2022年1月10日月曜日

2022INDYCAR ニュース 1月9日:新年のニュース

ペンスキーからマクラーレンに引き抜かれたギャビン・ウォード。ペンスキーのトップチームとしての牙城を脅かす人事だ Photo:INDYCAR (クリックして拡大)

新年明けましておめでとうございます。
2022年も”Jack Amano Report from INDYCAR"をよろしくお願いします。


ジョセフ・ニューガーデン担当エンジニアを
アロウ・マクラーレンSPが引き抜く!

 チーム・ペンスキーで2019年にジョセフ・ニューガーデンとともにシリーズ・チャンピオンとなったカナダ人エンジニア、ギャヴィン・ウォードが2022年シーズンに向けてアロウ・マクラーレンSPへと移籍する。まさか(!)のヘッド・ハンティングが実現した。

 これまでのペンスキーといえば、もっぱら引き抜く側だった。他チームは、「ペンスキーに引っ張られてしまうんだったら仕方がない」と、ダメージを被るが諦めることしかできなかった。彼らはシモン・パジェノーをシュミット・ピーターソン・モータースポーツから引き抜いた。ドライヴァーとセットでエンジニアまでSPMは失う羽目になった。ニューガーデンはエド・カーペンター・レーシングからの移籍だった。彼にチャンスを与え、勝てるドライヴァーになったところで“持って行かれた”エド・カーペンターは怒っていた。

 マクラーレンはペンスキーからキー・パーソンをかっさらった。歴史も実績もある古豪チームであっても、彼らは遠慮や尻込みなど一切しなかった。この移籍劇で感じさせられるのは、“チーム・ペンスキーは、もはやインディーカー・シリーズにおける絶対的な存在ではなくなったのか?”という点。アロウ・マクラーレンSPは彼にペンスキー以上のやりがい、将来の可能性、あるいはサラリーを提供するということだからだ。
 ウォードはマシンの先行開発を担当する予定で、2022年もアロウ・マクラーレンSPはテクニカル・ディレクターのクレイグ・ハンプソンがフェリックス・ローゼンクヴィストを担当し、パト・オーワードはウィル・アンダーソンが見る体制が維持される。10レースほどにエントリーさせる見込みの3台目で、ウォードはエンジニアを務めることになるのかもしれない。
 出場台数が増加の傾向にあるインディーカー・シリーズは、明らかなエンジニア不足。優秀なエンジニアの獲得合戦は、これを機に更に激しさを増しそうだ。
 なお、SMPからパジェノーと共に移籍してきたエンジニア=ベン・ブレッツマンは、パジェノーがメイヤー・シャンク・レーシングに移ってもチーム・ペンスキーに残ることになった。しかし、彼がニューガーデンと組むことはなさそうだ。彼はペンスキーが仕切るポルシェのスポーツ・カー・プロジェクトに関わることになったからだ。ポルシェのLMDhマシンが実戦デビューするのは2023年だが、彼らはリサーチのために2022年の世界耐久選手権(WEC)LMP2クラスにフル・エントリーを行う計画だ。


ケヴィン・カルクホーヴェン ✞1944-2022 写真は2013年、KVレーシングとしてインディ500を制した時、コ・オーナーのジミー・ヴァッサー、ドライヴァーのカナーンとともに Photo:INDYCAR (クリックして拡大)  

ケヴィン・カルクホーヴェン死去

 昨年末にアル・アンサーの訃報を伝えたばかりだが、新年になって、KVレーシング・テクノロジーというチームの共同オーナーだったケヴィン・カルクホーヴェン氏が77歳で他界したとの悲報が入ってきた。
 オーストラリア出身のビジネスマンであるカルクホーヴェンは、アメリカン・オープン・ホイールの分裂時代だった2003年にチャンプカー・シリーズの共同オーナーとなり、PKレーシングも設立してチームとしての参戦も開始。クリスチアーノ・ダ・マッタ、ウィル・パワーとともに2勝を挙げ、チャンプカー・シリーズにエンジンを供給していたコスワース・エンジニアリング、そして、そのエンジン・マネジメント・システムなどの開発メーカーであったPiリサーチの買収も行った。
 しかし、彼らのチャンプカー・シリーズは次第に劣勢となり、2008年にインディーカー・シリーズへと併合された。当時のカルクホーヴェンは、元インディーカー・チャンピオンのジミー・ヴァッサーとKVレーシング・テクノロジーを経営しており、一本化されたインディーカー・シリーズに継続して参戦した。パワー、ポール・トレイシーらを走らせたKVRTは、佐藤琢磨がインディーカー・デビューを果たすチームともなった。そして、2013年、インディー500優勝をトニー・カナーンのドライヴィングで達成。さらに後にはセバスチャン・ブルデイを起用し、活動最終年となる2016年までに4勝をマークした。


2022年シーズン=25台のフル・シーズン・エントリーがほぼ確実

チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ
スコット・ディクソン
アレックス・パロウ
マーカス・エリクソン
ジミー・ジョンソン(フル・シーズン出場)
トニー・カナーン(2021年同様にオーヴァルのみの予定)

チーム・ペンスキー/シヴォレー
ジョセフ・ニューガーデン
ウィル・パワー
スコット・マクロクリン

アロウ・マクラーレンSP/シヴォレー
パト・オーワード
フェリックス・ローゼンクヴィスト
3台目:10戦ほどにエントリーさせる

アンドレッティ・オートスポート/ホンダ
コルトン・ハータ
アレクサンダー・ロッシ
ロマイン・グロジャン
デヴリン・デフランチェスコ(R)

メイヤー・シャンク・レーシング/ホンダ
エリオ・カストロネヴェス
シモン・パジェノー

エド・カーペンター・レーシング/シヴォレー
エド・カーペンター(オーヴァルのみ)
リナス・ヴィーケイ
ライアン・ハンター-レイ?? (ロード・コース&ストリート・コース+インディー500?)

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ
グレアム・レイホール
ジャック・ハーヴィー
クリスチャン・ルンドガールド(R)

デイル・コイン・レーシング/ホンダ
佐藤琢磨
デイヴィッド・マルーカス(R)

AJ・フォイト・エンタープライゼス/シヴォレー
カイル・カークウッド(R)
ダルトン・ケレット

フンコス・ホリンジャー・レーシング/シヴォレー
カルーム・アイロット(R)

カーリンはシリーズ撤退

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