2021年7月5日月曜日

2021 INDYCARレポート R10 ホンダ・インディー200アット・ミッド・オハイオ Race Day 決勝:ジョセフ・ニューガーデンがポール・トゥ・ウィン

Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大

チームペンスキー、オープンホイール初優勝50周年
記念すべき週末に開幕10戦目待望のシーズン初勝利!

 ミッド・オハイオ・スポーツ・カー・コースで行われたホンダ・インディー200で、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)がポール・トゥ・ウィン!
開幕から10戦目にしてのシーズン初勝利を挙げた。チーム・ペンスキーとしても、これが今シーズン初めての優勝となった。
 チーム・ペンスキーの初優勝は1971年7月3日のポコノ500。ドライヴァーはマーク・ダナヒューだった。その記念すべき勝利から50周年となる週末に、ミッドオハイオでニューガーデンが優勝。チームは通算220勝目を祝うこととなった。

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ニューガーデン、MAXポイント獲得で
ポイントランキングも首位パロウに接近


 ニューガーデンにとっては今回がキャリア19勝目。2015年から7シーズン連続で勝利を記録することにもなった。ポール・ポジションと最多リード・ラップのボーナスも加えた54ポイントを加算した彼は、ランキング4位のままポイントリーダーのアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)との差を88ポイントから69ポイントに縮めた。
 「初勝利から50周年の週末に優勝できて嬉しい」とニューガーデン。彼は、「今年の我々はインディー500のオーヴァル用セッティングを除けば、どのコース、どのレースでもトップ争いをする力を発揮して来ている。勝てなかったけれど、コンペティティヴさは示して来ていた。今後も今まで通りに戦って行く」と勝利を重ねて行くことへの自信を語った。


「マーカスはスティント終盤速かったが
パスされるとは思っていなかった」


 しかし、危うい勝利だった。レース終盤のマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)のスピードは、間違いなくニューガーデンを上回っていた。65周終了時点で8秒近くあった差が、3周後には6秒を切り、残り10周で5秒を切った。71周終了時点で差は4秒を切った。ニューガーデンはプッシュ・トゥ・パスを連続使用して逃げ切りに入ったが、その差は縮まり続けた。残り2周で差は2秒を切り、ファイナルラップを迎えた時にはコンマ8秒差になっていた。

歴史的勝利を挙げたニューガーデンをウイナーズサークルで出迎えるロジャー・ペンスキーとガッチリ握手Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大

 「近寄らせても抜かせはしない」という気持ちでニューガーデンは走っていた。ミスを冒せば逆転される。ギリギリの走りで彼は勝利を掴んだ。
 「マーカスは速かった。スティント前半はこちらの方が速かったが、後半は間違いなく彼の方が速かった。しかし、パスされるとは思っていなかった。残り10周辺りで計算したところ、差は縮まってゴール前にはかなり接近するだろうが、抜くところまでは難しいと考えた。もちろん、こちらが大きくスライドするなどがあったら、逆転されていた」とニューガーデンは振り返った。

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 レース終盤に気温は今週最高となる28℃になり、路面も46℃まで上がっていた。そうしたコンディション下でエリクソンのマシンの方が速かったのだ。ふたりとも装着タイヤはブラックだった。レッドでスタートし、残り2スティントに彼らはブラックを連続投入していた。

ハータは2度のピットミスで好走を結果につなげられず Photo:INDYCAR(Joe Skibinski)クリックして拡大

 ハータは1回目のピットで燃料補給のミスがあって後退。2回目のピットでは自らエンジン・ストール。しかもm、燃料が十分に入っていなかったためにゴール目前でもう一度ピットという惨憺たる戦いぶりとなった。レース終盤にパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)をパスしていたというのに……。

2位エリクソン以下、3位パロウ、4位ディクソンと
チップ・ガナッシが2-4位をスウィープ


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 優勝こそペンスキー・ドライヴァーだったが、2、3、4位がチップ・ガナッシ・レーシングのドライヴァーたちという結果になった。表彰台に上る3位でのゴールを果たしたのは、ミッド・オハイオ6勝のスコット・ディクソンではなく、デビュー2年目のパロウの方だった。セカンド・スティントを長くし、2回目のピットストップを間に挟んで順位を入れ替えることに成功した。デビュー2年目だというのに、パロウは実に手堅い戦いぶりを幾つものレースで見せて来ている。

ニューガーデン以外、思うような走りができないペンスキー勢

序盤でディクソンと接触してスピン、マルチクラッシュを引きを越したパワーPhoto:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大

 ペンスキーのニューガーデン以外の3人は、ウィル・パワーが序盤に無理をしてのアクシデント。シモン・パジェノーとスコット・マクロクリンは、トップ・レヴェルのスピードを出せていない苦しいレースを戦っていた。結果はマクロクリンが12位で、パジェノーが14位。チームメイトは優勝しているのに、トップ10にすら入れなかった。パワーは予選4位だったが、周りとは違うブラック・タイヤでのスタートという作戦に出て、レッド装着のディクソンを封じ込めようと意地を張った結果、2台は接触し、パワーの方だけがスピン。そこへエド・ジョーンズ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)が突っ込んでリタイア1号となった。
 ガナッシ勢はどのコースでも速い。パロウはディクソン並に安定感が高い。エリクソンもコンスタントに上位に顔を出すレースが増えている。それに対してニューガーデンは、チームメイトたちによる援護射撃=パロウやディクソンの前でゴールして彼らの獲得ポイントを少なくさせる=を今のままだとあまり期待できない。

ニューガーデンは最高の形で地元ナッシュヴィルに凱旋
注目される次戦でのガナッシ勢の戦いいぶり


 ニューガーデンにとって嬉しいことは、初勝利を挙げて地元ナッシュヴィルのレースに乗り込めるところ。二度のタイトル獲得経験を持つ彼は、ここから一気にチャンピオン争いへとさらに食い込んで行きたいところだ。対するパロウはチャンピオン争いが初めて。ニューガーデンとディクソンより1勝多い2勝をすでにマークしているが、タイトルを手に入れるには、少なくともあと1勝はしなければならない。ディクソンの7回目のタイトル獲得はなるか?
実は彼、2年連続でチャンピオンになったことはまだないのだが……。
以上

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