14歳の時、レーシングカートでレースキャリアをスタートし、フォーミュラ・ルノーへとステップアップしたリカルド・フンコス。資金難のためドライバーとしての活動が難しくなった後、さまざまなレーシングチームで働き、チームオーナーとして2017年からインディーカーに挑戦する。アイロットは彼のチームで走った6人目のインディーカードライヴァ―となる Photo:Gustavo Rosso クリックして拡大 |
インディーカーに挑戦開始から5年目
アイロットとともにシングルカー体制で挑む
アルゼンチンからアメリカへ2002年に渡ってきたリカルド・フンコスは、カート・チームでメカニックとして働き、自らのカート・チームを興して数々のタイトルを獲得すると、2009年からジュニア・フォーミュラへとチームをステップ・アップ。これまでにインディー・ライツで2回、インディー・プロ2000で5回のタイトルを獲得して来ている(コナー・デイリー、リナス・ヴィーケイらをチャンピオンの座につけた)。
2017年、ついにリカルドのチームはインディーカーへとステップ・アップ。インディー500に2台をエントリーさせた。しかし、フル・シーズン・エントリーをし続けることは難しかった。
2019年、インディー500に前年度インディー・ライツ・チャンピオンのカイル・カイザーをエントリーさせた彼らは、フェルナンド・アロンソをグリッドからバンプ・アウトして決勝へと進出した。
2021年、チームは新パートナーのブラッド・ホリンジャーを迎えてフンコス・ホリンジャー・レーシングとなった彼らは、最終3レースにカルーム・アイロットを参戦させ、今シーズンはフル・シーズン出場を行う。
「インディーカーに慣れてきてアイロットはどんどん速くなっています
チームも彼とともにゆっくりとですが実力を高めています」
ジャック・アマノ(以下――): 昨日の予選で11位に入り、ウォーム・アップでは最速でした。何がこれまでと違うのでしょう?
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リカルド・フンコス(以下フンコス):カルーム・アイロットがヨーロッパで走らせいたマシンとインディーカーは大きく違いますが、インディーカーに彼が随分と慣れて来ているので、どんどんドライヴィングが良くなっています。チームもドライヴァーと共にレヴェル・アップを実現しています。マシンについて学び、自分たちなりの開発も行えています。ゆっくりとですが、チームとして実力を高めて行くことができています。今週末のバーバー・モータースポーツ・パークは、カルームが能力を発揮し易いものでもあるのでしょう。彼がずっと走ってきたヨーロピアン・スタイルのコースですからね。彼自身が私たちから多くを学び、慣れたタイプのコースで実力を発揮できている上に、マシンも良くなっている……というのが好走の理由だと思います。
まだ私たちのチャレンジは始まったばかり。これからまだまだかルームは多くを吸収し、速くなって行くでしょう。私たちのチームも休みなく努力を続け、レヴェル・アップをして行きます。
「5人のドライヴァーをリストアップした中で
唯一、私たちのプログラムに加わってくれたのがアイロットです」
――昨シーズンの終盤3レースに出場した。そこでの経験がルーキーとして戦う今シーズンに役立っていますね?
フンコス:そう思います。私たちは今年からのフル・シーズン・エントリーに向けて5人のドライヴァーを候補に挙げましたが、その中から唯一、私たちのプログラムに加わってくれることとなったのがカルームでした。他の4人は本人がアメリカに来たくないか、他のプロジェクトに起用されることが決まって来られなくなりました。私たちはカルームを昨年の3レースで走らせ、お互いに非常に気に入って今シーズンのフル参戦がなりました。3レースを一緒に戦った経験を大きく活かしたい。それが賢い選択だと同意したんです。
「アイロットは二種類のタイヤに上手に対応しています
近い将来のファスト6のためユーズド・レッドでの走りもトレーニングしています」
――カルームは二種類あるタイヤもうまく使えるようになっているようですね?
フンコス:彼は両タイヤの違いを理解し、上手に対応しています。とても難しいチャレンジですけれどね。もうひとつ彼が直面しているのは、予選の難しさです。短い時間で両方のタイヤを使い、ベストのパフォーマンスを引き出す。まだ経験しているレース数が少ないですが、かなり良い仕事ができていると評価しています。
――昨日の予選ではQ1でスコット・ディクソンとウィル・パワーが敗退しましたが、カルームはQ1をクリアし、Q2を戦って予選11位になりました。
フンコス:Q1、Q2、両方とも彼はブラック・タイヤで走り出し、レッド・タイヤにスイッチしてアタックを行いました。
――もしQ3に勧めていたら、ユーズド・レッドでの戦いになりますが、どうなっていたでしょうね?
フンコス:それは皆同じ条件です。ユーズド・レッドを上手に使ってタイムを出す。私たちが未だ経験したことのない世界ですが、カルームがどんな闘いぶりを見せてくれるか、とても楽しみですね。そのための練習を私たちはしていますよ。プラクティスでユーズド・レッドを装着し、速く走ることにもトライしているんです。
――そうした結果が昨日のウォーム・アップでの最速ラップに繋がったんですね?
フンコス:はい。できれば、近い将来に予選のファイナル・ステージに進み、トップ6での戦いを行いたいと思います。
「オーヴァルでの彼の成長のためにも来月インディー500を戦うことが楽しみです」
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――彼はオーヴァル・レースを楽しんでいますか? ロードレース出身ドライヴァーの中には、なかなかオーヴァルを好きになれないドライヴァーもいますが……。例えばパワーのように。逆に、佐藤琢磨やシモン・パジェノーらのようにオーヴァルという挑戦を最初から歓迎するドライヴァーもいます。
フンコス:彼はオーヴァルでもすでに速さを見せていますが、“非常に好き”という感覚になっているのかは正直、私にもわかりません。オーヴァル・レースというものへの理解度もまだ100パーセントにはなっていないでしょう。どちらかと言うと、今のカルームはパワー寄りの状況にあると見えています。でも、今後どうなるかはわかりません。彼にはまだ少しの時間が必要だと思いますね。オーヴァルを走ることを学び、オーヴァルの難しさ、おもしろさを理解するまでには誰でもある程度時間がかかるものですから。
――来月、初めてインディー500を経験して、オーヴァル・レースの虜になるって可能性も当然ありますからね。
フンコス:まったく、その通りです。私も、チームとしてまたインディー500を戦えるのを楽しみにしています。
以上
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