2022年4月11日月曜日

2022 INDYCARレポート R3 アキュラ・グランプリ・オヴ・ロング・ビーチ Race Day 決勝:強か! ジョセフ・ニューガーデンがロング・ビーチを制す

ペンスキーのエースの堂々たる勝利! ニューガーデンはポイントリーダーに浮上 Photo:Penske Entertainment (Chris Jones)クリックして拡大

  PPスタートのハータ、予想どおりスタートから独走態勢に


 気温18℃、路面温度44℃。コンディションは昨日の予選とほぼ同じになった。やや風はあるが日差しは強く、スタート後も徐々に路面は温まって行く可能性があった。
 昨日の予選で圧倒的な速さを見せたコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)は、涼しかったウォームアップセッションでも最速。スタートで”チェック・アウト”して一気にゴールまで突っ走ってしまうのでは?
とさえ考えられた。

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  予定の12時45分にグリーン・フラッグが振られると、PPからトップを守ったハータが1周目の前半にして明確なリードを築き上げた。その後も彼のペースは頭抜けており、予選2位から2番手を守ったジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)に5周で2.3秒以上の差をつけてみせた。
 6周目に出たイエローでその差は消えたものの、リスタート後もアタックのチャンスを与えないだけの距離を保ってトップを快走した。

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パロウ、早めのピットインでハータを逆転
ニューガーデンにも先行されたハータは単独クラッシュ!

 ハータのプランに狂いが出始めたのは、予選3位だったアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)が早めのピット・インを行った辺りか。フレッシュ・ブラックを装着してハード・プッシュした昨年度チャンピオンはコース復帰2周目に今回のファステスト・ラップをマーク。そのラップにピットしたハータがコースに戻ると、パロウが大きく先行していた。ガナッシとアンドレッティのピット作業にも差があったということだろう。そのタイムロスによってハータは2番手のポジションさえニューガーデンに明け渡した。

圧倒的なスピードを見せていたハータだったが、ピットで首位を明け渡し3位に後退したのち、まさかの単独クラッシュ Photo:Penske Entertainment (Chris Jones)クリックして拡大

  ピットから出てきたニューガーデンは温まり切らないタイヤでも絶妙のライン採りでポジションを堅持した。しばらくアタックを続けていたハータだったが、ついにパスはならず。苛立ちと焦りからか56周目のバック・ストレッチ・エンドでブレーキングをミス。右フロント・ホイールが僅かにロック、バンプで跳ねたマシンは彼の意志に反してノーズがターン・インせず、アウトサイドのコンクリート・ウォールにノーズからハードに突っ込んだ。
 最終スティントにまだ逆転のチャンスはあったはずだ。悪くてもトップ3フィニッシュはできただろう。そんなレースでリタイア……はランキング3位以内でF1スーパー・ライセンス獲得というタスクを与えられている彼には大きな痛手だ。3戦を終えてのポイント・スタンディングは11番手。トップとのポイント差は1レース優勝分以上の59点に早くも広がってしまっている。

盤石に見えたパロウだったが、2回目のピットで
ニューガーデンがギリギリ前でレースに復帰!


 最初のイエローで燃料補給したドライヴァーたちがピットに向かい、パロウは33周目にトップに立った。この時点で2番手にいたニューガーデンとの間には3秒以上も差をつけていた。デビュー・イヤーからクレヴァーでしぶとい戦いぶりを見せ、インディーカー参戦2年目にしてチャンピオンになったスペイン人ドライヴァーは、チームの作戦も見事に当たり、クルーたちの素早いピット作業も味方につけて今シーズン初勝利へと逃げ切る可能性十分と見えていた。

 しかし、55周目に2回目の、そして今日最後のピット・ストップを行うと、そのラップに今度はニューガーデンがレース中の自己のファステスト・ラップを記録。ニューガーデンはパロウのギリギリ前へとピットアウトした。

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見応えあったアウトラップの攻防
さらにグロジャンのアタックもかわしニューガーデン優勝


 ターン1で背後に迫ったパロウは、ニューガーデンのタイヤが温まり切る前にパスしようと攻め立てた。しかし、1回目のピット後にハータを封じ込めたのと同じようにニューガーデンはポジションを守り抜いた。ふたりとも”ここが今日の勝負どころ”とわかっていた。パロウはリスクを承知で水族館周りのタイトなコーナーで二度アタックを仕掛けた。ニューガーデンが予測していない場所でしかパスは実現しないと考えたからだ。しかし、まだパフォーマンスを内圧も上がらず、温度も低く、性能をフルに発揮していないタイヤでありながらニューガーデンはパロウの攻撃を跳ね除けた。こういう戦いで揺るぎない闘志、そして、ふてぶてしいほどの強さを見せるのがニューガーデンだ。
 パロウはプッシュ・トゥ・パスの残り時間も少なく、ここで優勝はほぼ不可能となった。それでもまだニューガーデンは楽をさせてはもらえなかった。

激しくチャージしてくるグロジャンに対し、ニューガーデンは緻密なライン取りで付け入るスキを与えない Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大

  今度はパロウをパスしたロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート)が攻撃してきたのだ。
 しかし、ここでもニューガーデンはしぶとさを見せ、トップを死守した。6番手スタートから4つポジションを上げるまでにプッシュトゥパスをほぼ使い切っていたため、グロジャンは初優勝にあと一歩届かなかった。

「グロジャンを抑えるために全力を出し尽くした
ロングビーチ11回目の挑戦で優勝でき、とてもうれしい」

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 「自分のキャリアの中でも上位に来る素晴らしい勝利になった。それは間違いない。今日は凄い戦いになっていたからね。ロングビーチGPというのは簡単に勝てるレースじゃない。外からはどう見えていたかわからないけれど、レッド・タイヤを履いたグロジャンを封じ込めるべく、レース終盤の僕は持てる力のすべてを出し切って走っていたんだ。彼のタイヤがもっと早く音を上げることを期待していたけれどそうはならず、最後のリスタートで彼を跳ね除けるのは本当に大変だった。我々のマシンは実に強かった。ピット・ストップに助けられての勝利でもあった。彼らのおかげでパロウの前に出ることができたんだ。11回目の挑戦でロングビーチで勝つことができた。とてもうれしい」。
 ポイント・リーダーの座に躍り出るに相応しいニューガーデンのファイト、そして勝利だった。
以上

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