インディーカー・レギュラーの座から退くことになったマルコ・アンドレッティ。インディー500へのチャレンジは継続する Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大 |
マルコ・アンドレッティはフル参戦せず。インディー500+数戦に出場
衝撃ニュース! ”マルコ・アンドレッティが2021年はNTTインディーカー・シリーズにフル・タイム出場しないことを決意”。しかし引退ではなく、昨年ポール・ポジションを獲得したインディー500には今年も出場する。マルコはインディー500で優勝こそ飾れていないが、コンスタントに好パフォーマンスを見せて来ている。
2021年のマルコはフル出場ではないが、アンドレッティ・オートスポートのテストを行い、インディー500以外の数レースへの出場を検討中という。現時点で決定しているのはインディー500への参戦だけということだが……。
マルコはプロフェッショナル・ドライヴァーであり続ける意向で、従兄弟のジャレット(ジョン・アンドレッティの息子=昨年末に80歳で亡くなったマリオ・アンドレッティの双子の兄弟アルド・アンドレッティの孫)が出場するIMSAのスポーツカー・レースで一緒に走ることなども考えている。
昨年のインディー500でポール・ポジションを獲得。彼我の優勝に向けて大いに期待は高まった Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大 |
「インディー500の優勝に対して自分はまだハングリー」
2006年にインディーカーにデビューしたアンドレッティ家の三代目は、それから間もない5月、インディー500であわや初優勝か!? という目覚ましい走りを見せた。しかし、最終ラップのメイン・ストレートでサム・ホーニッシュJr.に逆転されるという、あまりにもショッキングな2位に。
それでもマルコはキャリア初優勝をデビュー・シーズンの終盤にカリフォルニア州ソノマで記録し、祖父、そして父マイケルに続く成功を収めることと期待がされた。しかし、彼がその次に勝ったのは5年後の2011年、アイオワでのことで、それ以降は優勝を飾ることができていない。デビュー年のセンセーショナルぶりとはまるでかけ離れたキャリアを重ねて来たと言える。偉大すぎる祖父、父と比較される身の上だけに、そのプレッシャーがとてつもなく大きいのは理解できるが、「もっと活躍して欲しい」、「がむしゃらさが足りない」などの声がファンの間にも業界内部にもあった。
キンボールとともにボーグ・ウォーナー・トロフィーに見入るマルコ・アンドレッティ。インディー500制覇への意欲はいささかも衰えるところはない Photo:INDYCAR (Chris Owens)クリックして拡大 |
「この数ヵ月の間によく考え、自分のレース活動、目標を変更することと決めた。この決定をつい最近、父に伝えた。彼とは長い時間をかけて、この件について相談をしていた。私は彼のオープンな考え方、私が自分の進路を柔軟に考えられるようにしてくれたことに感謝している。何よりもまず第一に、自分はインディー500で勝つことに対し、今もとてもハングリーなままだ。500は僕らの最大の舞台で、自分がドライバーとして最も力を発揮できる場所だと思う。勝てそうだったこともあったし、いつも優勝争いに加われている。昨年のポール獲得は素晴らしかったが、それだけでは不十分だ。あのレースで勝つことが自分の未来。それを実現すべく、これから何年か戦い続ける」とマルコは語っている。得意のインディーにのみ出場することが、より強くフォーカスした戦いぶりに繋がることを期待したい。
バーバー・モータースポーツ・パークのレースが1週間後ろへ
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開幕戦のはずだったセイント・ピーターズバーグでのストリート・レースがすでに4月末へとスケジュール変更されているが、そのことによって2021年シーズンの開幕戦になったアラバマ州バーミンガムのバーバー・モータースポーツ・パークでのレース=ホンダ・グラン・プリ・オヴ・アラバマもオリジナルのカレンダーとは異なる日程で開催されることが決まった。4月11日決勝の予定が、1週遅れの4月18日決勝になるのだ。その週末はロング・ビーチでのストリート・レースが行われる予定だったが、カリフォルニア州でのCOVID-19パンデミックが沈静化の気配を一切見せていないことから、予定より5ヵ月遅れの9月下旬に日程を移し、シーズン最終戦として開催されることに昨年12月のうちにスケジュール変更がなされている。
今回のバーミンガム戦の日程変更はパンデミックが理由ではなく、シーズン開幕戦となったレースをテレビ局のNBCが自分たちのメインのチャンネルで放映するためだ。4月11日開催の場合は、彼らのスポーツをメインとするサブのチャンネルであるNBCSNで放映する予定だった。
序盤のレーススケジュールが過密化
コロナ感染の状況次第でまだ変更の余地も
バーミンガムでのレースが1週間ずれ込むと、その翌週がセイント・ピーターズバーグで、その次の5月第1週はテキサス・モーター・スピードウェイでのダブルヘダーという、3週末で4レースという過酷な連戦スケジュールになる。さらに、1週間のインターヴァルを挟むとはいえ、5月はインディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースでのレース、第105回インディアナポリス500のプラクティス、予選、決勝と立て込んでおり、クルーたちにかかる負担は大きなものになる。
アメリカではCOVID-19のワクチン摂取が始まっているが、感染が世界で最も広がってる国ということもあってパンデミックが収まるまでにはまだまだ時間がかかりそうで、更なるスケジュール変更がなされる可能性が十分にある。また、インディー500を含め、どのイヴェントも観客をどれだけ入れて行うかを現時点では決定していない。
新チーム発足でシモーナ・デ・シルヴェストロがインディーカーに再び参戦
スイス出身の女性ドライヴァー=シモーナ・デ・シルヴェストロがインディーカーに帰って来る。2015年にアンドレッティ・オートスポートから3レースに出場して以来となる。Photo:INDYCAR
シヴォレー・エンジンを使う新興チーム=パレッタ・オートスポートが彼女をドライヴァーに起用し、まずはインディー500のみへのスポット参戦を行なうこととなった。同チームのオーナーは、フィアット・クライスラーでモータースポーツのディレクターを務めた経験を持つベス・パレッタという女性。彼女のチームのインディー500挑戦は、昨年インディーカーがスタートさせた”平等と変革のためのレース”というプログラムに認められ、チーム・ペンスキーからのテクニカル・サポートを受けることとなった。
インディーカーで走った後にザウバーF1でテスト・ドライヴァーなども務めたシモーナは、現在32歳。2010年のインディー500でルーキー・オヴ・ザ・イヤーに輝いた彼女は、その後も4回のインディー500出場を果たしており、2021年の出場が実現すれば6回目の出走となる。インディーカー・レースは久しぶりとなるが、2013年にヒューストンで2位フィニッシュして表彰台に上り、他にも3回のトップ5フィニッシュという実績を持つ彼女は、復帰初戦から上位で戦うことを期待できる体制を手に入れたと言えるかもしれない。
ロジャー・ペンスキーとベス・パレッタ Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大 |
パレッタ・オートスポートとシモーナの使うカー・ナンバーは「16」。スポンサーは未発表だ。
デイル・コイン・レーシングが元F1ドライヴァー起用か?
インディーカーに3人目のフレンチ・レギュラーが誕生するかもしれない。2009年から2020年の間に10シーズンほどF1グラン・プリに出場していたロマイン・グロジャン=バーレーンGPで激しいアクシデント=いまだに負傷から回復中=が、ハースF1チームからリリースされてフリー・エイジェントとなり、デイル・コイン・レーシングのドライヴァーとして2021年はインディーカーで走ることになりそうなのだ。アメリカのメディアの中には、もう両者は契約間近と書いているところもある。
デイル・コインにはジミー・ヴァッサーらと共同運営するデイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァンもある。彼らの2020年ドライヴァーたちは、サンティーノ・フェルッチがストックカーにスイッチし、アレックス・パロウがチップ・ガナッシ・レーシングに移籍して行った。2台とも新しいドライヴァーを見つけて来なければならない事態となっており、その候補にはグロジャンの他にもエド・ジョーンやチャーリー・キンボールが上っている。
セブリングのショート・コースでプライヴェイト・テストx2日間 佐藤琢磨も始動
今シーズンのNTTインディーカー・シリーズは恒例のプレ・シーズン合同テストが開催されず、各チームがプライヴェイト・テストを重ねてシーズン開幕を迎えることとなりそうだ。
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1月18日と19日、フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイのショート・コースで2日続けてテストが行われ、1日目にはチップ・ガナッシ・レーシング、AJ・フォイト・エンタープライゼス、カーリンの合計7台が走行、2日目にはアンドレッティ・オートスポート、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング、AJ・フォイト・エンタープライゼス、カーリンの9台がラップを重ねた。テストに参加したドライヴァーは以下の通り。
・チップ・ガナッシ・レーシング(1日目のみ)
スコット・ディクソン、マーカス・エリクソン、アレックス・パロウ、ジミー・ジョンソン
・AJ・フォイト・エンタープライゼス
1日目=セバスチャン・ブルデイとダルトン・ケレット、2日目=ケレット
・カーリン
2日間ともマックス・チルトン
・アンドレッティ・オートスポート(2日目のみ)
コルトン・ハータ、アレクサンダー・ロッシ、ライアン・ハンター-レイ、マルコ・アンドレッティ
・レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(2日目のみ)
グレアム・レイホール、佐藤琢磨
・メイヤー・シャンク・レーシング(2日目のみ)
ジャック・ハーヴィー
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佐藤琢磨は2日目に2021年シーズンに向けて始動。128周を走り込み、52秒92のベストを記録。そのタイムは2日目午前中の5番手にランクされた。午後は53秒台のベストで6番手だった。
1日目には昨年6回目のシリーズ・タイトル獲得を果たしたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)が午前、午後ともにトップ・タイムをマークし、2日目は昨シーズン勝利のなかったアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)が同じく午前、午後ともに最速ラップをマークした。ディクソンのベストは52秒37、ロッシのベストは52秒27だった。通常、タイヤ・ラバーが乗ってグリップの上がる2日目の方がラップ・タイムは速くなる。2日間のテスト、各ドライヴァーのラップ・タイムは以下。
1日目 午前中
ディクソン 53周 52秒32
パロウ 43周 52秒45
エリクソン 52周 52秒55
チルトン 40周 53秒09
ブルデイ 37周 53秒20
ケレット 44周 53秒32
1日目 午後
ディクソン 57周 52秒37
エリクソン 76周 52秒42
ブルデイ 88周 52秒59
パロウ 79周 52秒76
チルトン 100周 52秒89
ケレット 93周 52秒97
ジョンソン 86周 53秒69
2日目 午前
ロッシ 41周 52秒37
ハータ 46周 52秒50
ハーヴィー 38周 52秒54
ハンター-レイ 40周 52秒73
佐藤 56周 52秒92
チルトン 54周 53秒02
レイホール 57周 53秒05
アンドレッティ 29周 53秒31
ケレット 58周 53秒65
2日目 午後
ロッシ 65周 52秒27
ハータ 63周 52秒38
ハーヴィー 75周 52秒61
ハンター-レイ 63周 52秒68
レイホール 102周 52秒73
佐藤 72周 53秒06
アンドレッティ 58周 53秒13
ケレット 81周 53秒19
チルトン 45周 53秒59
以上
フェルッチ、昨年のインディ500で4位に入ったから、今季もデル=コインから参戦するのかと思ったのに……………。残念。
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