2021年9月27日月曜日

2021 INDYCARレポート R16 アキュラ・グランプリ・オヴ・ロング・ビーチ Race Day決勝:最終戦ロング・ビーチでもコルトン・ハータが優勝

 

予選での失敗を挽回、ハータは最終戦でシーズン3勝目を飾る Photo:INDYCAR(Chris Jones)クリックして拡大

 ストリートコースで予選14番手から優勝!
カリフォルニア2連戦をスウィープ

 コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)が14番手からのスタートで優勝を飾った。ストリートコースではなかなか見られない、驚くべき勝利だった。先週のラグナ・セカからの2戦連続優勝だ。
 そのラグナ・セカで13番手スタートから3位フィニッシュしたロマイン・グロジャン(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)を見て、「来年の予選は自分たちも13番手を狙い、フレッシュ・レッドを2セット持って決勝に進むことも考えようか。その方が有利かもしれない」と話していたハータは、まさにその通りの戦いを今回のロング・ビーチで実践することとなった。

スタートの1コーナー。この直後、ヘアピンでジョーンズがオーワードに追突、オーワードはスピンしフルコースコーションを引き起こすが、ハータはこの混乱もうまく切り抜けてポジションアップを果たしていくPhoto:INDYCAR(Chris Jones)クリックして拡大

 13位とほぼ変わらない14番グリッドからスタートした彼は、1周目のヘアピンでエド・ジョーンズ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)がやらかしたことにも助けられ、4ポジション・アップの10番手へ浮上。2周目にジョーンズをパスし、6周目にチャンピオンシップコンテンダーのアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)、8周目に先輩チームメイトのジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・スタインブレナー・オートスポート)を抜いたハータは、10周目にはブラック・タイヤ装着のシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)も仕留めてみせた。

セカンドスティントもレッド投入し
オーバーテイクを重ねるハータ


 ハータの1回目のピットストップは18周目と早かった。パト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)がスロー走行からピット出口付近にストップしたため、フルコースコーションが出されるとの読みでピットが呼び込んだのだろう。イエローが提示されるまでには2周が要され、ここでピットに入らなかったドライヴァー、1回目のイエローで給油をしていたことでピット・タイミングを遅らせる形になっているドライヴァーがいたことから、ハータの順位は一旦21番手まで下がった。

Photo:INDYCAR (James Black) クリックして拡大

 スタートタイヤにレッドを選んでいたハータは、セカンド・スティントにもレッドを選択した。レッド、レッドと繋げて一気にトップに駆け上がろうという大胆かつ自信に満ちた作戦だった。そして、その思惑の通りに、前を走る者を次々とオーヴァーテイクして行った。

最終スティント、ブラック・タイヤで
ユーズド・レッドのニューガーデンを突き放す


 ただ、ハータには最終スティントを必ずブラック・タイヤで走らねばならない、という課題が残された。上位グリッドからスタートした中には、フレッシュ・レッドを最後のスティントに投入する作戦のドライヴァーたちが何人かおり、彼らの逆襲を受けることになるのでは? と考えられた。

Photo:INDYCAR(Joe Skibinski)クリックして拡大

 しかし、そうした事態にはならなかった。ニューガーデンはスタートでフレッシュ・レッドを使っており、最終スティントにはユーズド・レッドを使用。予選2位だったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、フレッシュ・レッドを温存していたが、とうとう最後までニューガーデンを攻略できなかった。
 ハータと彼の陣営は、タイヤラバーの乗ったレース終盤の路面では、ブラックでもレッドでもパフォーマンスが大きく変わらないと読んだ。温まりが遅いブラックはリスタートが弱点だが、ハータはユーズド・レッドで走るニューガーデンを65周目に振られたグリーンフラッグから悠々と突き放し、次の周でさらにリードを広げてみせたほどだった。今回のレースでは、最終スティントでのブラック装着が大きな不利を招き寄せることはなかった。
 1回目のピットストップを全員が済ませた34周目にハータはトップに躍り出、その後は2位以下にとうとう最後までアタックのチャンスを与えずにゴールへ飛び込んだ。ゴール前5周でポールシッターのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が間隔を詰めたかにも見えたが、それはハータがペースを下げ、マージンを持って走っていたからのようだった。予選でのミスを繰り返さないために。


「ロング・ビーチでの勝利は大きな目標だった
それを達成し、今、言葉を失った状態だ」

両親と弟のハータファミリー4人で勝利を喜ぶ Photo:INDYCAR(Chris Jones)クリックして拡大

 ハータはラグナ・セカとロング・ビーチ、地元でのレース2連戦を共に制覇し、見事なカリフォルニア・スウィープを達成した。
 「ロング・ビーチで勝つことができ、本当に嬉しい。このレースに持ち込んだ我々のマシンは本当に素晴らしいものだった。私はもう長いことロング・ビーチのレースで勝つこと大きな目標として掲げていた。それだけに、今日の勝利に今、言葉を失った状態だ。14番手スタートから勝つのは容易ではなかった。今回のレースはHonda、そしてAcuraにとって非常に重要なもの。そこで勝つことができて本当にハッピーだ。シーズンを最高の形で締め括ることができた」とランキング5位で2021年シーズンを終えたハータは語った。

パロウ、予選10位から4位フィニッシュ
ミスなく走り切りタイトル獲得


Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大

 スペイン出身の24歳、アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)は、10番手のスタート位置から2021年のインディーカー・チャンピオンシップを獲得する戦いをスタートさせた。

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 35点差でランキング2番手につけているパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)が、1周目に追突されて優勝戦線から脱落したため、パロウにかかるプレッシャーは序盤にして随分と軽減されたことだろう。それは事実だろうが、85周の長いレースを、ミスなく、不運にも見舞われずに走り切るというのも決して簡単ではない。
 パロウは淡々と、しかし順位を着々と上げながら周回数をこなして行き、キャリア初となるタイトルへ淡々と走り切った。それはまだ24歳だとは思えない堂々たるレースぶりだった。予選10位から4位でフィニッシュした彼は、スペイン人ドライヴァーとしては初めてとなるインディーカー・タイトルを手に入れた。

「チームが大きな力を発揮してくれた
チップ・ガナッシとホンダの一員であることに
大きな誇りを感じている」

 25歳以下のドライヴァーがチャンピオンになるのは、2003年のスコット・ディクソン(同じくチップ・ガナッシ・レーシングで初タイトルを獲得)以来で、パロウはインディーカー史上で7番目に若いチャンピオンとなった。

Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大

 また、チップ・ガナッシ・レーシングにとっては、これが14回目のシリーズ・タイトル。彼らは昨年、スコット・ディクソンと共にチャンピオンとなっているので、2年連続の王座だ。

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  「自分がチャンピオンになれたなんて、信じられない。すごいレースだった。そして、僕らは本当に素晴らしい1年を送ることができた、と今つくづく感じる。チームが最高の力を発揮してくれた。他に言う言葉が見つからない。チップ・ガナッシ・レーシング、そしてホンダの一員であることを大きな誇りと感じる。これで私はひとつの夢を叶えることができた。これからは次なる目標達成を目指したい」とパロウは語った。
以上

1 件のコメント:

  1. 琢磨選手は、来シーズンはレイホールからの参戦はない感じがしましたがデイル. コイン移籍の噂は本当なんでしょうか?
    琢磨選手とエディ.ジョーンズの組み合わせ最高だったのに…残念ですが、来シーズンも琢磨選手のレースが観れることを期待してます!

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