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暑いコンディションのもと迎えたファスト・フライデイ
ターボがハイ・ブーストに設定された予選前日の金曜日=ファスト・フライデイ。今日もインディアナポリスは好天。走行開始時に気温は27℃もあった。路面は43℃。昨日と同じく暑いコンディションだ。今日は昨日より少し風が強めに吹いていたが、最高気温は29℃に達した。
スピードを出しにくいコンディションだ。しかし、各チームは予選シミュレーションを繰り返した。できる限り1台で走れるよう、お互いに気を使ってマシンをコースへと送り出していた。
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1ラップの速さも重要だが、ドラフティングの影響も考えられるので、今日の場合は4周連続でのスピードがより重要視されていた。そちらにもドラフティングが絡む場合はあるが。
予選は4ラップ平均で競われるものなので、みんな4連続ラップでの自分たちの実力を見極め、同時に、より速く走るためのセッティングを模索していた。
しかし、インディーカーの出す公式結果は1ラップずつのもの。4ラップ平均の記録は発表されない。Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大
6時間に及んだセッションでは、コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)、マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、ステファン・ウィルソン(アンドレッティ・オートスポート)、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、サンティーノ・フェルッチ(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)、エド・ジョーンズ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)、リナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)といった面々が4ラップでの速さを見せていたようだった。完全にノー・トウではなく、多少のドラフティングを得ての数字となっていたチームも少なくなかった。
インディーカーのチームは夏休みの宿題を8月末までやらない日本の子供たちと一緒で、もう少し早いタイミングで走っておけば良かったのに……という事態によく陥る。今日もセッション終了間際に走行が集中。どうしてもお互いにドラフティングの影響を与えてしまい、本当の実力を確認しにくい状況になっていた。そんな中でもペンスキー勢は競争力のあるスピードを出せていなかったワケだが……。
ハイ・ブーストとなって一転、ホンダ勢が明確な優位に
シヴォレー勢として気を吐くカーペンター Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大
レース・トリムではシヴォレー勢が強い印象もあったのだ、昨日までのプラクティス3日間では。ところが、ハイ・ブーストでのクォリファイング・トリムではホンダ勢が断然優位にあった。チップ・ガナッシ・レーシング、アンドレッティ・オートスポートの一部、そしてレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングとデイル・コイン・レーシングが明日のファスト9入りの有力候補となっている。チーム・ペンスキーは昨年以上の苦戦ぶり。シヴォレー勢ではエド・カーペンター・レーシングとアロウ・マクラーレンSPが奮闘している。
明日の予選ではファスト9とそれ以外を決し、明後日の日曜日にはファスト9がポール・ポジションを賭けて一発勝負のアタックを行なう。まずはファスト9入りすること。そこが目標になる。
ディクソン、クジも好調!予選ファースト・アタッカーに!
走行後には明日のアタック順を決めるくじ引きが行われた。
ディクソンが1番くじを引き当てる幸運ぶりだった。今日も1ラップのスピードで最速だったディクソン(=223.302mph)が、明日は一番涼しい、最も有利な時間帯に走れるということだ。一番最初はグリップの問題から嫌う人もいるが、朝のプラクティスの後に雨でも降らない限り、一番手は良いアタック順だと思われる。
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「今年の僕らチップ・ガナッシ・レーシングはチームとして速い。4カー体制で、1台ずつが各走行で何かしらスピード・アップのヒントを見つけて来ていた。それによって大きな進歩が達成できた。今日のプラクティスでは、コースが空いている時に予選シミュレーションを行うのがとても難しかった」とディクソンは語った。
2番手にアタックするのはマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・ホウパート・ウィズ・マルコ&カーブ・アガジェニアン)と決まったが、昨年ポール・ポジションを獲った彼が今年はまるでスピードが出せていない。ハイ・ブーストで走った今日、彼の1ラップでのベストは230.335mphで35台中の26番手だった。せっかく良い順番を引いたが、それを彼は明日活かせそうもない。
3番手はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)。2014年ウィナーは上位にグリッドを確保する大チャンスだ。
4番手はエリオ・カストロネヴェス(メイヤー・シャンク・レーシング)。今日は1ラップで21番手と、まだスピードに乗り切れていないが、ダウンフォースの少ないマシンを操るのは得意で、インデー500で4回PPを獲得した実績アリ(一番最近が2010年だが)。
5番手はジョーンズ。注目度は低いが、実力レヴェルはかなり高い。去年もデイル・コイン・レーシングはアレックス・パロウがルーキーながらファスト9入りしていた。インディーのセッティングで、彼らはシッカリしたものを持っている。
6番手はジェイムズ・ヒンチクリフ。PP獲得経験者だが、今年のアンドレッティ勢の中では、これまでのインディーでは目立たない存在となっている。
スポット参戦のウイルソンも順調な仕上がり Photo:INDYCAR(Chris Jones)クリックして拡大
7番目のアタッカーとなるのはウィルソン。今は亡きジャスティン・ウィルソンの実弟は、2回目のインディー挑戦でスピードを見せている。今日、一時的にだが4ラップ平均でトップに立ったこともあった。その実力を明日も見せることができればファスト9入りできる可能性もある。Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大
8番手はトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング)。この順番ならファスト9入り、かなりの確率で行けるかもしれない。ガナッシのマシンはどれも速い。
9番手に走るのはジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)。しかし、グリッドを上位に得るのは難しそう。今日の1ラップでの順位は22番手。シミュレーションでも230mph台がほとんど出せていなかった。
10番手はヴィーケイ。陽が出ると、このぐらいの順番から結構暑くなるが、天候がどうなるかは不明。曇り空ならディクソンと変わらないコンディションで走れるので、2年連続ファスト9は実現可能な目標。
11番手を引いたのはルーキーのスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)。初めてのインディー予選でどこまでの走りを見せるか注目したいが、いかんせん今年のペンスキーはマシンの仕上がり具合が現時点では今ひとつだ。明日になって一気にレヴェル・アップして来る可能性は彼らなら小さくはないが……。
佐藤琢磨はアタック順12番目に
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12番手は琢磨で、13番手はスポットでチームメイトになっているフェルッチ。二人とももう少し早い方がベターだったが、クジなので仕方ないと諦めるしかない。昨年、12番手のアタッカーが走ったタイミングでは、予選開始時より気温が3℃上がっていた。路面のデータがないが、気温より上がるのが通常。明日の予選、琢磨の走行に温度上昇の影響は出るだろう。しかし、それほど大きなものとはならない可能性がある。陽がガンガン照って風がなければ、路面温度が急上昇するが、曇り空であれば、ほとんど変わらないだろう。果たしてどんな天気になるか……。
マシンの仕上がりに自信を持つ琢磨
「今年は一発のスピードでも上位陣に並ぶことができている」Photo:INDYCAR(Chris Jones)クリックして拡大
4日間の走行でマシンの仕上がりレヴェルがかなり高くできている琢磨は、大きな自信を持っている。「ほとんどドラフティングなしで4ラップを走れました。そして、トップ・レヴェルのスピードをマークできました。去年は予選トリムで上位陣に1mphとかの差を付けられていながら、4ラップを安定させる走りを目指し、それによって予選3位となれました。今年は一発のスピードでも上位陣に並ぶものが出せています。その上で安定した4ラップとすることを目指し、それが今日できていたので、明日、さらにプラクティスを走ってもう少しの確認作業をして、予選はファスト9入を目指します」と琢磨は語っていた。
カーペンター、ハータ、オーワードらは
アタック順に恵まれず
ここまで良いパフォーマンスを見せているのにくじ運に恵まれなかったのは、エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)の19番手や、パト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)の20番手。デイリーの24番手。グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの)の25番手。ジャック・ハーヴィー(メイヤー・シャンク・レーシング)の26番手、パロウの28番手、ハータの30番手、ロッシの31番手、エリクソンの32番手といったところ。ハータは今日の1ラップで2番手につける23.784mphをマークしていたのだが……。
あと1歩のところでプラクティスの首位になれずにいるデイリー。予選アタック順でも後方に。走りはいいのだが今一つ巡り合わせが悪い Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大 |
くじ運の悪かった面々には、予選1日目のセッション終了間際が涼しくなることを期待し、セッションが終わる午後5時50分のギリギリ前にアタック順を確保し、一発逆転を狙う戦い方もある。しかし、一番良いタイミングに走れるよう列に並ぶにはノウハウが必要だし、その時のコンディションにマッチしたセッティングを施し、ドライヴァーがミスなく4周=16コーナー=10マイルを走ることも求められる。
ガナッシだけで4人いて、アンドレッティ・オートスポートは技術提携チームも含めれば8台(!)。それだけでファスト9の定員をらくらくオーバーする12人だ。彼ら全員がファスト9候補とは言わないが……。そして、彼ら以外でファスト9候補に入るのは、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの3台=琢磨、レイホール、フェルッチ、エド・カーペンター・レーシングのヴィーケイ、デイリー、カーペンター、デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァンのジョーンズ、そして、アロウ・マクラーレンSPのオーワード辺りではないだろうか。
以上
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