須藤翔太の両メカニック。奥には桃井フィジカルトレーナー。右奥には松本浩明カメラマン Photo:Masahiko Amano クリックして拡大 |
この時点でインスタレーション・ラップ以外の走行を始めていたのは15台のみ。セッションが再開されたのは約1時間半後のことで、そこからは一気に慌ただしくなった。アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)のコース・オフ、佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)のコース・オフ&クラッシュ(小ダメージ)、エリオ・カストロネヴェス(メイヤー・シャンク・レーシング)のコース・オフ&ストール、パト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)のコース・オフ&ストールと、今日のセッションでは赤旗が通常より多く出された。
アンドレッティ勢がブラック・タイヤで1-2-3!
しかし、満を持してレッドで走行したニューガーデンがトップタイム!
ブラック・タイヤで最速ラップをマークしたのはロッシ。ペンスキー同様にポートランドで事前テストを行っている彼らはブラックでロッシ、コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)、ロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート)の順で1-2-3だった。ロッシのブラックでのベストは59秒4390。
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テストを行っていることもあり、ニューガーデンは路面コンディションが良くなるまでピットで待機し、本格的な走行を始めたのは彼が出場25台の中での最後だった。赤旗がここまで多いとは予測をしていなかっただろうが、少ない周回数でも大きな成果を得ていたように見えた。走行時間の残りが4分を切ってからレッド装着での2度目のコース・インを行った彼は、2ラップの全力アタックをトライ。自己ベストの更新こそならなかったが、コースからマシン片側が外れて土埃を上げるシーンがありながらも59秒4518という好タイムを出していた。
パワー、このセッション10番手とスロースタート
事前テストを見送ったガナッシ勢はパロウ9位、ディクソン10位
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直前のプライヴェイト・テストで最速ラップを記録したのはポイント・トップのパワーだったが、今日のプラクティスでの彼はベストが59秒0287で10番手。チャンピオン争いでの持っても手強いライヴァル、ニューガーデンに対してスロー・スタートとなった。
ポイント3、4、5番手のチップ・ガナッシ・レーシング勢は、パワーと43点差のアレックス・パロウが3人の中での最上位となる9番手。彼は昨年、このレースで勝っている。ポイント3番手のスコット・ディクソンは11番手、ポイント4番手のマーカス・エリクソンは16番手と、彼らはパワー以上に出足が良くなかった。ガナッシ勢はポートランドで事前テストを行っていないため、最初のセッションでは不利にあった。明日、テストを行ったペンスキー勢にどこまで対抗できるか。
「テストでは気温や路面の温度が異なるコンディションでの走行ができ、多くを学んだ。収穫の多いテストとできたことが今日の自分たちの良い走りに繋がっている。明日の予選に向けても自信の持てる状況となっている」とニューガーデンは語った。エンジン交換による6つのグリッド降格も跳ね除けての上位フィニッシュ。それが彼の達成すべき任務だ。
マルーカス、堂々の2番手タイム! 3位はマクロクリン
佐藤琢磨はコースアウトもありこのセッション最下位Photo:Penske Entertainment (Chris owens) クリックして拡大
今日の2番手はルーキーのデイヴィッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD)だった。レッド・タイヤで58秒7024をマークしてのことだ。チャンピオン争いを繰り広げるヴェテラン勢を相手に初優勝を飾る可能性すらある。
3番手はスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)の58秒7156。4番てがロッシ=58秒7639。ここまでが昨年のPPタイムを上回った。5番手はハータ=58秒8246。
2018年のポートランド・ウィナーの琢磨はコース・アウトがあり、ベスト・ラップは1分00秒5316。最下位の25番手で初日を終えた。
「明日はマルーカスのサスペンションジオメトリーで行きます」Photo:Penske Entertainment (James Black)クリックして拡大
「走り出しのセッティングは悪くなかったと思います。スタビリティーが高く、むしろ曲がっていかないぐらいでした。それを曲げる方向にして行っていました。そうする方がやり易いんですよね、スタビリティを確保するよりは。最初の変更でセッティングが良くなって、さらにタイムを上げて行こう……とやっている間にコース・アウトしてしまいました。グローブがドライヴァー・ヘッド・プロテクターの止め金具にひっかかって、ステアリングが切れなくなってしまったためでした」と琢磨は話した。先週のラグナ・セカでのテストでもそんな事態には一度も陥らなかった。かつてないトラブルに襲われてのアクシデントということだ。「チームメイトのマルーカスが速かったので、明日は彼のトライしていたサスペンション・ジオメトリーで行くことになると思います。今日も僕らは2台でジオメトリーの異なるセッティングで走り出し、そこからそれぞれがマシンを良くして行く作業を行っていました」と琢磨はポジティヴだった。アクシデントには遭ったものの、マシンへのダメージが最小限で抑えられていたことも影響してのことだろう。
懐かしい話題をひとつ。
1997年、ここポートランド・インターナショナル・レースウェイでひとつの歴史が刻まれた。インディー・ライツで日本人ドライヴァーが史上初の優勝を飾ったのだ。インディー・リージェンシーというチーム(後にインディーカーにステップ・アップ)で走っていた野田秀樹が、シリーズ最強だったタスマン・モータースポーツ(こちらも後にインディーカーへとステップ・アップし、ホンダの初優勝をアンドレ・リベイロとともに記録)のエリオ・カストロネヴェス(ポール・ポジションからのスタート)をパスしてチェッカード・フラッグを受けた。カストロネヴェスは2位、3位はトニー・カナーン(こちらもタスマン・モータースポーツ)だった。
以上
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