インディー500優勝マシン2台を前にあいさつする佐藤琢磨 Photo:Honda クリックして拡大
佐藤琢磨のインディー500優勝車2台がホンダ青山に!
12月3日の夕方、「インディー500 日本人初2回目の制覇 佐藤琢磨選手 凱旋報告取材会」が東京のホンダ本社で行われた。
青山のホンダ本社1階ショールームに2017年と2020年、佐藤琢磨のインディー500優勝マシン2台が並べられた。感動的な光景だった。ホンダはアンドレッティ・オートスポート、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングからこれらのマシンを購入。今後はツインリンクもてぎ内の”コレクション・ホール”に並べて展示される予定という。
八郷社長は佐藤琢磨の来年のサポートを約束 Photo:Honda クリックして拡大 |
佐藤琢磨「感謝の気持ちをより強く感じました」
ジャケット姿で現れた琢磨は、今年のレースを振り返り、「コロナ禍でレースができたことにとてもありがたいと感じ、今回の優勝ではファンやスポンサー、チーム、シリーズ関係者の皆さんへの感謝の気持ちをより強く感じました」などと話した。続いて登壇したホンダの八郷隆弘社長は、「優勝直後に携帯電話で話し、”来年もホンダはあなたのインディーカー活動をサポートすると約束した”などの裏話を披露。「来年も勝ってください!」と激励した。
ケヴィン・マグヌッセン
チップ・ガナッシのスポーツカー・チーム入り
昨年でフォードのLMGTプロジェクトが終了し、チップ・ガナッシ・レーシング(CGR)はスポーツカーの世界を離れた。しかし、来年またIMSAウェザーテック・スポーツ・カー・チャンピオンシップに復帰することになった。フンコス・レーシングからデイトナ・プロトタイプ・インターナショナル(DPi)マシン=キャディラックDPi V.R.を購入したのだ。
IMSAシリーズでは3つの耐久レース以外では2人のドライヴァーでマシンをシェアする。CGRはそのドライヴァーのひとりにハースF1で2020年シーズンまでF1GPを戦っていたケヴィン・マグヌッセン(デンマーク)を雇い入れることになった。そして、彼の相棒にはキャディラックでIMSAシリーズに3シーズン続けて参戦して来ているレンガー・ヴァン・ダー・ザンデ(オランダ)を選んだ。
デイトナ24時間、セブリング12時間、プチ・ル・マン(10時間)は3~4人のドライヴァーを起用して戦うが、CGRにはこれまでに何度も耐久レースに出場、実績も残して来ているスコット・ディクソンがいる(彼は2020年プチ・ル・マンにウェイン・テイラー・レーシングのキャディラックで出場し、優勝している)。
マグヌッセンはインディーカー進出を模索中
F1のシートを失うと判明して以来、マグヌッセンはインディーカー参戦の道を模索していた。父親のヤンがシヴォレー・ワークス・ドライヴァーとしてコルヴェットに長年搭乗していたこともあり、ケヴィンも子供時代からアメリカに親しみがあり、インディーカーに対してもポジティヴな印象を持っているようだ。新規参戦の話をまとめることは叶わなかったが、CGRでスポーツ・カー・プロジェクトに加わるチャンスを掴んだ。それは即ち、CGRのインディーカーをテストするチャンスも手に入れたということと見て間違いないはずだ。そこで速さを見せれば、2022年以降にインディーカーへのフル出場を実現することも可能だろう。CGRのレギュラーたち、マーカス・エリクソンやアレックス・パロウもウカウカはしていられない。
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの
佐藤琢磨担当・新エンジニアはマシュー・グリースリー
2017年から佐藤琢磨とコンビを組んでいたエンジニアのエディー・ジョーンズが引退したため、琢磨は来シーズンは新しくチームに加わるマシュー・グリースリー(イギリス出身)と新コンビを組む。
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)のエンジニアリング体制は今シーズンと基本的に変わらず、テクニカル・ディレクターはチーム・ペンスキー、アンドレッティ・オートスポートで活躍したトム・ジャーマンが務め、グレアム・レイホール担当はマーチ・エンジニアリング、パックウェスト・レーシング、シュミット・ピーターソン・モータースポーツ、ファスト・レーシング、アンドレッティ・オートスポートで多くの実績を残して来ているアレン・マクドナルドだ。
多くのカテゴリーで実績あるグリースリーの手腕に注目
グリースリーは最近の7シーズンをカーリンで過ごし、インディーカー・シリーズ、インディー・ライツ、フォーミュラE、ヨーロピアンF3などに携わった。2018~2020年はインディーカーでの活動にフォーカスし、チャーリー・キンボールやパト・オーワード、コナー・デイリー、マックス・チルトンのレース・エンジニアを務めた。
「実績あるチームに参画できるファンタスティックなチャンスを与えてもらった。琢磨と一緒に仕事をするのを今からとても楽しみにしている。インディー500で優勝した翌年ということで、尚更エキサイトしている。チームがこれまでに築き上げて来た成功を、さらに大きなものにして行きたい」とグリースリーは意気込みを語っている。
ハートフォードシャー大学で機械工学を専攻したグリースリーは、学生時代からF1のジョーダン・グラン・プリのモデル・ショップ、ティレルのコンポジット・デザイン部門で働き、大学を卒業するとTWRアローズでコンポジット・デザイン・エンジニアとして働き始めた。1999年にはF3000のキッド・ジェンセン・レーシングでレース・エンジニアを務め、2000年はフォーテック・モータースポーツで同じくF3000レース・エンジニアとして活動。一転、2001年には三菱ラリアート・チームでランサーWRCのコンポジット・デザイン・エンジニアとして働いた。その後にはモータースポーツ・コンサルタントとなって様々なカテゴリーで活動。2011年にはワールド・シリーズ・バイ・ルノーでロバート・ウィッケンズにタイトルを獲得させ、2012年にはレベリオン・レーシングをWECチャンピオンの座に就けるのに貢献した。多くのカテゴリーで様々な経験を積んで来ているエンジニアが琢磨とどんなマシンを作り上げ、どれだけのパフォーマンスを引き出すことになるのか、楽しみにしたい。
以上
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