Photo:Penske Entertainment |
3年ぶり開催に湧くトロント
2020年と2021年、トロントのインディーカー・レースはパンデミックのために開催されなかった。3年ぶりのホンダ・インディアナポリス・トロントとあって金曜からエキジビジョン・プレイスの特設サーキットには多くのファンが集まった。今年もトロントは金曜を入場無料とした。
今週末のプラクティス1は75分間。走行終了後に返却しなくてはならないレッド・タイヤ1セットが供給されるセッションとされていた。エントリーは前戦ミッド・オハイオより2台少ない25台。タティアナ・カルデロン(AJ・フォイト・エンタープライゼス)、シモーナ・デ・シルヴェストロ(パレッタ・オートスポート)、二人の女性ドライヴァーがカナダに遠征してきていない。
アイロット、ジョンソンがクラッシュ
コマ切れのセッション残り16分でロッシがトップに
快晴だが気温は23℃と低く、快適な午後となっていた。路面温度は47〜48℃。ブラック・タイヤではセッション開始から45分ほどが経過したところでグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が1分01秒2189のトップ・タイムをマークした。ルーキーのカルーム・アイロット(フンコス・ホリンジャー・レーシング)がクラッシュして赤旗が出される直前だった。
アイロットのマシンを片付けた後、走行時間が残り30分を切っていたため、レッド・タイヤで走り出す者が出始めた。しかし、セッションが再開してすぐ、今度はジミー・ジョンソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がレッド・タイヤでスピン&ストールし、またしても赤旗が出された。
残り16分でグリーン。アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)がレッド装着で1分00秒6090を出してトップに立ち、2番手には2019年トロント・ウィナーのシモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング)が1分00秒6991でつけた。セッション終了まで5分を切ってからエリオ・カストロネヴェス(メイヤー・シャンク・レーシング)がタイヤ・バリアに突っ込み、路面チェックのものも含め赤旗は合計4回も出された。この後に走行は再開されたが、時間が短く、誰も自己ベストを更新することはできなかった。
「AAのストリート用セッティングが良い」と語るロッシ
「大勢の観客が自分をやる気にさせてくれた」
トップ・タイムを記録したロッシは、「トロントはいろんな面から素晴らしい街。ここのコースを自分は得意としてきていないが、アンドレッティ・オートスポートのストリート・コース用セッティングが好いのでドライヴィングを楽しむことができている。インディーカー・シリーズがレースを行うコースはどれもユニークで、コース・ヴァラエティの豊富さは誇るべきものがある。2年続けてレースができなかったが、また帰ってくることができて嬉しい。金曜から多くのファンがスタンドに陣取っていたことは自分をやる気にさせた」と話していた。
ホンダ勢がトップ4を独占
シヴォレー最上位はニューガーデン
3番手はレッドでも速さを見せたレイホールの1分00秒7031だった。この3人のタイム差は0.1秒以下の0.0941秒だった。ロッシとパジェノーの差は0.091秒。パジェノーとレイホールの差は0.004秒しかなかった。
34番手は今年のインディー500ウィナーで現ポイント・リーダーのマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)=1分00秒7262。彼と3番手だったレイホールとの差も0.0231秒と小さかった。
トップ4をホンダ・ユーザーが占め、5番手でシヴォレー勢最速だったのは今季3勝のジョセフ・ニューガーデン((チーム・ペンスキー)。彼のベストは1分00秒7650で、ひとつ上のエリクソンとの差は0.0388秒。6番手はフェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレンSP)、7番手はコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)、8番手はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、9番手はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、10番手はアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)。セッション・トップと10番手のタイム差は0.4433秒だった。2020年、2021年にインディーカー・デビューしたドライヴァーたちは今週末が初めてのトロントだいうのにルーキー用のタイヤ・セットが支給されなかった。その厳しい条件下でベスト・ポジションにつけたのがパロウということだ。
佐藤琢磨は13番手
「ディヴィットノマシンの良いところも取り入れて明日に臨みたい」
白/緑/黒のデロイト・カラーのマシンに乗る佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)は、30周を走り、レッドで1分01秒2604のベストをマーク、13番手で走行初日を終えた。チームメイトのデイヴィッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD)はすぐ後ろの14番手だった。ふたりのタイム差は0.015秒しかなかった。
「徐々にスピードを上げて行くことができていました。コースはターン5などいくつかの部分で舗装が新しくされていたりはありましたが、基本的には変わりません。今回も長いセッションとされていましたが、タイヤの供給数が変わらないので、その長さが効果を発揮していません。サーキットに来てくれたファンのためにも、もっと走りたいのですが、タイヤを無駄にはできないので、結局最初の15〜20分間は1セット余計に使えるルーキーたち以外は走らないようにするしかないんです。自分達はブラック・タイヤでトップ10を走りましたが、レッドではトラフィックがいつも通り問題でした。チームメイトのデイヴィットとほぼ同じラップ・タイムでしたね。片方がどこかで速く、もう一方が違うところで速い……ということになっていると思うので、これからデータを見合わせて、それぞれの良いところを明日のセッティングに取り入れて行きたい」とコメントしていた。
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