2021年9月20日月曜日

2021 INDYCARレポート R15 ファイアストン・グランプリ・オヴ・モントレー Race Day 決勝:コルトン・ハータが完勝

コルトン・ハータが2019年に続いてラグナセカでのポール・トゥー・ウインを果たし、今シーズン2勝目 Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大

  ロッシがコースオフ! パワーもエンジントラブル
序盤にしてレースはハ―タとパロウの戦いに

 朝のウォームアップの後しばらくして空は快晴に変わった。気温は徐々に上がり、スタート時には22℃になっていた。
 ポール・ポジションからコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)は、トップを守ってターン1へと飛び込んで行った。

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 ところが2周目、予選2位だったアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)がトップを奪おうアタック。両者は接触し、ロッシがコース・オフした。
 予選3位だったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は10周でエンジン・トラブルに見舞われ、トップ争いはハータと、予選4位だったポイント・リーダーのアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)の戦いになった。


レッドでもブラックでも速かったハータ
95周のレースで91周をリードする完勝

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  ハータは新品のレッド・タイヤでスタートし、最初のピット・ストップまでトップを守った。しかし、その後の3スティントは全部ブラックで走った。
 ロッシとパワーが消えて2番手に浮上したパロウは、ユーズド・レッドでのスタートし、セカンド・スティントにはフレッシュ・レッドを選んだ。しかし、ここでトップを奪うことはできず、後半2スティントはブラック連投。ハータのレース中のペースは、レッドでもブラックでもパロウより少しずつ速く、95周のうちの91周をリードしての逃げ切り優勝を果たした。2019年に続いて、見事な完勝となった。

父、ブライアンと喜び合うハータ。ラグナセカでの勝利はハータファミリーにとっても格別なものだPhoto:INDYCAR(Joe Skibinski) クリックして拡大

 「今週の目標はシンプルに“勝つこと”だった。そして、それを達成できた。マシンをとても良いものに仕上げることができた。出場車中でベストだったと言っていいと思う。そして、レースではチームのピット・ストップも速かったので、パロウとの戦いとなったが、彼をずっと背後にとどめることができた。今週末のタイヤはレッドもブラックもグリップが長く続かず、その点が難しい戦いになっていた」とハータは語った。

パロウ、タイトル争いのライバルを退け2位フィニッシュ

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  パロウは2位でゴールした。「自分より前を走っているのがコルトンだけだった。チャンピオンを争っているドライヴァーたちは、みんな自分より後ろを走っていたということだ。そして、自分たちは今シーズン8回目の表彰台に上ことができた。今週はコルトン・ハータとアンドレッティ・オートスポートが最速だった。しかし、自分たちもプラクティスからレースに向けてマシンを良くして行った。とても良い仕事ができたからこそ、チャンピオン争いをするメンバーの中で最上位のフィニッシュを達成できた」と彼は喜んでいた。

ラストスティントにかけたグロジャン
パロウにも迫る勢いで13番手スタートから3位表彰台

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  3位はロマイン・グロジャン(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)のものとなった。F1出身ルーキーはこれで3回目の表彰台。そして、ダブル・ポイントのインディー500、テキサスのダブルヘダーに出場していないというのに、ルーキー・ポイントでフル出場のスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)に2O点差に迫った。

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 予選13位だったグロジャンが10ポジション・アップで表彰台に到達できたのには幾つかの要因があった。まず、セカンド、サード・スティントでのブラック・タイヤ装着時の走りが良かった。そのため、彼らは予選がQ1での敗退だったことから残せていた新品のレッドを2セットを最大限有効に活用できた。最後のスティントをできるだけ短くし、その瞬発力に賭けた。その作戦が見事に当たり、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)、マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、オーワード、グレアム・レイホールをファイナル・スティントだけでパスした。2番手を行くパロウにも迫る勢いだったが、ジミー・ジョンソン(チップ・ガナッシ・レーシング)にやや強引なパスをコークスクリューで仕掛けて接触。2位まで更に順位を上げるチャンスはそこで消え去った。

ブラックでスタートした戦略が裏目となったオーワードは5位

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  ポイント・スタンディング2番手のパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)は、予選が6位で、タイヤ戦略をライヴァルたちと違えることでチャンスを見出そうとした。トップ6で唯一、ブラック・タイヤ装着でグリッドについたのだ。しかし、グリップの高いレッドを履くライヴァル勢に先行を許し、11周目という早いタイミングで最初のピット・インへと滑り込んだ。レッドにスイッチしてからの彼は3番手まで順位を上げた。しかし最初のピット・ストップが早かったことで、セカンド・スティント以降が長くなり、最終スティントに新品レッドを残していたグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)とグロジャンにパスされ、5位でのフィニッシュとなった。

ニューガーデン、7位まで浮上
かろうじてチャンピオンシップの可能性をつなぐ

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  ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は奮闘したが7位でのゴール。スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)はスピンした佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)のマシンに接触したこともあって、13位でのゴールとなった。パロウは獲得ポイントを517点に伸ばし、オーワードは482点、ニューガーデンは469点。ディクソンは445点でトップのパロウとの差が72点に広がり、ロング・ビーチ1戦を残してタイトル獲得の可能性が消滅した。

パロウとオーワードのポイント差は35点に拡大

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  パロウとオーワードの差は35点へ、レース前の25点から更に10点広がっている。最終戦でオーワードが獲得可能な最大のポイントは54点。ポール・ポジションから最多リード・ラップを記録して優勝した場合だ。それでも、パロウが11位でフィニッシュしたら、二人は同点の536点になり、チャンピオンの座にはパロウが就く。優勝回数も3回で並ぶが、そうなると次に比較されるのは2位の回数で、パロウがインディー500と今日で2回なのに対し、オーワードはゲイトウェイでの1回のみだからだ。ニューガーデンはパロウとの差が48点へと広がり、逆転タイトルはかなり難しくなった。



佐藤琢磨、セカンドスティントで2位まで浮上するも
コークスクリューでスピン! 最下位に

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  予選23位だった佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、序盤のイエローを利用して給油とタイヤ交換を行い、セカンド・スティントを長くすることで20周目には2番手まで浮上。ピット・ストップで一旦順位を下げたが、サード・スティントでトップ10へと復活。上位フィニッシュする可能性が見えていた。しかし、ディクソンをパスした後の37周目、コークスクリュー入り口で縁石に前輪が乗った直後にスピン。止まったところでディクソン車と接触し、琢磨のマシンの右リヤ・サスペンションが曲がってしまった。今回のレースではリタイアがゼロ。琢磨は最下位の27位という結果になった。

最終戦に決意を新たにする佐藤琢磨
「今回のマシンの良さはロングビーチに生かせる」

 「プラクティス、予選まではマシン作りで苦しみましたが、レース前のウォーム・アップでセッティングをチームメイトのものに変えて、それがとても良かったので、レースでも多くのマシンをパスすることができました。これだけロードレースでオーヴァーテイクができたレースは久しぶり。しかし、初めて乗った縁石でスピンしてしまった。あれは完全に自分のミス。セッティングをウォーム・アップから変えたので、細かい部分まで詰めることができていなかった。その辺りもミスをした原因と思います。コークスクリューでのスピンだったので、後ろから来たディクソンにはこっちが見えていなかったんでしょう。ぶつかってしまって、サスペンションが曲がってしまいました。アンダートレイにもダメージがあって、あの後はもう、アクシデント前と同じ走りはできなくなっていました。今回のマシンが良かったことは、最終戦ロングビーチでも活かせます。残り1戦、全力で戦いたいと思います」と琢磨は話した。
以上

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