2020年10月9日金曜日

2020 INDYCARレポート 10月8日:ボーグ・ウォーナー・トロフィーにふたつめの顔

彫像制作者のベーレンス氏がヴェイルを取り外すと、琢磨はこの表情。驚きと、喜びで、笑顔が弾けた Photo:Masahiko Amano クリックして拡大

 2回目の彫像制作にノース・カロライナへ

 10月7日、第104回インディー500チャンピオンの佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)はノース・キャロライナ州トライオンにあるウィリアム・ベーレンズ・スタジオを訪れた。優勝トロフィーにとりつけてもらう顔の彫像を作るためだ。インディー500のボーグ・ウォーナー・トロフィーは、レース・ウィナーの顔を彫刻して取り付けるという非常にユニークなものだ。

彫刻家のベーレンズ氏が、彫像のモデルの本人を迎え、1時間ほどかけて細部を修正。鼻を削ったり、頬に粘土を少し足したり……多くの部分に手が入れられた。写真と実物ではやっぱり違うのだ。そっくりそのまま忠実に、精緻に作るのではなく、人々が見て”その人だ”と印象を受けるようデフォルメすることが必要で、その辺りがプロの技、アーティストのセンスなのだ Photo:Masahiko Amano クリックして拡大

自分の顔と2度目のご対面に喜ぶ佐藤琢磨
「とても精巧にできていてハッピー」

 

2017年、佐藤琢磨インディー500初優勝で作られたクレイ(粘土)・モデル Photo:Masahiko Amano クリックして拡大

 琢磨はその有名なトロフィーに二つ目の顔を取り付けてもらう栄誉に浴することとなった。今、琢磨が彫刻家のアトリエを訪れると、1分の1スケールで作られた粘土製の顔にはベールがかけられており、それを彫刻家が琢磨を目の前に迎え、とり外した。自分の顔の像と対面した琢磨は歓声を上げ、様々な角度からまじまじと見ると、「ちょっと不思議な感覚です。2017年の時も感じましたが、自分の顔って鏡とか写真、テレビで見ま すけど、それらは全部二次元ですよね。こういう風に立体的な、三次元のもので自分の顔を見ることってないから」と話した。そして、「それにしても、ウィルは本当に凄い。精巧に、そっくりにできています。ハッピーです」と続けた。

「二つ目の肖像を作ってもらえるのは本当に光栄です」

今年のクレイ・モデル。確かに、より笑顔だ。少し細面にもなっている Photo:Masahiko Amano クリックして拡大

 2017年の優勝時と比べ、今回の彫像は笑顔が印象的だ。「二度目の優勝なので、ウィルのことは知っているし、像ができるまでのプロセスもわかっていました。2017年は何がどうなっているのかわからないところがあったけれど、今回はレース翌日にすべての角度から写真を撮影することも知っていたので、自然な表情になったところはあると思います」とも琢磨は話した。
 2017年にトライオンに来たのは9月初旬で、今年はその1ヵ月遅れの10月初旬の訪問となった。今日は快晴に恵まれ、日中の気温は摂氏25度に達した。インディアナポリスの15、16℃と比べ、非常に快適な天候となった。「今が気候的にはベストの時期」とベーレンズ氏も話していた。
 琢磨を迎えたベーレンズ氏は、彫像のすぐ隣りに琢磨を座らせ、細部に最後の修正を施していた。これには1時間ほどが費やされた。
 「二つ目の顔を作ってもらえることになるとは、本当に光栄です。今の時代、3Dプリンターでまったく実物と同じものを作ることだってできるけれど、ボーグ・ウォーナー・トロフィーの彫像はこうやって先ずは1分の1で作って、そこから縮小する手法が取られているんですよね」と琢磨は笑顔で語った。

またここに来る日を!
2017年のプラスター(石膏)・モデル、本人、今年のクレイ・モデル。そして、両年の優勝リング Photo:Masahiko Amano クリックして拡大

 今年の優勝はほぼ完璧な戦いぶりで実現された。来年は空力のルールが少し変わるようだが、今年速かったドライヴァーとチームが優位を保つ可能性は高い。来年、またトライオンの町を訪れることができるのでは?
という期待が膨らむ。琢磨自身も自らの笑顔を湛えた彫像を見て、「またここへ来よう!」と改めてモチベーションを高めることとなったようだった。
以上

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