2022年8月8日月曜日

2022 INDYCARレポート R14 ビッグ・マシン・ミュージック・シティ・グランプリ Race Day 決勝:スコット・ディクソンがシーズン2勝目=通算53勝

後方グリッドから荒れたレースを制するという、ならではの勝利でディクソンは記念すべき通算優勝回数単独2位に Photo:Penske Entertainment (Chris Owens)クリックして拡大

予選14位から実に6回のピットインを経ての優勝!
出走26台、完走15台、イエロー8回の荒れたレースを制す


 予選14位からスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が優勝するとは……。今シーズン2勝目は自身の通算53勝目。トロントでの勝利でマリオ・アンドレッティの52勝に並んだディクソンは、その4戦後にもう1勝重ねてAJ・フォイトの最多勝=67勝を追う単独ナンバー2となった。

2001年CARTシリーズ参戦初年度の第4戦ナザレスで初勝利を挙げて以来、22シーズンで53勝! Photo:Penske Entertainment (Chiris Owens)クリックして拡大

 出走26台で完走15台。リタイヤはメカニカル・トラブルの1台を除くと他は全部クラッシュだった。フル・コース・コーションは8回=36周に渡って出され、そのうち1回は赤旗。ちょっと荒っぽ過ぎるバトルになっていた……が、実は去年はイエローが9回で、コーション・ラップ数は今年と同じ33周だった。

Photo:Penske Entertainment (Chiris Owens)クリックして拡大

アンダートレイのトラブルと、ペナルティも跳ね返し
レース終盤マクロクリンに追撃をスキを与えず


 ピット・ストップは2回で済むレースとなっていたが、ウィナーのディクソンは6回もピットしていた。そのうちの1回がピット・クローズ中だったため、ペナルティも彼は受けた。アンダートレイの修理を行う(最終的にストレーキをもぎ取った)ために4回ピット。ディクソンは6回のピット・ストップをして、2回のピット・ストップだったスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)やアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)を打ち負かした。


 アンダートレイのストレーキはボディ下の気流を整える。それを”もぎ取った”らマシンの空力バランスはめちゃくちゃになるため、ガナッシ陣営はフロントのウィングを思い切り寝かし、前後をバランスさせようと試みた。それがどこまで効果を発揮していたのかはわからないが、ディクソンはライヴァルたちの前を走り続け、ゴール前2周のリスタート、その後の周回でもマクロクリンにアタックのチャンスを与えなかった。

マクロクリン、悔しい2位
パロウはピットタイミングにも恵まれて3位に

Photo:Penske Entertainment (Chiris Owens)クリックして拡大

 ポール・ポジションからスタートしたマクロクリンは間違いなく今日の最速ランナーの一人だった。しかし、3勝目を挙げるのに必要なだけの幸運は持ち合わせていなかった。あと一歩及ばず、ロード&ストリートにおける史上4番目のクロース・フィニッシュで2位に。マクロクリンのポイント・ランキングは6番手に浮上した。

Photo:Penske Entertainment (James Black)クリックして拡大

  幸運なピット・タイミングでトップに躍り出たアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)もスピードを見せていた。ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)をパスする際に接触し、フロント・ウィングを壊してしまった。あれはパロウの判断ミスだったのか、ギヤボックスにトラブルを抱えていたパワーの加速が鈍かったためなのか……。契約問題で揉めているために集中力が不十分だった、ということではないと思う。ウィングをブラブラさせながら3位フィニッシュは悪くない結果かもしれない。彼は勝利なしでもランキング5番手につけている。

ルンドガールド、終始上位で健闘したものの最後力尽く
ニューガーデン、グロジャンと新たな因縁発生⁉


 先週のインディー・ロードコースで2位フィニッシュしたクリスチャン・ルンドガールド(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がまたしても、の2位かと思ったが8位まで後退してのゴールに。ブレーキングでの安定感を欠いていたのが敗因。

Photo:Penske Entertainment (James Black)クリックして拡大

 ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は地元テネシー州のレースでトップを走ったが、最終結果は6位。ポイントランキングは3番手をキープしたものの、不満の残る結果となったのではないだろうか。レース終盤にロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート)と接触し、相手をコンクリート・ウォール送りにしたことに関する彼のコメントが良かった。「あの時、自分は彼の真横に並んでいたか、僅かにこちらの方が前に出ていた。インディーカーの世界にようこそ」。デビュー・イヤーだった昨年、グロジャンには”F1から来たナイス・ガイ”といったイメージがあった。しかし、彼の走りや言動に傲慢さと感じていたドライヴァーやチーム関係者もおり、2シーズン目の彼に対する風当たりは厳しくなっている。


パワー、トラブルで戦闘力を失ったマシンで
辛うじてランキングトップをキープ

Photo:Penske Entertainment (James Black)クリックして拡大

 パワーは11位フィニッシュでポイント・トップの座を守った。他車との接触でギヤチェンジのセンサーを破損。クラッチを踏んでマニュアルでシフトチェンジしながらの戦いを強いられていたという。しぶとく完走はしたものの……というストレスの溜まりそうなレースだった。このまま“しぶとい走り”を残り3戦でも展開して二度目のタイトル獲得は果たしてなるのか?
その戦いなら今日の勝利で彼と6点差のランキング2番手にのしあがってきたディクソンの方が何枚も上手だと思うのだが……。

佐藤琢磨、デフランチェスコのラフプレイの巻き添えに

 佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)はルーキーのデヴリン・デフランチェスコ(アンドレッティ・スタインブレナー・オートスポート)にブツケられ、彼と2台揃ってコンクリート・ウォールにハード・ヒットした。接近戦で冷静さを保ち通せないキャラクターのデフランチェスコは、「あなたの方がドアを閉めてきた」と琢磨に不平を言い、それを否定されると今度は「自分は後ろからブツケられて」と違う言い訳を繰り出したが、どちらもその場しのぎのコメント。20番手スタートだった琢磨は13〜15番手辺りまで順位を上げており、トップ10の可能性も見えていただけに残念な結果となった。
以上


0 件のコメント:

コメントを投稿