2022年7月3日日曜日

2022 INDYCARレポート R9 ホンダ・インディー200・アット・ミッド・オハイオ Day2 予選:ミッド・オハイオのポール・ポジションはパト・オーワードの手に

オーワード今季初のポール・ポジション! Photo:Penske Entertainment (Chris Owens)クリックして拡大

路面温度が上昇、予選は今週末初めて経験するコンディションに

 涼しかったプラクティス2から一転、午後2時45分開始の予選は暑さの中での戦いとなった。気温は27℃前後と30℃に届かなかったが、路面温度は50℃以上になっていた。プラクティス1ともプラクティス2とも違うコンディションと言えた。

マクロクリン、Q1グループ1をトップで通過

  Q1のグループ1ではスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)が2番手以下に0.2秒以上の差をつける1分06秒5887の最速ラップをマークした。2番手はリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)で3番手はシモン・パジェノー((メイヤー・シャンク・レーシング)。4番手はアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)で、5、6番手にはルーキーのカルーム・アイロット(フンコス・ホリンジャー・レーシング)と今週好調のデイヴィッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD)が入った。

マルーカス、パワーのペナルティによる繰り上がりでQ2進出
エリクソン、グロジャン、佐藤琢磨がここで敗退


 マルーカスは7番手のタイムしか出せなかったが、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がエリオ・カストロネヴェス(メイヤー・シャンク・レーシング)に対する進路妨害を行ったために最速2ラップを抹消されるペナルティを受け、順位を落としたパワーの代わりにQ2進出を果たした。

スペシャルカラースキームでミッド・オハイオに乗り込んだエリクソンだが、Q1で敗退 Photo:Penske Entertainment (Chris Owens)クリックして拡大

 パワー以外でも、ポイント・リーダーのマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が7番手でQ2進出に失敗し、ロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート)は9番手、佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)は10番手でQ1敗退を喫した。

チームとのコミュニケーションミスを悔やむパワー
佐藤琢磨は「予選ではクルマをまとめきれませんでした」


このところ冷静な走りで調子を上げていたパワーだが、思わぬミスでQ1敗退の憂き目に Photo:Penske Entertainment (Matt Fraver)クリックして拡大

 「チームには“アタックに入っているマシンがあったら知らせてくれ”と言ってあったが、アタック中のマシンを妨害することになってしまった。自分たちのミスだ。チャンピオン争いを諦めざるを得ないかのような痛いミスだ」とパワーは語った。
 琢磨は、「予選ではタイムをまとめ切れませんでした。クルマ作りはテストの時からデイビッドと2台で分けて行っていて、今週末は走り出しから2台が違うセッティングになっていました。それでも、良い方のセッティングへと行き来ができるプラットフォームとしていました。実際にはどちらも同じようなスピードを出せていましたが、予選はデイビットのトライしていたセッティング寄りのもので行くことにしました。しかし、今のインディカーは非常に競争が激しいため、どちらかのセッティングを使うとなった時、同じセッティングにしたからといって、すぐ同じパフォーマンスを発揮できるというわけではないんです。マシンには個体差がありますから、それに合わせてひとつのセッティングでも細かな調整を施さなければタイムは出せないんです。プラクティスまでで自分たちの良いと思っていたセッティングが、少し唐突な動きをさせてしまうところがあったので、それをマイルドにさせるためにデイビッドのセッティングを入れてみましたが、うまく使い切れなかったですね」と琢磨は話した。予選用とは違い、レースを戦うマシンには安定したラップ・タイムで走り続けることのできるセッティングが求められる。明日の朝のウォーム・アップでそのセッティングを高いレベルに仕上げることが琢磨たちの次なる目標となる。

Q1グループ2はローゼンクヴィストがトップに
ニューガーデン、7番手タイムでQ2進出ならず!

Q1グループ2ではニューガーデンも敗退と、ペンスキーのベテラン2人はプラクティス2までの好調を予選につなげることができず Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大

  Q1のグループ2では、トップがフェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレンSP)の1分06秒5379。2番手はパト・オーワードとアロウ・マクラーレンSPが1−2だった。
 3番手はコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)で、4番手はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)。5番手はアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。
 このグループでは意外にもジョセフニューガーデン(チーム・ペンスキー)がギリギリの7番手で敗退した。彼のすぐ上の6番手でQ2進出を果たしたのはルーキーのカイル・カークウッド(AJ・フォイト・エンタープライゼス)だ。
 上記の通り、Q2にはアイロット、マルーカス、カークウッドとルーキー3人が進んだ。その一方でニューガーデン、パワーといった元チャンピオンがQ2進出に失敗した。

僅差の戦いとなったQ2、パロウ、7番手でファスト6進出を逃す
ルーキー勢最上位はマルーカスの8位


 12人によるQ2をクリアし、ファイアストン・ファスト6としてQ3を戦うことになったのはマクロクリン、ローゼンクヴィスト、オーワード、ディクソン、ハータ、パジェノーだった。

パロウもファスト6進出を逃す。予選の争いはラウンドを重ねるたびにし烈になっているPhoto:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大

  Q2で7番手となり惜しくもファイナルに進めなかったのがパロウだった。このセッションでの各ドライバーのタイム差は非常に小さかった。トップとなったマクロクリンと2番手のローゼンクヴィストの差が0.0097秒しかなく、4番手のディクソンと5番手のハータの差が0.0007秒だった。そして、そのハータと6番手だったパジェノーの差が0.000秒。Q3行きをギリギリで決めたハータと、それを逃した7番手パロウの差は0.0010秒だった。
 ルーキーたちはマルーカスの予選8位がトップ。カークウッドが9位、アイロットが10位と3人揃ってトップ10入りを果たした。
 前戦ロード・アメリカでPPを獲得したロッシは、Q2最下位の12位で予選を終えた。

オーワード、ファスト6を制し
今シーズン9戦目にして9人目のポールシッターに


Photo:Penske Entertainment (Chris Owens)クリックして拡大

  ユーズド・レッドによるQ3の戦いはオーワードが制した。彼のベストは1分06秒7054。PPを惜しくも逃したのはマクロクリンだったが、オーワードとの差は0.1328秒もあった。
 「今週の僕らのマシンは走り出しから非常に良かったわけではなかった。しかし、昨晩のうちにセッティングを大きく変更。それがとても良い方向に出て、最良といっていい状態にまでなった。予選での自分はマシンの力を引き出すことができていたと思う。これまでのミッド・オハイオで自分たちの予選ベストは18位だったから、PPは非常に良い結果だ。このコースは抜きにくいので、スターティング・ポジションは重要。レース中も常に上位につけ続けることが勝つための条件になる。自分たちは最高の場所からスタートを切ることとなるんだからレースが楽しみだ」とオーワードはコメントした。彼は今年9人目のポール・ポジション・ウィナーとなった。開幕戦からのPPウィナーは以下の通り。


セイント・ピーターズバーグ:マクロクリン
テキサス:ローゼンクヴィスト
ロング・ビーチ:ハータ
バーバー:ヴィーケイ
インディアナポリス/ロードコース:パワー
インディー500:ディクソン
デトロイト:ニューガーデン
ロード・アメリカ:ロッシ


シヴォレー、9戦中6回のポール・ポジション獲得

Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski) クリックして拡大

  PPはシヴォレーが9戦目で早くも獲得6回とホンダを大きくリードしている。今シーズンに向けてシヴォレーはドライヴァビリティ向上のためにトルク・カーブもより良いものとするためのマッピング変更などを行った。各ドライヴァーからのリクエストに応じたカスタマイズも一段進歩させており、それらの相乗効果によってパフォーマンスが高められているようだ。
 予選3位はハータ=1分07秒0262。アンドレッティ軍団で唯一ファイナルに進んだハータだったが、ユーズドのレッドではシヴォレーの2台のように1分06秒台を記録することができなかった。
 4位はローゼンクヴィストで、5、6位にヴェテランのディクソンとパジェノーがつけた。

以上

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