2つ目の肖像が刻まれたボーグ・ウォーナートロフィーを前に笑顔の佐藤琢磨 Photo:Borg Warner クリックして拡大 |
インディー500 2タイム・ウィナーの証
佐藤琢磨の二つ目の顔がトロフィーに
2月19日(金)、アメリカ東部時間の午後1時から、インディアナポリス・モーター・スピードウェイ内のミュージアムで式典が行われた。昨年8月に行なわれた第104回インディアナポリス500マイルで優勝した佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)の栄誉を讃え、ウィナーである琢磨の顔の彫像がボーグウォーナー・トロフィーに取り付けられ、それが初公開されたのだ。パンデミックが続いている状況下、この式典には関係者が招待されず、ファンも入場できなかったが、その模様は30分間に渡ってインターネットで世界にライブ配信がなされた。
Photo:Borg Warner クリックして拡大 |
NTTインディーカー・シリーズのコミュニケーション担当副社長、デイヴ・ファーストが司会を務め、まずはインディアナポリス・モーター・スピードウェイ社長のダグ・ボールズにインタヴュー。ボールズは、「今年のインディー500、第105回大会まで100日。パンデミックの数字も良くなって来ているので、私は楽観している。今年は5月にレースを開催できるだろうし、ファンにはスタンドから観戦して頂くことが可能になると考えている」との展望を語った。
琢磨の今年のインディー500マシンの
カラースキームも公開!Photo:RLL クリックして拡大
続いて、琢磨のチームのオーナーであるボビー・レイホールとマイク・ラニガンへのインタビュー。ここでは琢磨の2021年のインディー500マシンのカラーリングが発表された。昨年、初めてスポンサーとなったレース=インディー500で優勝したピープルレディーが今年もメイン・スポンサーで、2020年よりも紺色、オレンジ色ともに面積が増えたペイントになる。
Photo:Borg Warner クリックして拡大 |
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのもう一人のオーナーであるデイビッド・レターマンは、雪景色の中からのビデオ・レターを送って来ていた。そして、冨田浩司駐米日本大使からも琢磨を讃えるビデオ・メッセージが届いていた。
「見事な出来栄えです」
新しい自らの肖像と対面して感動の琢磨Photo:Borg Warner クリックして拡大
除幕にはボーグウォーナーのマーケティング/PR部門グローバル・ディレクターであるミシェル・コリンズが登場。トロフィーに自分の”新しい方の顔”を見つけた琢磨は、「(前のものより)少し年を取っているんじゃない?」との第一声を上げた。
Photo:Borg Warner クリックして拡大
司会者が、「いやいや、若く見えます」と言うと、「(新しくて)光っているから、そう見えるのかもしれない」と笑い、もう一度彫像をじっくりと見ながら、「素晴らしい。見事な出来栄えです……」と話し、「ありがとう、ウィル(・ベーレンズ氏=彫刻家)。ありがとう、ボーグウォーナー!」と感激していた。琢磨はインディー500というビッグ・イヴェントで複数優勝を果たした史上20番目のドライヴァーとなったこと、その意義、重みを改めて感じていたのだろう。
「自分にとってもうれしい勝利でしたが
何よりチームのために勝つことができてよかった」
この式典でのインタヴューで琢磨は以下のように語った。
最初に2020年のインディー500を振り返り、
「チームが素晴らしい仕事をしてくれた。スタンドにファンがいない寂しい状況ではありましたが、僕らはインディー500で優勝しました。ボビー・レイホール、マイク・ラニガン、デイビッド・レターマンのために。とても幸せでした。自分にとっても嬉しいことでしたが、何よりもチームのために勝つことができてよかった。彼らが本当に驚くべき仕事をしてくれたのですから。あの日、僕らは計画した通りの戦いができました。それは誰もがやりたいことです。もうインディー500には10年以上出場し続け来ている自分も毎年それにトライしながら、大抵の場合はそうできなかったわけですが、今年は本当にうまく行きました。言うまでもなく、チームのひとりひとりが驚くべきパフォーマンスを発揮したんです。決勝日だけでなく、あの1ヶ月の間ずっと。適材適所にクルーは配置され、ピットワークもミスはゼロでした。その結果、自分たちはずっとトップ5を走り続けることができ、私は思い切りハードにレースし続けることができました。マシンを懸命に調整したことで、勝負の時に最高の状態になっていました」と琢磨は話した。
Photo:Borg Warner クリックして拡大 |
この後に司会者が、「日本でこのストリーミングを見てくれているファンに、日本語でどうぞ」という粋な計らい。琢磨は、「朝の3時とかなんですよね」」と説明しながら、「日本のみなさん、おはようございます。朝早くから本当にありがとうございます。皆さんには昨年、少し会う機会がありました。もちろんパンデミックで大変だったんですけど、こういう中でレースができて、本当に素晴らしいサポートを皆さんから受けて、チームからのサポートも受けて、こうして“500”で2勝目を挙げられたこと、本当に感謝しています。今シーズンも頑張って行きたいと思いますので、また明け方、夜中になるかわかりませんけれども、たくさん応援してください。ありがとうございます!」と語りかけた。アンヴェイルに参加できなかった松本浩明カメラマンと、ジャック・アマノも特別参加! Photo:Borg Warner クリックして拡大
来たるシーズンについては、
「昨年からの良い勢いが自分たちにはあります。その前に、2012年に戻らないといけないと思います。インディー500の最終ラップ、ダリオ・フランキッティにチャレンジしてターン1でスピンした瞬間にです。あの時、私はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに勝利をもたらすことができなかった。チームのためにインディー500で勝たなければならない、と考えました。ボビー・レイホールは”あのレースを負担に感ずることはない”と何度も言ってくれましたが、私は勝利を逃してしまったと感じていたんです。特にマイク・ラニガンのために、勝たねばならないと考えていいました。彼がどれだけ勝利を欲していたかを知っていましたから(彼は自身47回目のインディー500、コンペティターとしての28回目の挑戦でついに勝利に手を届かせた)。
Photo:Borg Warner クリックして拡大
そして、勝つまでに8年がかかりました。彼らとともにビクトリー・サークルに行けたことは、信じられないような素晴らしい瞬間でした。自分にとっても、チームにとっても最高の瞬間でした。あのエネルギーは間違いなく、今シーズンの勢いに繋がって行くでしょう。素晴らしい仕事をしてくれた30号車のクルーたちと、また一緒に戦える。もう一度チャレンジできることを楽しみにしています」と語った。
以上
0 件のコメント:
コメントを投稿