2021年9月13日月曜日

2021 INDYCARレポート R14 グランプリ・オヴ・ポートランドRace Day 決勝:アレックス・パロウがシーズン3勝目でポイントリーダーに

PPスタートのパロウ、序盤でポジションを下げることを強いられたものの、速さと正確さで今シーズン3勝目! 再びポイントリーダーに返り咲いた Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大

 オープングラップ、ローゼンクヴィストの接触で
ディクソンがコースオフ! パロウ、ロッシも巻き添えに

 ポートランドでキャリア初ポールポジションを獲得したアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)だったが、ポイント・ランキングで2番手につけている彼の最初のスタートでの加速は鈍く、予選3位のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)にインに飛び込まれた。ポイント4番手から大逆転での7回目のタイトル獲得を目指す彼は、スタートでイニシアティヴを握ろうと大胆な攻撃に出たのだった。
 予選2位だったアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)は、パロウ以上に加速が悪かったため、予選4位のフェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレンSP)がディクソンの後ろにつけ、一気にパロウまでパスする勢いとなった。しかし、彼はブレーキング・ポイントをミス。ディクソンのリヤにヒットし、曲がり切れないと判断してアウトサイドに大きく進路変更。危うくパロウにもヒットするところだった。
 ディクソンは追突されたことでブレーキングに失敗。パロウはイン側にディクソンがいたために右にステアリングを切ることができず。ふたりはクラッシュを避けてアウトに逃げたローセンクヴィストに続いてエスケープ・ゾーンを走行。ターン2の先でレースに戻った。ロッシも彼らに続いた。
 この混乱でポイント・リーダーのパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)がトップに躍り出た。予選7位だった彼はコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)とグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)をスタートでパスしていたのだ。


1コーナー侵入でディクソンがパロウのインを突き、その後ろからローゼンクヴィストが迫りディクソンに接触。ローゼンクヴィストは全く減速できず1コーナーを直進。ディクソンも1コーナーを曲がり切れずアウト側にいたパロウ、ロッシを巻き添えにランオフエリアをショートカットする羽目に Photo:INDYCAR(Joe Skibinski)クリックして拡大

ショートカットに対してまたしても不可解な裁定が

 このアクシデントに対し、インディカーは誰にもペナルティを課さない……と言いながら、エスケープゾーンを走ってターン2の先でコースに戻ったドライバーたちは列の最後尾につくよう指示を出した。またしても、の“バッド・コール”だ。ジグザグの回避路を走ったドライバーたちは、そこを走ったことによってポジションをゲインしていない。そうできないようにジグザグに走るしかないようにブロックなどが置かれている。彼らはすでにポジションのペナルティを受けているのだ。

オーワード、レースをリーダーとなるも首位をキープできず

マシンの仕上がりもよく、好走を見せたレイホール。36周レースをリードし最多リードラップとなったが、ピット戦略がマッチせず10位にとどまった Photo:INDYCAR(Joe Skibinski)クリックして拡大

 順位を下げられることを知ったディクソン、パロウ、ロッシらの陣営はリスタート前の9周目に給油を行うこととした。そして、この作戦が彼らの優位に繋がった。残り100周を2回のピットストップで、燃費を気にせず走り切れる状況となったからだ。
 難なくレースリーダーとなり、もう一段チャンピオンの座に近づくと見られたオーワードは、トップを守り通すだけのペースを維持できずに早めのピットイン。序盤にイエローが10周に渡って出されたため、フル・ディスタンスを2ストップで走り切ろうと考えたレイホール陣営は、レースが終盤に入ってからトップを明け渡し、その後はトップ争いに復活できなかった。

パロウ、ピットタイミングも的中しトップに

44周目、2回目のピットストップでパロウはディクソンの逆転に成功する Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大

 予選で速かったパロウ、ロッシ、ディクソンはレースでもハイペースを保ち続け、優勝争いは結局は彼らの元へと戻って行った。
 ディクソンはパロウ、ロッシをリードして43周目に2回目のピットストップを行った。しかし、彼より1周遅くピットしたパロウがディクソンを抜き、彼らのオーダーはパロウ、ディクソン、ロッシの順に変わった。

ロッシは78周目に3回目のピット終了後、81周目の1コーナーでピットアウトしたディクソンをパスして2位に浮上。パロウ追撃態勢に Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大

 3回目のピットストップは78周目、ロッシが最初に行った。次にピットに向かったのはパロウだった。2回目はディクソンより1周遅かった彼が、今度はディクソンより1周前に動いた。この作戦が見事に当たり、パロウは3人の中でのトップ・ポジションを維持。逃げの態勢に入った。

ロッシ、ディクソンをパスしてパロウ追撃するも届かず
際立ったパロウの速さと安定感
初PPを3勝目につなげてタイトルへ加速!


ロッシのチャージも退け、ロッシはロードアメリカ以来の今シーズン3勝目! Photo:INDYCAR(Joe Skibinski)クリックして拡大

 ロッシはピット・アウトしてきたディクソンを抜き、2番手へと浮上。久々の優勝目指してパロウを追いかけ始めた。しかし、彼らの差は0.5秒に縮まった時もあったが、接近したロッシはタービュランスを浴びてアンダーステアを出し、ダートに足を出してパロウにリードを広げさせてしまった。


パロウは2位のオーワードに25ポイント、3位のニューガーデンには34ポイント、そして4位ディクソンには49ポイント差をつけた Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大

  24歳のパロウだが、落ち着き払った走りでシーズン3勝目に一番乗りを果たした。今週末には初PPも獲得。チャンピオンになるに相応しい数字をポートランドで揃えることとなった。最終スティントにブラックタイヤを選び、アウトラップから見事なスピードを見せたパロウは、温まりの悪いタイヤでも2回のリスタートでロッシを突き放してみせもした。冷静に状況を見極め、プレッシャーに押しつぶされずにやるべきことをキッチリとやってのける。パロウがこのまま初タイトルへと突っ走る可能性が強まった。
以上

0 件のコメント:

コメントを投稿