2021年5月20日木曜日

2021 INDYCARレポート 第105回インディアナポリス500 プレゼンテッド・バイ・ゲインブリッジ Day2 プラクティス3:2日目の最速はスコット・ディクソン&ホンダ

 心配されていた雨は降らずドライでの走行に

 幸運にもインディー500のプラクティス2日目、雨は降らなかった。コースのチェックのためのイエローが30分強出されただけで、エントリー35台が精力的に周回を重ねた。
 昨日のルーキー・オリエンテーション・プログラム(ROP)が雨に見舞われたため、今日の午前11時から1時間の走行時間がルーキーには追加で与えられることになった……と言っても、まだROPを終えていないのはRC・エナーソン(トップ・ガン・レーシング)だけ。彼は今日、ROPを無事クリア。今日の午後はマシンの再整備を入念に行うこととし、明日から予選通過に向けた走行プログラムに入る。
 正午からと予定されていた今日のプラクティスは、15分遅れでのスタートになった。その結果、終了時刻も予定より15分遅れさせられ、午後6時15分まで走れることになった。



地元デイリーがいきなりトップタイムをマーク
カーペンターが2位となりECR1-2で夕方に


 セッション開始早々、インディアナポリス郊外出身のコナー・デイリー(エド・カーペンター・レーシング)が226.006mphのラップを記録し、トップに立った。しかし、それをマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が0.001mphだけ上回り、トップを奪った。
 この2人がトップ2を占めたまま夕方に突入したが、デイリーが226.372mphをマークし、再びトップに立った。チーム・オーナー兼チームメイトのエド・カーペンターも226.103mphを記録してエド・カーペンター・レーシングの1-2となった。

ディクソン、今年最速ラップで首位に
トップ10内にチップ・ガナッシ勢全車!


 しかし、またしても彼らをガナッシ勢がトップから引き摺り下ろすことになった。午後4時半過ぎ、今度はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が226.829mphを叩き出した。この時はもう夕方だったが、陽もうっすらと出ていて、気温は27.8℃まで上昇、路面の温度も41℃を超えたコンディションとなっていた。それでも2008年インディー500ウィナーは今年の最速となるラップで今日の最速ランナーとなった。

 蒸し暑くなった走行2日目のトップ10は、
1  スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ) 226.829mph
2  コナー・デイリー(エド・カーペンター・レーシング/シヴォレー)  226.372mph
3  エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング/シヴォレー)  226.103mph
4  マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)  226.007mph
5  トニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)  225.774mph
6  セバスチャン・ブルデイ(AJ・フォイト・エンタープライゼス/シヴォレー)  225.491mph
7  パト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP/シヴォレー)  225.409mph
8  アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)  225.302mph
9  セイジ・カラム(ドレイヤー&レインボールド・レーシング/シヴォレー)  225.300mph
10 マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・ホウパート・ウィズ・マルコ&カーブ・アガジェニアン/ホンダ)  225.018mph

ECR好調の一方、ペンスキー不発
ホンダvsシヴォレーは5:5のイーブン


 今日のトップ10にはチップ・ガナッシ・レーシングの4人全員が入っていた。昨日すでに31周のフル・スティント・ランをこなしていたディクソンは今日、108周も走行。エリクソンが94周、カナーンが71周、パロウが100周の走り込みを行なった。その一方で、今日はトップ10にチーム・ペンスキーのドライヴァーの名前がなかった。エド・カーペンター・レーシングがカーペンターとデイリーの2人を食い込ませ、インディーのオーヴァルでの速さを取り戻していることを証明。トラフィックでの走行でも、彼らは3人目のリナス・ヴィーケイも含めて好い走りを披露していた。ブルデイとカラムは走行開始直後の大勢走っているタイミングで大きなトウを得たラップを記録していた。
 ホンダとシヴォレー、トップ10は昨日と同じく5対5のイーヴンだった。”今年はシヴォレーの方がややパワフル”という声も聞かれるが、果たして実際にはどうなのか?

ペンスキー、トップスピード不足か??

 ドラフティングの使用量でスピードは違って来るので、1周のスピードだけでパフォーマンスは比較できない。トラフィックでのハンドリング向上にフォーカスし、大きなドラフティングを受けなかったチームもいたことだろう。しかし、ペンスキー勢全員がトップ10圏外というのは注目すべき結果かもしれない。トウを得ないよう心がけた、ということは考えにくい。彼らはトップ・スピードが不足している状況にあるのでは?
 彼らの2日目の成績を記しておくと、パワーが224.785mphで15番手。ルーキーのスコット・マクロクリンが224.352mphで17番手。そして、シモン・パジェノーとジョセフ・ニューガーデンは、それぞれ222.983mphと222.544mphのベストで28、30番手とかなり後方に埋もれていた。ちょっと心配になってしまうぐらいのポジションだ。4人のラップ数は、パワーが93周、マクロクリンが87周、パジェノーが80周と決して少ない方ではなかった。ニューガーデンだけが68周とやや少なめだったが……。


2日連続トップ10にいるドライバーは5人

 涼し目のコンディションだったプラクティス初日のトップ10
1  ウィル・パワー(チーム・ペンスキー/シヴォレー) 226.470mph
2  ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)  226.371mph
3  佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)  226.132mph
4  セイジ・カラム(ドレイヤー&レインボールド・レーシング/シヴォレー)  225.942mph
5  コナー・デイリー(エド・カーペンター・レーシング/シヴォレー)  225.640mph
6  シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー/シヴォレー)  225.230mph
7  パト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP/シヴォレー)  225.146mph
8  スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)  224.988mph
9  エド・ジョーンズ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン/ホンダ)  224.651mph
10 マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)  224.615mph

 2日ともトップ10入りしたドライヴァーは、ディクソン、デイリー、エリクソン、オーワード、カラムの5人。カラムがこのリストに入っていることは賞賛すべきかもしれないが、今日、彼はトラフィックでの走行が少なかった印象


佐藤琢磨20番手も前向き
「今日もやれることをやりました」


 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は20番手だった。ベスト・ラップの平均速度は224.057mph。「ディクソンのように大きなトウを受けての”ビッグ・ラップ”は記録できなかった」と本人も話していた。それでも、「今日もやれることをやりました。トラフィックでのテストをかなり行なえました。集団の中でも先頭を走り、ポジションを下げて、そこから1台ずつ抜いて行ってトップへ……という具合で。ダウンフォースをどれだけつけて行くか、その加減が難しい」。それは誰もが感じていることだ。コンディションにマッチしたセッティングをいかにして手に入れるか。そこが勝敗を分ける。そのためのデータ収集が明日も続けられる。

気になるバンプアウト合戦に向けての動向

 予選でのバンプ・アウト合戦も行方が気になる。今年は2台が決勝に進めない。今日の時点では、ROPを通過したばかりのエナーソンが予選落ちの第一候補。次に危険な状況にあるのは、今日34番手だったスポット参戦のサンティーノ・フェルッチ(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)。彼は今日、219.088mphしか出せなかった。琢磨とグレアム・レイホールのセッティングがあるので、彼は予選でスピードが出せるはずだが……。心中穏やかでないのは、4台エントリーのAJ・フォイト・エンタープライゼスかもしれない。フル・シーズン・エントリーのダルトン・ケレットが今日は31番手で、スポット参戦のチャーリー・キンボールはさらに後方の33番手だった。もう一人のスポット参戦組、JR・ヒルデブランドは25番手だったが、そのポジションも安心をしてられるものではない。エースのブルデイはトップ10入りしているのに、3人は苦戦中だ。
以上

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