2021年4月5日月曜日

2021 ジャック・アマノのインディーカー・レポート 4月4日:ドラマティック・カムバック

 ジョーダン・スピース、3年半ぶりの優勝

 今日は4月4日。イースター・サンデイ。
 テキサス州サン・アントニオで行なわれていたトーナメントでアメリカ人ゴルファーのジョーダン・スピーズが自身の12勝目を挙げた。彼の11勝目は2017年の全英オープン(メイジャー)だったから、超の字のつく久しぶりの優勝だ。
 

Photo:Masahiko Amano クリックして拡大


23歳の若さでメイジャー3勝目を記録したスピースだったが、その後にスランプに陥った。低迷ぶりは深刻で、もう一度世界のトップ・レヴェルに返り咲くのは難しいかも……との声も聞かれていた。実は彼、公表していなかったが、負傷を抱えて本領を発揮できすにいたのだった。

マスターズを目前に復活を強くアピール

 ようやく故障の治った彼は、今年に入ってから好成績を続けて記録。しかし、勝利にはあと一歩届かなかった。それが今週、世界中のプロフェッショナル・ゴルファーが最も強く勝ちたいイヴェント=マスターズを翌週に控えたところで復活優勝。今日のファイナル・ラウンドでは何度も危機が訪れたていたが、その度に見事なショット、パットで凌ぎ切った。
 2015年、スピースは自身初となるメイジャー制覇をマスターズで果たした。そのイヴェントを前に彼は完全復活。今週末の彼の戦いぶりには注目だ。

スピースの復活劇をインディーカーに置き換えると……

 自分の取材するインディーカー・シリーズでも、こういうドラマティックなストーリーが欲しい。誰になら当て嵌まるだろうか?
と考えたら、アレクサンダー・ロッシの名が浮かんだ。カリフォルニア出身の29歳。F1で成功する夢は、望むトップ・チーム入りが実現しなかったために残念ながら果たせなかったが、2016年に母国でインディーカー・シリーズに挑戦するや、数ヵ月後に初めて挑戦した世界最大のレース=インディアナポリス500マイル+通称インディー500でイキナリ優勝し、その後に6勝をマークして来ている。
 いま、インディー500で飛び抜けて速いドライヴァーと言ったら、トップに来るのは佐藤琢磨とロッシの二人だ。彼らはここ2年連続で激しいトップ争いにを演じている。
 昨年のウィナーは琢磨で、今年のインディー500では日本人ドライヴァーがキャリア3勝目を挙げることに大きな期待が寄せられている。年に1回のビッグ・イヴェントで、特にアメリカ人ドライヴァーにとっては勝ちたくて勝ちたくて仕方のないレース。それだけプレッシャーは大きく、勝つのが至難と言われるのがインディー500なのだが、反面、一度優勝したドライヴァーが複数回勝つケースは少なくなく、琢磨が今年勝てば史上8人目の3勝ドライヴァーとなって、3人しかマークしていない最多勝=4勝目に王手をかけることとなる。


昨年未勝利に終わったロッシと、インディー500で2勝目を挙げた佐藤琢磨
対照的な二人の、インディー500での真っ向勝負に期待


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 ロッシはインディーで勝利の後、ロング・ビーチやワトキンス・グレンといった名のあるサーキットでぶっちぎりの圧勝を記録した実績を残して来たが、昨年は勝利がなかった。インディーでは優勝争いをしていた中、ピットで自分のチームのクルーがミス。ペナルティを課せられて後退し、挽回を目指したらアクシデントを起こしてリタイア。熱くなって攻め過ぎたがためのミスだった。今年のロッシは、かつてないほどに勝利を渇望しているはずで、勝てたらスピースと同じぐらいのカム・バック劇になる。対する琢磨は、世界一の歴史を誇るレースでの連勝にクールにフォーカスしている。


 このように対照的な二人が大観衆を前に真っ向勝負を繰り広げられる可能性は十分に考えられる。闘志剥き出しのドライヴィングで有名なロッシと、昨年はヴェテランらしい計算し尽くされた勝利を飾ったが、アグレッシヴな走りが必要な場面になったら、それを存分に行なうだけの能力も秘めている琢磨。5月の30日決勝の第105回インディー500では、彼ら二人が歴史に残る熾烈なバトルを見せることになるかもしれない。今からメモリアル・デイ・ウィークエンドが待ち遠しい。そして、そのレース結果が琢磨の3勝目となったら言うことなしだ。
以上

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