2022年7月24日日曜日

2022 INDYCARレポート R11 ハイヴィーディールズ・ドットコム250 Race Day 予選:アイオワのダブルヘダーはウィル・パワーがダブルPP

ダブルヘッダーの予選をパワーがスウィープ! 通算PP回数を一気に66に伸ばし、ついにマリオ・アンドレッティのインディーカー通算PP記録にあと1回に迫った Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大

 不利とみられた予選後半のアタックで
パワーが2ラップ通じて唯一の178mphをマーク


 昨日以上の快晴。昨日より弱い風。予選は午前9時半開始だったが、もう充分に暑いコンディション下で行われた。計測は2周で、アタック1周目で今日のレース1のグリッドが決定し、アタック2周目は明日行われるレース2用だ。
 アタック順はポイント・ランキングの裏返し。順番が遅ければタイヤ・ラバーはより乗っているが、気温は上がっていくし、日差しが強いから路面温度は上がるので、結局は先にアタックした方が有利……だったのではないか。

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 最初のアタッカーだったエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)が走った時の気温は30℃で、路面温度は38℃だったが、ランキング・トップ3がアタックするタイミングには気温は32℃、路面は42℃に上がっていた。その不利を跳ね返し、最後から2番目にコース・インしたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がアタック1周目、2周目ともに最速ラップを記録した。ウォーム・アップ・ラップが平均時速176.845mphと予選7位になれる速さで、計測ラップ目は18秒0607で、今日初めての178マイル台となる178.199mphがマークされた。そして、2ラップ目は僅かに遅い18秒0796=178.0013mphだった。
 178mphを記録したのはパワーだけ。しかも、彼は2ラップ両方を178mph台に乗せてみせた。今シーズン2個目、3個目のPPを彼は手に入れ、シヴォレーにとっては今シーズン7、8個目のPPとなった。

2番手は2ラップともにパワーに敗れたニューガーデン

 予選2位はレース1、レース2ともにジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)。走行コンディションはほぼ同じだっただけに、2ラップともパワーに敗れたのは悔しかったのではないか。ニューガーデンのラップ1は18.1031秒=177.782mph。ラップ2は18.0907秒=177.904mph。パワーとは1周目が0.042秒、2周目が0.0111秒の僅差だった。

通算66回目のポールポジションを獲得したパワー
「アタック自体は思い通りのものではなかったが
マシンコントロールに持てるものはすべて出し切った」

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 「今年は“予選で良いパフォーマンスが出せる”とずっと感じられてきていたが、それを実現できなかった。今日、ついにそれができた。予選アタック自体は思い通りのものではなかった。マシンがかなりボトミングしていたので、コーナーの中でマシンがバンクの上の方へ滑り上がっていった。そんなアタックだったから自分が最速と聞いて驚いた。マシンをコントロールすることに全力を出し切り、持っているものは全部出し切った。我々のマシンには17秒台が可能だったと思う。自分は全力を出したが、ちょっと攻め過ぎしてしまったということだと思う」とパワーは語った。 

両手にPPプレート! Photo:Penske Entertainment (Chris owens)クリックして拡大

 1日で一挙にふたつのPP獲得を果たしたパワー。これは彼にとって通算66回のPP。マリオ・アンドレッティの持つレコード=67回にあとひとつに迫った。「今シーズン中にもうひとつのPP獲得は可能だろう。アイオワの予選でPPを獲得できたら……というのはずっと考えていた。だから、このレースに対して強くフォーカスしてきた。アイオワでふたつプラスできたらレコードに手が届くと考えていたんだ」とも彼は話した。最速だと来週、インディアナポリスのロードコースでパワーはマリオに並び、再来週にナッシュヴィルのストリート・コースでインディーカー史上最多のPP獲得ドライヴァーとなれる。

シヴォレー勢、レース1のトップ5を独占
レース2はハータがホンダ勢最上位となる3番手
佐藤琢磨はレース1が9位、レース2が5位に

 チーム・ペンスキー、そしてシヴォレーは両レースのフロント・ロウを独占。レース1に関しては予選3位がコナー・デイリー(エド・カーペンター・レーシング)、4位がパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)、5位がスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)とトップ5スィープが達成された。ペンスキー勢は事前のテスト、昨日のプラクティスでの勢いを保ち、3人全員がレース1用の予選でトップ5入り。レース2用の予選では3人がトップ6入りとなった。
 レース2ではコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)がホンダ勢ベストとなる3番手グリッドを獲得し、佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)が5位に食い込んだ。琢磨のレース1の予選順位は9位だった。レース1のホンダ勢トップはルーキーのデイヴィッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD)だった。


「マシンに未知の部分が大きすぎる状態での予選でしたが
今日のような状況では悪くないアタックにできていたと思います」


 「昨日のプラクティス終了後に、マシンに間違ったパーツが装着されていたことがわかりました。セット・アップ・シートとは違うスプリングがついてたんです。正しいパーツがついている前提でセッティングを進めていて、“おかしいな。こんなわけはないな”と昨日はずっとやっていました。0.5ミリ単位でセッティングを詰めて行くことができなかったのに、今日はいきなり予選。マシンは事前テストのデータを元にしたものにしました。もちろん、昨日のデータもフィルターにかけて取り入れましたが、“これでいいはずだ”というマシンでアタックになっていました。ウォーム・アップ・ラップはまだ完全にタイヤの内圧も上がっていないし、ペースも上がり切っていないし、マシンがどう動くのかなど未知の部分が大き過ぎる。しかも、今日はこの後にレースがあるので、抑えて行かなきゃいけないし、でも速く走らないといけない。全力は尽くしました。マシンとしては、ボトミングが結構激しかったです。バランスも昨日とは大分違っていました。そういう状況だったので計測2周目の方が1周目より速かったんです。1周目はあれでも結構マシンをコントロールして走っていました。“ターン2は実際に走ってみたことで、次のラップではもうちょっと行けるな”という感触を得ました。ペンスキー勢の速さはちょっとかなわなかったでしょうが、今日のような厳しい状況下では悪くない予選アタックにできていたと思います。レースでは作戦も活用して行きたいと思います。例えばアンダー・カットとかです」と琢磨は話していた。


チップ・ガナッシ、両レースとも最上位が12位
アンドレッティ勢は全体的にパフォーマンス向上傾向
レイホールはハイヴィーのマシンを駆るハーヴィーがレース1,2ともに7位と奮戦

 今日の予選、チップ・ガナッシ・レーシング勢はレース1、レース2ともにトップは12位だった。レース1がポイント・リーダーのマーカス・エリクソンで、レース2が今シーズン未勝利の昨年度チャンピオン=アレックス・パロウだった。エリクソンのレース2の予選順位は15位。パロウのレース1の予選順位は14位だった。先週のトロントで勝ったばかりのスコット・ディクソンは、レース1が13位でレース2が18位。予選は厳しいが、レース用のセッティングには自信がある……ということなのか?

 アンドレッティ・オートスポート勢は、ハータのレース2用予選3位が示している通りに昨日よりは全体的にパフォーマンスが向上していた。ただし、ハータはアタック1ラップ目では17位となるスピードしか出せず、レース1用のトップはアイオワ初挑戦のロマイン・グロジャンによる10位だった。彼はレース2は11番グリッドからスタートする。アレクサンダー・ロッシはレース1が19位(ルーキー・チームメイトのデヴリン・デフランチェスコよりひとつ後ろ)、レース2が21位とかなり厳しそうだ。技術提携しているメイヤー・シャンク・レーシング勢もシモン・パジェノーがレース1=21位、レース2=16位で、エリオ・カストロネヴェスはレース1が25位で最後列グリッド(!)。レース2もそのひとつ前の列の24位と惨憺たる状況。レースを重視したセッティングとしたため……とチームは話しているが、果たして……。

 レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、イヴェント・スポンサーのハイヴィー・カラーで走るジャック・ハーヴィーが奮闘し、レース1、レース2ともに予選7位に食い込んだ。テストで速かったことで注目を集めていたルーキーのクリスチャン・ルンドガールドは20位(レース1)、17位(レース2)と不発。グレアム・レイホールは16位(レース1)、23位(レース2)と苦戦している。
以上


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