1日を通して強風にみまわれたファスト・フライデー
クラッシュの危険性もあり、十分な走行ができず
予選用ブーストで走る金曜日=ファスト・フライデーも最速ランナーは佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)だった。今日も走行時間は6時間あったが、1日を通して強風が吹き荒れ続けたため、多くの走行が行われることはなかった。空は快晴なのに、走るマシンは少ない。ちょっと残念な1日となってしまった。せっかく多くのファンがスピードウェイに集まっていたというのに……。
プラクティス開始から1時間ほどで231.883マイルのラップを記録したアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)は、その後に走行を重ねることはなく、マシンをガレージに仕舞い込んでしまった。それは果たして彼自身の意向だったのか、アクシデントを恐れたチームの判断だったのか……。他のチーム、ドライバーたちも彼と似たような状況だった。風が弱まれば走りたい……と考えるチーム及びドライバーは多かったが、夕方になってもコンディションに大きな変化は訪れなかった。
佐藤琢磨、難しい条件の中で2周連続231mph
セッション終盤には今年初めての232mph台に
琢磨が最初にコースインしたのは午後2時半過ぎ。瞬間風速は秒速17メートルを超え、気温も28℃と高かった。スピードを出しにくい条件が整っていた。
3時過ぎ、琢磨が再びコースに現れて予選シミュレーションを敢行。231マイル台を2周連続で記録した。予選ブースト、予選用セッティングでもマシンが速いことが確認された。しかし、3周目にスピードが落ち、4周終了までアタックは続けずに琢磨はピットに向かった。無理をする必要はないのだ。
琢磨のチームメイト、ルーキーのデイヴィッド・マルーカスは琢磨の最初のシミュレーションの前から果敢に走行を重ねて行った。大きなダウンフォースを与えられたマシンでの走行で素晴らしいスピードを出し続けた彼には大きな声援が送られていた。
もう走行時間が残り30分を切ってから、琢磨は自身3回目のシミュレーションへと出ていった。そして、232.789マイルのラップをマークし、ファストフライデーのトップに躍り出た。このシミュレーションでの琢磨は2周続けて今年初めての232マイル台のラップを記録した。
「3周目、4周目もスピードと安定を保てるマシンとしたい」
プラクティスで3日連続トップ。琢磨は間違いなくポールポジションの最有力候補となった。「まだ自分たちは計測3周目、4周目を速く走れるマシンにできていない。ダウンフォースが少なかったのかもしれない。今日はチームメイトのデイビッド(・マルーカス)が何度もシミュレーションを行ってくれた。彼は大きなダウフォースで走り、私は小さなダウンフォースを試していた。両方のデータを見て、明日のマシンは3、4周目にもスピードと安定を保てるものとしたい」と琢磨は語った。マルーカスは、「インディ500は初めてのため、予選シミュレーション中のマシンに起こった想定外の動きが果たしてタイヤの摩耗によるものなのか、風の影響によるものなのか、もっと違った要因があってのことなのか……判断がつかなかった。そんな状態で次のコーナーに飛び込んで行くのは大変だった」と話していた。
この日の4連続ラップ最速はカナーン
高いレベルにあるチップ・ガナッシ勢のマシンの仕上がり
今日、最速の4連続ラップを記録したのは2013年ウィナーのトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。セッション終了間際の走行でのことだ。彼は4周平均230.517マイルをマークした。
シミュレーション/スピード2番手はマルーカスの230.287マイル。もし彼がポールポジションを獲得したら、それは1983年のテオ・ファビ(フォーサイス・レーシング)以来となる。
デイル・コイン・レーシングは今日のプラクティスで最も積極的に走行を重ねていた。明日が今日と似たコンディションとなれば力を発揮することになるだろう。走行を控えたライバル勢は消極的に過ぎたのではないか。答えは明日出る。
琢磨にとって一番の強敵となるのはチップ・ガナッシ・レーシングだろう。マーカス・エリクソンが231.782mphで4番手、スコット・ディクソンが231.530マイルで5番手、トニー・カナーンが8番手で4ラップ平均が今日の最速だった。彼らにはアレックス・パロウとジミー・ジョンソンもいる。その5台エントリーをフルに利用して、今日の彼らが収集したデータはかなりクォリティが高いからだ。
チップ・ガナッシ・レーシングといえば、NASCARチャンピオンのジョンソンが今日、壁にヒットする今年最初のドライバーになった。午後1時25分、ターン2でマシンがラインから外に流れ、SAFERバリアにヒットした。前後ホイールが同時にヒットしたため、マシンはスピンに陥らずに済んだ。そのまま今日は走行なし……となってはジョンソンの脳や体にネガティヴなイメージを残してしまうことから、チップ・ガナッシ・レーシングはマシンを修復して彼に予選シミュレーションを行わせた。
オーワード、シヴォレー勢の最速
ペンスキー勢はいまひとつ
今シーズンの開幕4戦で4連したシボレー勢は、パト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)の3番手が今日の最上位だった。231.798マイルのベストを記録した彼は、
4周アタックで230.111マイルという3番目にランクされるスピードを出していた。
しかし、チーム・ペンスキーはスコット・マクロクリンが9番手、ジョセフ・ニューガーデンが10番手、ウィル・パワーが11番手と今ひとつ今日は振るわなかった。エド・カーペンター、リナス・ヴィーケイ、コナー・デイリーの3台体制で戦うエド・カーペンター・レーシングも今日は目立たなかった。
ホンダ勢は初日が1-2-3-4、2日目が1-2-3、そして今日は1-2と優位を示してきている。今シーズンの開幕4戦で4連勝したシヴォレー・エンジンはパワー・アップがなされているとの見方もあるが、ハイブースト・エンジンをレヴ・リミット付近で回し続けるインディ500のようなコースでは、過去2年続けて勝って来ているホンダ・エンジンがピークパワーの高さと、優れたドライバーバビリティでアドヴァンテイジを保っている可能性が高いのではないだろうか。今年のシヴォレー勢のパフォーマンス向上は、各ドライヴァーに合わせたエンジン・マッピングなどのカスタマイズが効果を発揮したもののように見えている。
以上
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