2022年8月21日日曜日

2022 INDYCARレポート R15 ボマリト・オートモーティヴ・グループ500 Race Day 決勝:ジョセフ・ニューガーデンがシーズン5勝目! ウィル・パワーのポイント・リードは僅か3点に

ニューガーデンは得意とするゲイトウェイでシーズン5勝目を挙げ、ポイントランキングでも首位パワーに肉薄! Photo:Penske Entertainment クリックして拡大

ニューガーデン、2020年のレース2からゲイトウェイ3連勝!

 ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)がゲイトウェイで予選3位から今シーズン5勝目を挙げた。興味深いことに、それでもまだニューガーデンはポイント・リーダーに立てていない。チームメイトのウィル・パワーが粘り強く6位でフィニッシュし、ポイント・トップの座を守った。ただし、彼らふたりの差は残り2戦でたったの3点に縮まっている。

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得意のゲイトウェイで狙い通りタイトル奪取に向け急加速!

 ゲイトウェイでニューガーデンは大きな勢いを手に入れた。狙っていた優勝を、狙った通りに手に入れた。これで今シーズン5勝目だ。ライヴァル勢ではスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)、パト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)の3人が2勝。ニューガーデンが勝ち星数ではダントツのトップなのだ。
 ニューガーデンはこれでゲイトウェイは4勝目だ。しかも3年連続の優勝。得意のコースとあって、今週末の彼は最初から優勝を狙っていた。そして、その通りの結果を残したのだから、三度目のチャンピオンとなる可能性が一気に高まった感がある。

パワー、手堅いレース戦略が裏目に出て6位

ポールスタートのパワーは最多リードラップを記録したものの、レース終盤はフレッシュタイヤのペンスキー勢、オーワード、デイルコイン勢の後塵を拝す結果に Photo:Penske Entertainment クリックして拡大

 対するパワーは、ポール・スタートだったのに結果は6位と、悪くもないが、良くもなかった。彼のピットはレース終盤にタイヤを新品にする道ではなく、1回少ないピット回数でゴールまで走り切る戦略を選んだ。雨でレースが短縮されてのゴール……という展開にも備えてのことだったのだろうが、その選択はーー結果論になるーー誤りだった。
 今シーズンのニューガーデンはレース展開に見放されたり、トラブルに見舞われたりと厳しい戦いも何度か経験してきている。しかし、彼らしい大胆な走りと勝負強さで勝利とポイントを重ねて来た。対するパワーは、がむしゃらに勝利を目指す姿勢から、しぶとくポイントを重ねるスタイルにスイッチした。それはチャンピオンの栄冠にフォーカスを定めてのことだ。その結果、残り2戦でポイント・トップにつけているのだから、彼の新しい戦い方は間違っていなかったということかもしれない。
 しかし、ゲイトウェイでのパワーは、”パワーらしい不運”に見舞われた。”展開が味方せず”という負け方を余儀なくされたのだ。


赤旗中断後、圧倒的な強さとキレを見せたニューガーデン

レース終盤、ニュータイヤのアドバンテージを生かしてマルーカスはキャリア最上位の2位でフィニッシュ Photo:Penske Entertainment クリックして拡大

  ニューガーデンというドライヴァーは、ある時は大胆に、ある時はしぶとく勝利を目指す。今日の赤旗中断後のリスタートでは、彼は勝負勘の良さが見事に発揮されていた。若手チームメイトに容赦なく仕掛け、レース・リーダーの座を鮮やかに奪い取ったシーンだ。そして、一度トップに出るやニューガーデンはライヴァル勢の反撃の意欲を削ぐ目覚ましい走りでリードを突きつけた。最後の最後に思わぬ伏兵、デイヴィッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD)が登場したが、彼が到達できたのは最終ラップでスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)をパスするところまで。時間切れでニューガーデンに攻撃を仕掛けるまでには至らなかった。もっとも、もしマルーカスがパスをトライできる距離まで近づけたとしても、ニューガーデンには備えがあった。彼はトップでの周回を重ねながらも後続とのインターヴァルを測り、タイヤを温存する走りを続けていたのだ。


タイトル争いはいよいよ西海岸2レースへ
パワー、ニューガーデン、そしてディクソンの争いに

佐藤琢磨は他車と異なるピットシークエンスをチョイスする作戦が的中し、優勝を目指せる一でレースを戦うことに成功。赤旗後はコンディションの変化に苦しんだものの粘りの走りで今シーズン最上位の5位に Photo:Penske Entertainment クリックして拡大

 残るはポートランドとラグナ・セカ。ニューガーデンはいずれのレースでも勝ったことがない。どちらも最近インディーカーのカレンダーに復帰したレースで、現役ドライヴァーで優勝経験があるのはポートランドがアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)とパワーと佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)。ラグナ・セカはコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)とエリオ・カストロネヴェス(メイヤー・シャンク・レーシング)だけだ。

 ポイント3番手につけるスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)にも大逆転タイトルの可能性はまだ充分に残されている。4番手のマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)もまだタイトル争いから脱落……というところまでは行っていない。ただ、彼のここまでのキャリアや今シーズン終盤の戦いぶりを見ていると、2022年のインディーカー・チャンピオンとなるのはパワー、ニューガーデン、ディクソンというゲイトウェイ終了時点でのトップ3に絞り込まれたように映っている。
以上

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