ハータ、ホンダに今シーズン初のPPをもたらす2017年にカストロネヴェスが樹立した1分1分06秒2254を大幅に上回る
1分05秒3095をマーク! ハータが自身キャリア8回目のPPを決めたPhoto:Penske Entertainment (Chris Jones) クリックして拡大
開幕から2戦続けてシヴォレー勢がポール・ポジションを獲得してきたが、3戦目でホンダがシーズン初のポール・ポジションを、アキュラ・グラン・プリ・オヴ・ロング・ビーチで手に入れた。その殊勲を立てたのはコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)だった。ハータが生まれたのはロング・ビーチの北60マイルほどのヴァレンシアという町。そして、ホンダのアメリカ本社はロング・ビーチから15マイル以下という近さのトーランス。地元でのシーズン初PP獲得を彼らは共に祝うこととなった。
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プラクティス1から大幅に路温が上昇した予選
まずQ1グループ1でハータがトップに
Q1のグループ1は正午過ぎにスタート。空は快晴。気温は朝のプラクティス2と変わらない19℃。しかし、路面は強い日差しのせいで44℃まで大幅に上昇していた。
このグループではフェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレンSP)がまずはペース・セッターとなり、スコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)がトップに立つシーンもあったが、ハータがブラック・タイヤでの戦いを1分06秒6653の最速ラップで制し、レッドでのバトルも1分05秒7283のベストでトップを獲った。
2番手はハータのチームメイトでやはりカリフォルニア出身のアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)。ローゼンクヴィストが3番手、マクロクリンが4番手、ルーキーのカイル・カークウッド(AJ・フォイト・エンタープライゼス)が5番手、マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が6番手だった。
レイホール、JJに妨害されてQ1敗退アタックラップでジョンソンにラインをふさがれる不運でQ1敗退の憂き目に Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大
Q2進出を逃したのはグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、リナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)、佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)ら。グレアム・レイホールはアタック・ラップをジミー・ジョンソン(チップ・ガナッシ・レーシング)に妨害された。ジョンソンはピット・ロードから出て来た直後で、レイホールがターン1の立ち上がりで一番アウト側まで行きたいところで、ちょうどそこにいるという危険な状況となっていた。ジョンソンはピット・ロードのストレート上でレイホールを先行させるべきだった。昨日のプラクティス1で1回、今朝のプラクティス2では2回タイヤ・バリアに突っ込むアクシデントを起こしたジョンソン。7度もNASCARのトップ・シリーズでチャンピオンとなった彼には敬意を払いたいが、現状のままではライヴァル勢やレースに与える悪影響が大き過ぎる。
グループ2でもブラック・タイヤのトップはロッシ
レッドでのトップはグロジャンとAA勢好調Photo:Penske Entertainment (Chris Jones) クリックして拡大
Q1のグループ2開始時は気温が20℃、路面も45℃と1度ずつアップ。こちらでもアロウ・マクラーレンSPのドライヴァーが好スタートを切った。パト・オーワードだ。しかし、ブラック・タイヤでのトップ・タイムはQ1と同じくアンドレッティ勢。ロマイン・グロジャンが1分05秒9796をマークした。2番手はシモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング)。こちらもアンドレッティ勢の一角だった。
レッドでのトップもグロジャンが確保。2番手もブラックと同じでパジェノー。3、4番手にはチーム・ペンスキーのウィル・パワー、ジョセフ・ニューガーデンがつけた。2021年チャンピオンのアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)は5番手。オーワードが6番手でQ2進出を果たした。
有力選手もQ1敗退!レイホール、デイル・コイン
エド・カーペンター、フンコスはQ1で全滅
エリオ・カストロネヴェス(メイヤー・シャンク・レーシング)は7番手でQ1敗退。オーワードとの差は0.0686秒しかなかった。
インディーカー・シリーズ・チャンピオンに6度輝いているスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)もP8でQ2進出に失敗した。
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング、デイル・コイン・レーシング、エド・カーペンター・レーシング、そしてフンコス・ホリンジャー・レーシングはQ1で全車敗退という厳しい結果となった。
ホンダ、シボレーのここまでのパフォーマンスは互角
Q1の両グループの結果をエンジン別でみると似通ったものになっていた。ホンダが1−2、シヴォレーがP3とP4で、5、6番手を分け合っていたのだ。12台で争われるQ2はどちらのエンジン・ブランドも6台ずつとなった。
路面のコンディションは後に走ったグループ2の方がタイヤ・ラバーの乗った分だけよかったはずだが、グループ1トップのハータの方がグループ2トップのグロジャンより速く、両グループのP2を比べるとグループ1のロッシの方がグループ2のパジェノーより速かった。その一方で、6番手のタイムを比べるとグループ2のオーワードの方がグループ1のエリクソンより速かった。そして、トップ6の拮抗ぶりを見ると、グループ2の方が激しくなっていた。Q2進出を逃したカストロネヴェス、ディクソン、コナー・デイリー(エド・カーペンター・レーシング)のベストはグループ1のP6=エリクソンのものより速かった。もちろん、ここには後に走った彼らの方が路面のコンディションが良かったという影響があった可能性が高いのだが……。
ハータ、Q2も制す!
パワーはわずか0.00001秒差で7位となり、ファスト6進出を逃す Photo:Penske Entertainment (Chris Jones)クリックして拡大
Q2でもハータは強かった。ブラックで1分05秒9478でトップに君臨。レッドでも1分05秒4507のベストで2セッション連続トップ・タイム。2〜6番手でファイナル進出を果したのはロッシ、ローゼンクヴィスト、パロウ、ニューガーデン、グロジャンという顔触れになった。
Q3に駒を進めることができなかった中のトップはパワー。グロジャンとの差は0.0001秒だった。エリクソン、マクロクリン、パジェノー、オーワード、そしてカークウッドが敗退した。
ルーキーで唯一Q2進出を果たしたカークウッドだったが、1分6秒0260で12位に終わるPhoto:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大 |
セイント・ピーターズバーグがインディーカーへのデビュー戦だったのにも関わらずQ2進出を果した昨年度インディー・ライツ・チャンピオンのカークウッドは、初めて走るロング・ビーチでもQ1を突破した……が、Q2では両レースともしんがりの12番手という結果に終わった。
ハータ、ユーズドでフレッシュレッドを上回るタイム!
Q1、2に続いてファスト6も制しパーフェクトなPP
気温20℃、路面48℃となったファイアストン・ファスト6による予選ファイナル・ステージは、誰もがユーズド・レッドしか残っていない状況。ここでもハータの速さが突出していた。路面がさらに向上していることもあるが、彼はフレッシュ・レッドで走ったQ1、Q2での自己ベストよりも速い1分05秒3095を出したのだ。プラクティス2ではスピン&クラッシュも経験したが、予選までの戦いぶりは2年連続優勝の可能性を強く感じさせるのとなっている。
「すべてを検討し直し今日のは完璧に違うセッティング
それが大成功! ロングビーチでのPPに感激している」
「ホンダエンジンが素晴らしかった」と語るハータ。「ここからはレース用マシンをどう仕上げるかにフォーカスを移す」とロングビーチ連勝を狙う Photo:Penske Entertainment (Chris Jones)クリックして拡大 |
今季初、キャリア8個目のPPを手に入れたハータは、「マシンが最高だった。昨日は苦戦していたが、全てを検討し直して今日のマシンには完全に違うセッティングを投入してみた。それが大成功だった。変更がうまく行って本当に嬉しい。ホンダ・エンジンが素晴らしかったから自分たちは明日のレースをベストのポジションからスタートできる。ここロング・ビーチでPPを獲れたことに感激している。私がインディーカー・レーサーになったのは、このレースがあったからなのだ。去年はそのレースで初勝利を挙げることができた。それも素晴らしいことだったが、今年はPP獲得という目標も達成できた。何と表現していいのかわからないほどの喜びを感じている。さぁ、1ラップのスピードは非常に速いものにできた。ここからはレース用のマシンをどう仕上げるかにフォーカスを移す」と語った。
じわじわとマシンを仕上げてきたニューガーデンが2番手に安定したパフォーマンスをここロングビーチでも発揮してニューガーデンが予選2番手に Photo:Penske Entertainment (Chris Jones)クリックして拡大
予選2位にはニューガーデンが来た。第2戦テキサスのウィナーは今週、プラクティス1で4番手、プラクティス2で13番手、予選のQ1/グループ2で4番手、Q2で5番手という成績だったが、予選ではここまでのベスト・ポジションとなる2位。着々とマシンを仕上げて来ている印象だ。
「正直なところ、今日は2位でもとても喜んでいる。ファスト6で何か特別なゲインをして、不可能を可能にいしたいといつも願っているけれど、今日はそれがとても難しい状況だった。コルトンがファスト6に使用ラップの少ないタイヤで臨めていたからね。自分たちがQ1でもQ2でも前車との間隔を確保し、ベスト・ラップを出すのに3周を要したためにファスト6で使えたタイヤはコルトンのものより摩耗が進んでいたんだ」と彼は説明した。
彼がQ1、Q2ともにレッドで4周のアタックを行ったのに対し、ハータはQ1は2周、Q2は3周と両セッションとも少ない周回数でベストを出していた。
グロジャンがクラッシュして予選はほぼ終了に
グロジャンがクラッシュしてセッションはほぼ終了となった。このせいで彼のチームメイトのロッシは自己ベストを更新できなかった。ロッシにはPPは無理だったかもしれないが、P2の可能性はあった。予選3位で2列目イン側グリッドからスタートする権利を得たのはパロウ。4位はローゼンクヴィスト。ロッシは5位。レッド・フラッグを出したが、グロジャンは昨年と同じP6からレースに臨む。
ストレートスピードが全車中最遅の佐藤琢磨
「いろいろ試していますがうまくいっていません」
琢磨の苦戦はストレート・スピードにあった。出場26台の中で最も遅いのだという。マシンのどこかでドラッグが発生しているのだ。その原因は予選までに見つけられていない。
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「予選のコンディションは昨日と今日のプラクティス2回の中間ぐらいの温度になっていて、それは予測をしていた通りでした。しかし、予選でのマシンはタイヤの内圧が上がり過ぎていたのと、ストレートでのスピードが何が伸びていなかった。何がドラッグになっているのかがわかっていないんですが、スピードが出ないことで非常に苦労しています。問題がエンジンにないことはわかっています。マシンのどこかで抵抗が発生しているんです。そこに来てマシン自体のバランスもあまり良くありません。プラクティスを2セッション走って、予選に向けてセッティングをさらに変更して行って、それはポジティヴな方向に出ました。ただ、その伸び代があまり大きくなかった。周りもセッティングを良くしているので。自分たちの今のマシンではレッド・タイヤの良いところを上手に使えていませんね。曲がりづらく出づらい。そういうマシンになってしまっています。うまく行ってない時って、こういうクルマになっちゃうんです。この状況をどう打開するかに、いまの自分たちは苦労をしていますね。予選でのマシンは良くなっていました。でも、もっとタイヤをうまく使えるはずなんです。ここまでに幾つかの変更をトライして来ましたが、予選までに向上を積み上げることができていません。うまく行っていないから色々と試しますたが、うまくマシンの状態が上がって行かないんです。あちらを立てればこちらが立たず……みたいになっています。まとまってないって感じです。まだ明日にウォーム・アップ・セッションがあるので、そこで良くできるよう頑張ります」と琢磨は話した。
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