|
Photo/Penske Entertainment |
ハータ、第3戦のロング・ビーチ以来のポールポジション
2022年シーズンのNTTインディーカー・シリーズでは第9戦目までで9人のPPウィナーが誕生してきたが、第10戦ホンダ・インディ=・トロントでコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)が今季ふたつ目となるPP獲得を果たした。彼の今シーズン1回目のPPは第3戦アキュラ・グラン・プリ・オヴ・ロング・ビーチだった。
パロウが原因となった赤旗で
波乱の展開となったQ1グループ1
オーワード、タクマが敗退
三段階の予選では、Q1のグループ2が珍しい展開になった。まだほぼ全員がブラック・タイヤで走っていたセッション序盤にアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)のマシンが電気系トラブルに見舞われ、ダッシュボードがダウンし、エンジンもストップ。彼はバック・ストレッチ上にストップするしかなかった。これで赤旗が長い時間に渡って出され、グリーン・フラッグ後は全車にアタック1ラップが許されるのみとなった。
ここでうまくタイムを出せたドライヴァーと、そうできなかったドライヴァーで明暗が大きく別れた。グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)とウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、アタック完了を目の前にしてルーキーのカイル・カークウッド(AJ・フォイト・エンタープライゼス)がスピンし、コース上にストップ。これで二度目の赤旗が出され、レイホールたちのラップは計測されずにセッション終了となったのだ。3年前のトロントで買ったシモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング)もQ1での敗退を喫した。「常にトップ6にポジションを保っていないと、こういう目に遭うのはわかっていたつもりだったが……」とパワーは悔しがっていた。予選順位でピットの位置が決まる。今回はピット出口に近いドライヴァーたちがアタックを行えたのに対して、後方のピットを使う面々はコースに出ると渋滞しているため、タイヤ温度を高めてアタックを行うことができず、さらには赤旗がもう1回出されるという不運が重なってしまっていた。
その一方で、カナダ出身ルーキーであるデヴリン・デフランチェスコ(アンドレッティ・スタインブレナー・オートスポート)が幸運な形で自身初のQ2進出を母国のファンの前で果たした。予選開始からレッド・タイヤで走る作戦が功を奏したのだった。好タイムをマークしていた翌周にターン3のタイヤ・バリアに突っ込んでローカル・イエロー・フラッグの原因を作ったデフランチェスコだったが、パロウがレッド・フラッグを出した間にマシンをバックさせてタイヤ・バリアから脱出し、自力でピットに戻ったことでペナルティを課せられずに済んだのだ。
グループ1でQ2進出を逃した中にはパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)と佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)が含まれた。
ロッシ、最速タイムでファスト6進出
ファイナルに進んだ6人をQ2で速かった順に並べると、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)、デイヴィッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD)、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、ハータ、そしてスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)だった。
惜しくも7位でファイナル進出を果たせなかったのがルーキーのカルーム・アイロット(フンコス・ホリンジャー・レーシング)だった。Q2は10人が1分を切る好ラップ・タイムを記録する大接戦となっていた。
ハータ、ファスト6の最後で驚異的なタイムをマーク
Q3ではハータが59秒5をも切る59秒2698という飛び抜けたラップ・タイムを最後の最後で記録。ニューガーデンをトップの座から押し出してPP獲得を決めた。その後にディクソンが59秒3592をマーク。ハータには0.0894秒届かなかったが、ニューガーデンを3番手に下げアウトサイド・フロント・ロウのグリッドを手に入れた。ホンダ・エンジン搭載勢が1-2でフロント・ロウ独占を果たした。
4位はロッシで、ルーキーのマルーカスが自己ベストを更新する予選5位に。6位はマクロクリンだった。
「自分たちの予選の戦い方は良かったと思う。ファスト6進出が果たせた。自分のフィードバックを取り入れて、チームが最高のマシンを作り上げてくれた。ファスト6に入ることを目標にしていた。それを達成した。その後は、どれだけの情報を収集できるかだった。僕らはこれでファスト6は2回目。一度使ったレッド・タイヤでのアタックは、2セットをどういう順番で使うのかなどを経験し、学ぶ必要がある。今回も僕らは色々と学んだので、次回に活用したい」とシカゴ出身の20歳は話していた。
「緊迫した予選になっていた。そして、これ以上のものはないという結果になった。朝のプラクティスでマシンは非常に良く、予選で想定されるコンディションに合わせてセッティングに調整を施した。今日の予選全体を振り返ると、僕らはレッド・タイヤが新品の時にスピードが不足していた。ところが、ユーズドのレッド・タイヤで走るとマシンは生き生きしていた。このことは非常に興味深く、明日のレースに向けては少し検討をしないならない」とハータはコメントした。
佐藤琢磨は予選19位に
琢磨は朝のアクシデントの修復が間に合わなかった。走れる状態にはなっていたが、セット・アップ・パッドで車高や重量配分、サスペンション・アラインメントが正確に再現されているかを確認する作業を行えないまま予選に臨まなければならなかった。予選結果は19位。「サポートレースでの赤旗のせいでインディーカーのプラクティス2開始が30分ほど遅れました。ただでさえプラクティスと予選のインターヴァルが短いスケジュールなのに、プラクティスでのアクシデントの修理をして予選を迎える。そこがかなりタイトになってしまいました。アクシデント前までのマシンは悪くなかったと思いますよ。走行初日から引き続き作業をして仕上げて来ていたマシンで、セッティングについては行ったり来たりがありましたが、いい部分はあったし、昨日見つけた悪い部分をどう改善して行こうかっていうプログラムをやっている最中のアクシデントでした。ただ、今朝は全体的にラップ・タイムは良くなっていたものの、クルマとしては結構滑り出してきていたので、それを抑えようと色々なことをやっているところでした。ターン6の出口でリヤがウォールにヒットし、比較テストも終了できない状況でセッション終了となってしまいました。そこで予選にはセッティングをアクシデント前のものに戻して臨みました。予選はさらにグリップが向上している路面で行われるという読みもありました。マシンは前の状態に戻っていたんですが、こっちで言うところの”スクエア”なマシンにちゃんと整っていなかった可能性があります」と話していた。
以上
0 件のコメント:
コメントを投稿