第2戦、第3戦、第8戦に続いてシーズン4勝目を挙げたニューガーデン。今回の勝利でエリクソンに15ポイント差のランキング2位に Photo:Penske Entertainment (Chris Jones) クリックして拡大
セカンド・ポジションからスタートしたニューガーデン
最初のリスタートからフィニッシュまで完全にレースを支配
最初のスタートではポール・ポジションからトップを守ったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だったが、序盤のフル・コース・コーション明けのリスタートでジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が2番手からトップを奪った。そこからの彼はレースを最後まで支配下に起き続けた。予選時の気温と路面温度は摂氏30〜32℃/38〜42℃。それらがレース時は36〜37℃と49〜53℃で、コンディションは大きく異なっていたが、予選2位だったニューガーデンはレースでも速さを保ち続けた。ロード・アメリカでの優勝と同じく、彼はトップに出た後は自らのペースをコントロールしていた。後続がペースを上げれば自分もプッシュして差を縮めさせない、ほぼ完璧な勝利だった。
ニューガーデンに対して果敢なアタックを見せたエリクソン。タイヤの摩耗で後退したが粘って8位でフィニッシュ Photo:Penske Entertainment (Chris Jones)クリックして拡大 |
エリクソン、レース中盤ニューガーデンに果敢にチャージ
しかしニューガーデンはトップを譲らず
250周で争われるレースの120周目が過ぎた頃、2番手に浮上してきたマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が一気にトップを奪う姿勢を見せた。しかし、ニューガーデンはトップを譲らなかった。エリクソンのアタックは激しく、両車が接触したぐらいだったが、“絶対にトップは渡さない”という強い意志がニューガーデンの走りからは強く感じられた。
抜き切れなかったエリクソンは、タイヤを消耗させ過ぎたようで、その後は後退して行くしかなかった。それでも、ポイント・リーダーの彼は予選12位から優勝争いに加わったのだから、そのパフォーマンスは誉められるべきものだった。ただ、今日の彼は勝負どころを見誤っていたように見えた。これも大きな経験。攻めの走りも見せ始めたエリクソンの今後が楽しみになった。
レース用セッティングを仕上げていたチップ・ガナッシ
ディクソンは5位、パロウは予選14位から一時はトップ争いに加わり6位パロウとディクソンはレース終盤になって速さを発揮。レース用セッティングの仕上がりのよさを見せつけた Photo:Penske Entertainment (Chris Owens)クリックして拡大
チップ・ガナッシ・レーシングのマシンは予選で遅かった。しかし、それはレースにフォーカスしたセッティングを採用した結果だったようだ。彼らのマシンはいずれもレースで速かった。予選もレースも速かったのがペンスキー勢。今回は彼らの方が明確に仕上がりレヴェルは高かったが、ガナッシはできることをキッチリとやってトップ争いに加わって見せていた。
ジョンソンも上位でレースを戦い続けた Photo:Penske Entertainment (Karl Zemlin)クリックして拡大
スコット・ディクソンは予選13位から5位でフィニッシュしたし、アレックス・パロウも予選14位からトップに躍り出る可能性を見せて6位フィニッシュ。エリクソンは最終的に8位まで順位を下げてのゴールとなったが、3人がトップ8でのゴールを実現。ジョンソンもスピンしながら11位でのフィニッシュを達成した。
ニューガーデンはこれで今シーズン4勝目
2位はオーワード、3位はパワーとシヴォレーが表彰台独占
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ニューガーデンにとって今日の勝利はアイオワでの4勝目。アイオワ州ニュートンの8分7マイル・オーヴァルでのインディーカー・レース最多ウィナーとなった。また、今シーズン4勝目はライヴァル勢を突き放す勝利数でもあった。2番手はコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)の2勝だ。
2位でフィニッシュして頭から水をかぶるオーワード。終盤パワーをパスしてニューガーデン追撃にかかるが、タイヤの摩耗が激しくバックマーカーに手を焼き勝負あり Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大 |
最終的に2位でゴールしたのはパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)だった。予選4位だった彼は勝負を焦らず、チャンスが訪れるのを待っていた。最終スティントをニューガーデン、パワーの後ろの3番手で始めたオーワードは、一旦はパロウの先行を許したものの、残り50周を切ってから抜き返し、ゴールまで35周を切ってからはパワーもパス。ニューガーデンを追った。逃げる相手はペースを上げ、オーワードは振り切られてしまった。6.1784秒もの差をつけての圧勝をニューガーデンは飾ったのだ。3位はパワーのものとなった。4位はリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)。シヴォレーによる1−2−3−4フィニッシュがなった。
「トラフィックは激しかったがうまくパスしていくことができた
少しのミスも許されない戦いが続くが明日も勝ちに行く」
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「アイオワはレースを戦っていて本当に楽しいコースだ。レーンは2本あって、時には3ワイドさえ可能。トラフィックはいつもと同じで激しかったが、自分たちはうまくパスをして行くことができていた。リスタートでウィル・パワーとマーカス・エリクソンがすごいアタックをしてきた。ちょっとアグレッシヴ過ぎたのでは? タイヤのライフが重要なレースなんだから、あの戦い方は僕は間違っていたと思うよ。自分としては、最後に少しプッシュして2番手との差を保つよう頑張っていた」とニューガーデンは戦いぶりを振り返った。
表彰台にたどりついた3台。タイヤの使い方とバックマーカーの処理で抜きんでていたニューガーデンが最後危なげなく勝利をつかんだ Photo:Penske Entertainment (Chris Jones)クリックして拡大
「しかし、不思議な年だね。フラストレーションが溜まるレースも多いのに、今日はもう4勝目。なんだか2018年シーズンに似ている気がする。確かあの年はポール・ポジションを4回獲得して、3勝したのにランキングは5位とかだった。今日で僕はランキング2番手に浮上。トップ6が59点差。これからチャンピオンシップがどう展開して行くのか? まったく予測はできない」とニューガーデンは語った。そして、「明日も勝ちに行く。しかし、どんなレースになるかはわからない。今日のオーワードは速かった。彼だけフレッシュ・タイヤなのか? というスピードで追ってきていた。自分と同じタイミングでタイヤ交換したのかチームに無線で確認したぐらいだった。インディーカーは接戦がすごいので、1回小さなミスをしただけで勝利が手の中から逃げて行く。明日もそんな戦いになるはずだ。ただ、僕らには強力なピット・クルーというアドヴァンテージがある。いつもピット・インする度に僕は自信を持てる。”自分にはポジション・キープか、ポジション・ゲインのどちらかしかない”って。明日に向けてはマシンのバランスをあと少し向上させたい。今日、少し良くないところがあったので。ただし、その前に温度変化に対する調整をキッチリ行うことが重要だ」と締めくくった。ニューガーデンのポイントスタンディングは2番手に浮上した。トップのエリクソンとの差は15点にまで縮まっている。
佐藤琢磨、フロントウイング不良で力を発揮できず
ホンダ最上位はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)の5位。予選13位からのトップ5入りは見事というしかない。スティント後半のスピードが高かったのは、レース用セッティングを重視した戦いぶりによる。ディクソンは最終スティントを8番手で迎え、そこから3つポジションをゲインしてフィニッシュした。Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大
佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)はフロント・ウィングに問題アリで本来の力を発揮できなかった。予選では露呈していなかった問題がレースで出た。スタート直後からハンリングは非常に悪く、順位をどんどん下げて行った。レース終盤にシモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング)と接触。フロントウィングアッセンブリーをピットで交換すると、いきなりペースアップした。「ハンドリングが全然違うものになった」とレース後の琢磨は驚いていた。「今までずっと使っていたウィングに何か不具合があったようで……。まだ解明は済んでいませんが、そのウィングのせいでロードコースもおかしかったのかもしれない」と琢磨は話していた。アクシデントが不幸中の幸い。明日のレースは5番グリッドと、今日より4つ前のスタート位置でもあり、ダウンフォースの問題が解決していれば、得意とするアイオワならではのアグレッシヴな戦いぶりを見ることができるだろう。
以上
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