2021年5月30日日曜日

2021 INDYCARレポート 第105回インディアナポリス500 プレゼンテッド・バイ・ゲインブリッジ :インディージャック・アマノのINDYCARレポート メールマガジン:ウィナーはフロント・ロウから? 歴史的には濃厚

Photo:INDYCAR(Chris Jones)クリックして拡大

超僅差となった今年の予選1~3位

 トップ3のタイム差が0.1163秒しかなかったんですよね、今年のインディー500予選では。1周に38秒ちょっとかかるコースを4周連続で走ってのタイム比較がコレ(今年のラップ・タイムは1分35秒台)。

 インディーのコース全長は2.5マイルですから、10マイルも走った3台の差がたったのこんなに小さい。驚きです。10マイル=約16.1kmがどれぐらいかを調べたら、東京駅から出てる中央線だと、偶然にも私の地元・阿佐谷までの距離とほぼ一緒でした。マイナー過ぎ、手前味噌過ぎの比較になっちゃいましたが、東京のど真ん中を横切って新宿、中野を越え、でも吉祥寺にはまだちょっとって距離を、今年のインディー500ポール・ウィナー=スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)はたったの2分35秒ちょいで走ったワケです。

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 史上最高僅差のフロントロウは2016年の0.0758秒差!

 予選2位のコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)もほとんど同じスピードでした。差は0.002秒。このコラムをここまで読むのに、皆さん15秒はかかってるはずですよ。0.002秒って、どんだけの差なのか。こちらは例を思いつきません。普段、そういう感覚で生活してないので。これが史上最も僅差のトップ3か? と思ったら、2019年は0.1131秒差で、2016年はアンビリーヴァブルな0.0758秒差でした。これが史上最も僅差のフロント・ロウのはずです。

ディクソン「自分に必要なリードラップは最後の1周だけ」

 ディクソンのPPは4回目。歴代2位タイに並びました(トップはリック・メアーズの6回)。でも彼、優勝は1回だけなんですよね。タイトル獲得6回(歴代2位=トップはAJ・フォイトの7回)、歴代2位のマリオ・アンドレッティと並ぶのにあと1勝の優勝51回(=トップはフォイトの67勝)などなど、輝かしい記録の数々を樹立して来ているディクソンには不釣り合いなんですが……。今年、その点が多少改善されることになりますか?
 カーブ・デイでも最速だった彼に、「あなたには今年のインディー500で歴代最多ラップ・リーダーとなる可能性がある」とインディアナポリス・モーター・スピードウェイの元ヒストリアン=デイヴィッド・ドナルドソンが指摘しました。するとディクソン、笑顔を浮かべ、「自分に必要なのは(最後の)1周だけですけどね」と答え、すかさずドナルドソンが、「それはタイ記録にしかなりませんよ」と返してました。最終ラップのみリードしての優勝は、2011年のダン・ウェルドンによる1回だけです、これまでのところ。

インディー500優勝確率が最も高い予選順位はPP
しかし、2番目に優勝回数が多いのは3番グリッド!


Photo:INDYCAR(Karl Zemlin)クリックして拡大  
 

 104回行われて来たインディー500では、どのポジションからのスタートで一番勝率が高いのがご存知ですか? 答えはPPです。予選トップだった人が決勝レースでも速いという当たり前のデータになっています。一昨年のシモン・パジェノーがPPからの優勝でした。ポール・シッターはトータル21勝。この点からも、今年の優勝候補筆頭はディクソンとなります。
 不思議なのは、2番目に勝ち星が多いのが2番グリッドからではなく、3番グリッドからという点。昨年の佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が3番手スタートでした。2018年のウィル・パワー(チーム・ペンスキー)も。
 2番手スタートも11勝で3番手にランクされてますから、コルトン・ファン、アンドレッティ・オートスポート・ファンの方々はご安心を。一番最近の例が2000年と結構前ですが。ファン・パブロ・モントーヤがチップ・ガナッシ・レーシングのGフォース/オールズモビルで圧勝を飾ったレースでしたね。

セカンドグリッドのハータ、最年少優勝に懸ける

 コルトンは一昨年、18歳11ヵ月と25日でインディーカー初優勝。史上最年少ウィナーという記録を樹立しましたが、インディー500での最年少ポール・ポジション獲得は惜しくも逃しました。しかし、今週末のコルトンには”500”での最年少ウィナーとなるチャンスがまだ残ってます。”勝てない理由はない”ぐらいに自信持ってますから、21歳で偉業を達成するかもしれません。強気のコメントの端々に嫌味や生意気さを感じさせないんですよね、彼って。レースでの成功にフォーカスしまくりで、実績を残して来ているからでしょう。

インディー500優勝に向け自信満々のヴィーケイ
母国の大先輩ルーエンダイクとの因縁のグリッド


 予選3位のリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)は、史上最年少のポール・ポジションを逃しても、史上最年少のフロント・ロウ・クォリファイアーとなりました=20歳。ハータ以上にピュアなのが彼ですね。GMR GPでインディーカー初優勝を挙げたばっかりですが、コルトンと同じで、”インディー500でも勝てる!”と自信アリアリなんです。デビュー年から2年連続ファスト9入りしてますから、実は大風呂敷でもないんですよ。
 リナスが喜びそうなデータをひとつ。母国オランダのヒーロー、リナス自身も父親の影響で憧れ続けたアリー・ルーエンダイク(インディー500で2勝)が1990年に最初の勝利を飾った時、彼のスターティング・グリッドは今回のリナスと同じフロント・ロウ・アウト側でした。もしかして、もしかするかもしれません。
 リナスのパフォーマンスを自分の子供のことのように喜んでいるアリーが言ってました。「私の初優勝は36歳だった。リナスはまだ20歳だから、1勝目まで16年かかっても、私と同じく2回は勝てることになるかもしれない。彼には今年だけじゃなく、これから何回も勝つチャンスが来る」。


ウイナーは50%以上の確率でフロントロウから誕生

今年の琢磨の15番グリッドからは6番目に多い4勝

 フロント・ロウからのスタートした者が過去104回のインディー500を55回制しています。インディー500の優勝は半分以上が予選トップ3人が記録して来てるということ。ディクソンが順当に勝つのか、コルトンかリナスが勝てば、史上最年少ウィナーの誕生です。
 琢磨選手の15番グリッドからは、6番目に多い4勝が記録されています。

以上



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