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アロウ・マクラーレンSPはフェリックス・ローゼンクヴィストをキープ
最終戦でシーズン初勝利を飾った3日後、アレックス・パロウはチップ・ガナッシ・レーシング残留を明らかにした。
2021年シーズンに向けてデイル・コイン・レーシング・ウィズ・チーム・ゴウからガナッシへと移籍したスペイン人ドライヴァーは、強豪チームへの加入初年度、24歳の若さでインディーカー・チャンピオンに輝いた。
ガナッシとともに6回チャンピオンになっているスコット・ディクソンがもう42歳……ということもあって、彼の後を継ぐ次期エースとなることがパロウには期待されていた。しかし、彼はタイトルを獲ってもその実績に見合うだけのサラリーを受け取ることができなかったため、持ち込み資金不要、サラリーも高額なアロウ・マクラーレンSPに移りたいと考えた。
2020年シーズンが終わった頃、コインで翌年も継続参戦することが難しい……という状況にあったパロウ陣営に、ガナッシ入りの話が転がり込んできた。来たる2021年もインディーカーで走るために、彼はガナッシからの資金持ち込み要請を受け入れたようだ。雇う側が明らかに有利な契約状況では、1勝につきXXドルの報酬及び翌年の年棒アップ……とか、チャンピオンになったら……という将来に向けた細かな取り決めをしない契約書になっていたと見られる。
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チップ・ガナッシとの契約が残っているにもかかわらず
好待遇を求めたパロウはマクラーレンと契約!
パロウが実際にシリーズ・チャンピオンとなると、さすがに“2022年も資金を持ち込むように”とは言われなくなったようだが、サラリーの方はあまり上がらなかったらしく、パロウはガナッシとの契約が残っているのを知っていながらアロウ・マクラーレンSPで203年から走るという契約書にサインした。
しかし、放出の意向がないガナッシはパロウを訴え、アロウ・マクラーレンSPを訴え、マクラーレンのオーナーであるザック・ブラウンも訴えた。「F1流のドライヴァー横取りは許さない」、「アメリカではアメリカのやり方に従ってもらう」とガナッシは考え、「パロウが欲しいなら契約を買い上げてください。その額は2,000万ドルです」と払えないであろう額をふっかけたとも言われている。
パロウの一件が発覚してすぐ、マクラーレンはF1でアルピーヌの育成ドライヴァーをかっさらうことに成功した。しかし、アメリカでの元チャンピオン引っこ抜きには失敗した。ブラウンの口車に乗ったがために、パロウは宙ぶらりんになってしまった。彼は輝かしいレース・キャリアをここで一旦ストップしなければならない窮地に陥った。ガナッシを離れる場合、ガナッシとすでに結んでいた契約により、インディーカーでは来年だけでなく、再来年まで走ることができなくなる可能性すらあったのだ。強豪チームはデータやノウハウをごっそり持って行かれないよう、ドライバーやエンジニアたちとは、そのような契約を結ぶ。
結局マクラーレンは、オーワード、ロッシ、ローゼンクヴィストの強固な3台体制に
一方、パロウ残留に成功したものの、心配されるチップ・ガナッシのチーム状況
アロウ・マクラーレンSPはパロウ獲得を断念し、フェリックス・ローゼンクヴィストを残留させることにした。ローゼンクヴィストの願いは叶い、彼はインディーカーで少なくとももう1シーズン走ることができると決まったわけだ。パト・オーワード、アレクサンダー・ロッシによる3カー・チーム。このトリオは、もしロッシがチーム・プレイヤーとして献身的に働くことができるなら、かなり好いパフォーマンスが期待できそうだ。ファン・パブロ・モントーヤのインディー500参戦は来年以降も実現するだろうか?
あるいは、「ロッシが獲得できたので、インディー500用の補強は充分」と彼らは考えているかもしれない。
チップ・ガナッシとパロウの関係はどうなって行くだろう。今回は和解に至ったが、信頼関係を再び築き上げることは難しいように見える。パロウのサラリーを思い切り押さえ込んでいたのがガナッシなのだから、チーム・オーナーの側にもまったく落ち度がなかったというワケではなかった。
2023年のガナッシはディクソン、パロウ、マーカス・エリクソンの3人が残留することになるだろう。トニー・カナーンのインディー500出場も決まっていると聞いている。ジミー・ジョンソンは、カーヴァナをスポンサーとしてレース活動を続ける点こそ決まっているが、インディーカーにまたフル・エントリーするかどうかは未定だ。彼はル・マン出場にも興味津々なのだ。フランスの伝統ある耐久レースに、彼はキャディラック・ワークスから参戦できる可能性があり(ガナッシとは別のキャディラック・チームから??)、インディーカーはパフォーマンスの良かったオーヴァルだけへの出場……となるなどの可能性もある。
注目のふたり、ヴィーケイ、アイロットはそれぞれのチームに残留
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リナス・ヴィーケイはエド・カーペンター・レーシングに、カルーム・アイロットはフンコス・ホリンジャー・レーシングに、彼らもまた残留することをすでに発表している。ヴィーケイのチームメイトもコナー・デイリーで変わらずだ。 Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大
最終戦を前にフンコスは2023年からは2カーに拡大することを発表。最終戦でアイロットが予選2位に食い込んだ彼らのセカンド・カーには、7人のドライヴァーがすでに興味を示しているという。共同オーナーのリカルド・フンコスは、「ヴェテランにするか、若手のコンビで行くのか、まだ自分たちは方針を決定していない」とラグナ・セカで話していた。オーヴァル経験の少ないアイロットのためには、ライアン・ハンター-レイのような経験も実績もあるヴェテランが適任とも思える(=特にインディー500で)が、ストリート&ロードコースではアイロットのように速い若手とのコンビが見てみたい気もする。
佐藤琢磨はデイル・コインで来シーズン走ることが濃厚にPhoto:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大
佐藤琢磨は、デイル・コイン・レーシング・ウィズRWRで来年も走る可能性が高い。デイル・コインはラグナ・セカでのレース後、「琢磨とデイヴィッド・マルーカスのコンビをキープしたい」と名言した。また、彼は来年も2カーでの参戦がチームにとってはベスト……と考えてもいる。チームのパートナーで、デイヴィッド・マルーカスの父親であるHMDモータースポーツのオーナー=ヘンリー・マルーカスは、2022年に彼のチームでインディー・ライツ・チャンピオンとなったリヌス・ルンドクィスト(スウェーデン出身)をデイル・コイン・レーシング・ウィズHMDからインディーカー・シリーズへとステップ・アップさせたい意向のようだが……。
AJ・フォイト・エンタープライゼスは、来年に向けてまだ一人のドライヴァーともサインをしていない。昨年のインディー・ライツ・チャンピオンであるルーキーのカイル・カークウッドは、2023年はアンドレッティ・オートスポートで走ることが決まっている。ロッシの抜けた穴を埋めるのだ。ダルトン・ケレットは来年も走り続けるのだろうか?
マイケル・アンドレッティ、かつての自信を重ね
ハータのF1行きに協力する構えPhoto:Penske Entertainment (Travis Hinkle) クリックして拡大
コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)はF1参戦のチャンスが与えられた(現在はアルファ・タウリからオファーが来ている)場合、インディーカーには残らなくてよいことになっているぽいという話だ。チーム・オーナーのマイケル・アンドレッティは、自分のF1行き(それもフェラーリ入り)を当時の彼のチーム・オーナーだったカール・ハースに握り潰された経験があるので、F1を目指す若手の夢には協力的姿勢を保ってきている。アンドレッティ・オートスポートはロマイン・グロジャン、カークウッド、デヴリン・デフランチェスコ(アンドレッティ・スタインブレナー・オートスポート)の3人が現在決定しており、ハータが抜けたら、誰かを起用する必要が出てくる……が。
以上
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