2021年9月18日土曜日

2021 INDYCARレポート R15 ファイアストン・グランプリ・オヴ・モントレー Day1 プラクティス1:ラグナ・セカでの金曜日のプラクティス1、最速はジョセフ・ニューガーデン

Photo:INDYCAR(Joe Skibinski)クリックして拡大

低めの気温の中、ニューガーデンがハータを抑えトップタイム


天候:快晴
気温:18℃

 ポイント・トップと34点差でランキング3位につけるジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)がまずは先手を取ったか。シーズンも残すところ2戦となっているNTTインディーカー・シリーズは、ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカで最初のプラクティスを金曜日に行い、ニューガーデンが最速ラップ=1分11秒7125をマークした。彼がキャリア3回目のチャンピオンになるためには、今週末に優勝かそれに近い好成績を挙げる必要がある。
 日差しはカリフォルニアのものだが、気温は18℃と低めのコンディションとなった午後2時半からのプラクティスで2番時計をマークしたのはコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)だった。昨年のラグナ・セカのレースはパンデミックで開催されなかったため、2019年に勝ったハータ二世がディフェンディング・ウィナー。彼のベストは1分11秒7927で、ニューガーデンとの差はコンマ1秒以下の0.0802秒だった。

ポイントリーダーのパロウは初のラグナセカで、順調な滑り出しを見せるPhoto:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大

ポイントリーダーのパロウは3番手タイム!

 先週の第14戦ポートランドでポイント・リーダーの座に復活したアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)は、1分11秒9750をマークして3番手につけた。シーズン最終3戦が、いずれも一度もレースをしたことのないサーキット……という不利にパロウはあるが、テスト以外で走ったことのないポートランドでも最初のプラクティスから最速ラップを記録して見せ、予選でポール・ポジションを獲得し、レースで優勝した。今週のラグナ・セカでもパロウは最初のプラクティス・セッションからトップ3入り。レース経験のないコースであることを不利と感じてはいないようで、45分間という短いセッションで、通常のプログラムなら使うタイヤは1セットだけだが、グリップが高いうちにキッチリ結果を出してきた。


久々の3デイ・スケジュールで
クオリティの高いレース実現の予感


Photo:INDYCAR(Joe Skibinski)クリックして拡大

 ロードコースでのイヴェントはポートランドのような2デイではなく、今回のように3デイで行なわれるべきだ。その上で、金曜日のプラクティスで”タイヤ・ラバーが乗るまで走らない”というドライヴァーが減って、全員が多くの周回を重ねるようにレギュレーションも変更されるすべきだろう。例えば、金曜に2セットを供給し、それらは使用後にファイアストンに返却しなくてはいけない……とか。周回数が増えれば各エントラントは多くのデータを収集し、マシンのセッティングを向上させることができる。レースは仕上がり切っていないマシンを使う者同士のバトルとはならず、よりクォリティの高いものになる。ついでに書けば、予選のファイナルに進めるのが6人というのは少ない。Q1、Q2で振り落とす人数を減らして、ファスト12でのファイナルとすれば、PPからの12グリッドの争いは、もっともっとエキサイティングになると思う。
 今日のラグナ・セカでのプラクティス1は45分間で、最多ラップを記録したのはデビュー2戦目でラグナ・セカを走ったことのないルーキー、カルーム・アイロット(フンコス・ホリンジャー・レーシング)だったが、それでも20周だった。ハータとシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)は10周しか走らなかった。ニューガーデンは11周、パロウは14周、ディクソンは11周をこなした。

オーワードは14番手タイム
アロウ・マクラーレン自体もスローな仕上がり


アロウ・マクラーレンはチームとしてのイニシャルセッティングがいまひとつ。土曜日にどこまで挽回できるか? Photo:INDYCAR(Joe Skibinski)クリックして拡大

  ポートランドでランキングがトップから2番手に下がったパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)は、11周を走ってのベストが1分12秒4882で、14番手だった。チームメイトのフェリックス・ローゼンクヴィストも1分12秒7014で16番手と、チームとして出遅れ気味だ。夏のオープン・テストだけでなく、シーズン開幕前にもラグナ・セカではテストをしているアロウ・マクラーレンSPのはずだが……。先週、ポートランドでの最初のプラクティスではオーワードが4番手で、ローゼンクヴィストは13番手という出足だった。そこから予選でローゼンクヴィストが4位、オーワードが7番手まで彼らは体勢を立て直した。果たしてプラクティス1を終えてから一晩明けてのプラクティス2、そして予選というスケジュールの今週、パロウと25点差のオーワードと彼のチームはどこまで巻き返して決勝を迎えることができるだろうか。注目したい。


アスキュー、RLL最上位の6番手

Photo:INDYCAR (James Black) クリックして拡大

 プラクティス4番手にはエド・ジョーンズ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)が1分12秒0186でつけ、5番手はアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)の1分12秒0625。6番手はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングから2戦目の出場となるオリヴァー・アスキューで、彼は2セット目をセッション終盤に投入して1分12秒1516をマークした。7番手はジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)=1分12秒1885。これはセッション終盤での記録だったので、2セット目が投入されていたはずだ。8番手はジャック・ハーヴィー(メイヤー・シャンク・レーシング)=1分12秒2289。9番手はロマイン・グロジャン(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)=1分12秒3210(ルーキー・セットx1アリで2セット目を投入したと思われる)。そして、10番手はランキング5番手で計算上はまだチャンピオンの可能性を残しているマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)の1分12秒3564だった。


このセッション11番手にとどまったディクソン
パロウ、ニューガーデンとの差は大きく、挽回に注目


パロウに後塵を拝してのレースウィークスタートとなったディクソン。チームとしてデータ共有しマシン向上を目指す Photo:INDYCAR(Chris Jones)クリックして拡大

 ランキング4番手で、トップを行くパロウとの差が49点と、今週勝たないと7度目のタイトル獲得がかなり難しくなるスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、1分12秒4415のベストで11番手につけた。オーワードよりは良かったが、パロウとニューガーデンとの間には結構大きな差があった。自らの走行データと、チームメイト3人の集めたデータで明日の彼がどこまでマシンを良くしてくるかも興味深い。オーヴァーテイクの難しいコースだけに、予選順位はとても重要だ。


佐藤琢磨は19番手とタイム伸びず
「データを取れたので、じっくり検討する」

最初の走行は苦しい結果となったが、佐藤琢磨にとって3デイのスケジュールが大きなアドバンテージとなるはずだ Photo:INDYCAR(Chris Jones)クリックして拡大

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、15周をこなした。ベストは5周目の1分12秒9923。
 「マシンは乗りづらかった。ここは路面がサラサラしているし、砂も出てくるので滑り易い。タイヤのグリップのダウンも大キきかった。2回目のアウティングではタイヤのパフォーマンスが落ちているので、変えたマシンのセッティングについての評価をするのも難しい。それでも、金曜に走れるのはいい。時間は短かったけれど。今日走ったことで体を動かせたし、データを取れたので、それをじっくり検討できる」と琢磨は話していた。チームメイトのグレアム・レイホールは13ラップしてベストは1分12秒8486=17番手だった。アスキューを含めた3人で46周のデータをRLLは収集している。

「タイヤのドロップオフが大きい」と語るハータ
「エンジンはホンダのほうが少し優っていると理解している」

 トップだったニューガーデンは、「何が良くて何が悪いか、判断が難しいのがラグナ・セカだ。45分間とセッションは短かったし、使用するタイヤは1セットのみ。最初の1回のアウティングで判断を下さないとならないに近い。2回目のアウティングでは、もうタイヤのデグラデーションがかなり進んでいた」と話した。

2019年、最終戦でポール・トゥー・フィニッシュを飾ったハータ。2年ぶりのラグナセカでも順調な走り出しを見せる。父・ブライアンもまた、ラグナセカでめっぽう速いドライバーだった Photo:INDYCAR(Joe Skibinski)クリックして拡大

 2番手だったハータは、「コースのコンディションでなく、タイヤのドロップ・オフが大き過ぎた。レース・デイにはコースにラバーも今よりは随分と乗っていて、その傾向も緩まるが……。ピットはぎゅうぎゅう詰めでかなりタイト。イエローでのピット・ストップとかになったら、そこで差が生まれる可能性はあり。先頭のパロウは少し有利かも」と語り、エンジン・パフォーマンスについて尋ねられると、「ラグナ・セカのようなトラクションが重要なコースでは、シヴォレーよりホンダ・エンジンの方が性能は少し優っている。そう僕は理解している」と話した。
以上
 

0 件のコメント:

コメントを投稿