2022年7月18日月曜日

2022 INDYCARレポート R10 ホンダ・インディー・トロント Race Day 決勝:スコット・ディクソンがトロントで今シーズン初勝利

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 ディクソン、キャリア通算52勝!
18シーズン連続での勝利を達成

 やっぱりスコット・ディクソンは凄い。6回のシリーズタイトル獲得は伊達じゃない。そして、チップ・ガナッシ・レーシングの作戦力も素晴らしい。ディクソンとガナッシ、このコンビネーションだからこそ18年連続、20シーズンでの52勝などなどといった大記録は打ち立てられた。

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17周目を終えたタイミングでのピット・インが見事的中しハータを逆転

 スタートからトップを走ったのはポール・シッターのコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)だった。「ユーズド・レッドでの方がフレッシュ・レッドでより速かった点は興味深い」と彼は予選後に語っていた。レース序盤はそのレッドでの戦い。しかし、ハータは予選2位だったディクソンを引き離すことができなかった。

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 そして、ディクソンは1回目のピット・サイクルでトップにまんまと躍り出た。17周を終えるところでのピット・イン。これがまさしく絶妙のタイミングだった。果たしてガナッシのピットは前もってこのタイミングを決めていたのか。それとも戦況を見て判断したのか……。ディクソンはレース後、「自分ではなく、ピットのコールだった。本当にベストのタイミングだったね」とチームの作戦力を称えていた。
 レッドタイヤの持ちは悪く、10周以上走ればラップタイムが大幅ダウンすることが明白だった。では、どこまでレッドで引っ張るのか。そこが勝敗の大きな分岐点になった。後方スタート組にはディクソンよりもっと早くピットするものもあり、彼らは大きなジャンプを実現していた。しかし、彼らには中盤戦以降に大幅な燃費セーブを強いられる可能性もあった。

トップに立ったディクソンは燃費セーブと速さを両立!
ハーターの猛チャージにもスキを与えず


 ハータの前に出たディクソンは、そこからのレースを完全に支配下に置き続けた。ブラック・タイヤでの彼はライヴァル勢より明確に速く、燃費セーブも両立させていた。
 ディクソンたちとは異なるピットタイミングとすることで上位進出を狙ったリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)は、そのシナリオ通りにトップを走るシーンもあった。しかし、彼らが燃料を切らしてピットに向かうことが明らかだったため、ディクソンは敢えて彼の背後に近づくことはしなかった。
 ディクソンとガナッシのピットが考えていた通り、ビーケイは燃料を使い果たしてピットに向かい、ディクソンにトップの座は転がり込んできた。

 1回目のピットストップ直後、トップを奪われたハータは再逆転に狙って猛チャージ。しかし、ディクソンは彼の攻撃を跳ね返し続けることができた。ハータは数週のアタック後、使い過ぎた燃料を気にしてペースを下げるしかなかった。
 するとディクソンは逃げ始めた。1周に数秒間だけプッシュトゥパスを使い、ジリジリと差を広げて行った。

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 その差は1〜2秒になり、ハータは逃げるディックにアタック可能な距離まで近づくことができなくなった。最終的に1秒を切った差でゴールしたディクソンとハータだったが、それはディクソンが最終ラップにペース・ダウンをした結果だ。

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 2回目のPPから2勝目を飾る目論見だったハータだったが、トロントでの彼は優勝を逃すこととなった。トロントでのディクソンはマシンの仕上がり具合でもレースの戦略でも完全に一枚上手だった。ハータはレース終盤、ディクソンを追うというより、フェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレンSP)から2位の座を守り抜こうと戦っていた。

通算勝利でマリオ・アンドレッティに並ぶ史上2位となったディクソン
「チップ・ガナッシの一員として戦い続けられていることが幸せ」

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 ディクソンはレース後、「今シーズンの自分たちはストリートコースでアンダーステアに悩まれてきていた。しかし、今日はセッティングを変え、真逆のハンドリングを手にしていた。トロント以外のコースで得た経験から、セッティングをいくつか調整したんだ。まだ完璧なハンドリングにはなっていないけれど、こうして勝てたことが嬉しい。ホンダにも深く感謝したい。今日のレースでは燃費の良さが私たちの武器になっていた。チップ・ガナッシ・レーシングの一員として戦い続ける。それができている自分は本当に幸せだ。今日の勝利でタイトル争いに食い込んで行くこともできたと感じている」とディクソンは語った。
 これで通算52勝。ついにマリオ・アンドレッティに並んだ。インディカー史上2位タイの優勝回数だ。


佐藤琢磨、1周目のターン1でクラッシュしてレースを終える

 佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)は1周目のターン1でシモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング)と接触し、コンクリートウォールの餌食となった。0周リタイアなんていつ以来だろうか……。第3戦ロングビーチでの接触のリベンジをされてしまったということだろうか。

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 19番グリッドから決勝のスタートを切った琢磨は、ポジションを幾つかゲインしてターン2をクリアする予定だった。ところが、右コーナーへ殺到する集団の中でメイヤー・シャンク・レーシングの1台と接触。レースを終えることとなった。
 「トロントのレースはあっという間に終わってしまった。朝のウォームアップにマシンを作り上げてくれたメカニックたちに感謝する。自分たちはとてもコンペティティブだったと思います。タイムシートには表れませんでしたが、ブラックを履いたときのタイムはトップ10圏内で、マシンの仕上がりに自信を持っていました。うまくいったスタートの後、ターン1までで数台をパス。ターン2へと向かうエリアで1台が突っ込んできたためにウォールまではじき飛ばされました。おそらく相手はコントロールを失っていたのだと思う。大変残念な結果だった。今回見せたスピードをアイオワでも保ち、注意深く戦って良い成績を残したいと願っています」
以上

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