2020年4月30日木曜日

2020 INDYCARレポート 4月30日:テキサスがNASCARと併催?


インディーカー・シリーズ開幕まであと1ヵ月あまり
テキサスはまだ感染が広がっている状況が続く……

 新型コロナウイルスでお亡くなりになった方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被患された皆様には心よりお見舞いを申し上げます。また、被患された皆様の1日でも早い回復と、感染の早期終息を心よりお祈り申し上げます。

 4月も今日で終わり。NTTインディーカー・シリーズが今年最初のレースとして現在予定しているジェネシス500=テキサス・モーター・スピードウェイ=66日決勝まで1ヵ月と少しだが、テキサス州内のCOVID-19感染者数は420日に19,458人だったものが26日に24,631人と短期間で5,000人も増えており、死者数も同期間内に495人から648人に増えた。アメリカのウィルス感染による死者数は10年を越す長さだったべトナム戦争での数(58,220人)をすでに上回り、まだ感染は広がっている段階と見られるのだから、ダラス郊外で6月初旬にレースを開催するのは非常に難しくなっている。

51日からステイホームの規制を緩和!
厳格なレギュレーションの下、商業活動を再開へ

 しかし、テキサス州知事は意気軒高だ。この金曜からステイホームの条例を緩和し、多くの職種に再開のゴー・サインが出され、ショッピング・モール、レストラン、映画館は営業を再開して良いことになった。ただし、州の定めるルールに従った上で……という条件はつく。例えばレストランの場合、収容人数の25パーセント以下までしかお客さんを入れてはならない。お客も従業員も常に6フィート(180cm)以上の距離を保たなくてはいけない=入店前の待ち時間にも適用。1テーブルにつけるのは6人まで。使い捨てメニューの使用、クレジットカードなどでの支払い(お金のやりとりなどで接触が起こらない)、ソース/スパイス/付け合わせの類はそれぞれのテーブルで消費し切れる分を提供、1グループの食事が終わるごとに清掃と除菌、入り口に手を消毒する場所を用意すること……が推奨されている。ビュッフェ形式もオーケイだが、食べ物を皿に取り分けるのはレストランの授業員。と、なかなかハードルは高い上、この外食をグループでできるのは今のところ家族でだけ。友達ところか親戚の集まりもダメということ。ルール守らなければ罰金1,000ドルか最長180日間の投獄、あるいはその両方。業種によってはライセンスが剥奪される。そして、バー(=利益の51パーセント以上がアルコール飲料に占められる店という規定)は、まだ開業してはならない。

指定州、指定都市からの来訪者には2週間の
自主検疫期間を義務付け! 日本からの場合はいかに?

 テキサス州は指定州、あるいは指定都市から入って来る人々に対し14日間の自主検疫を求めているが、そのルールがレースまでに緩和されないと、現場に行けない人も出て来る。現状アウトとされているのはカリフォルニア州、コネチカット州、ニュー・ジャージー州、ニュー・ヨーク州、ワシントン州、アトランタ(ジョージア州)、シカゴ(イリノイ州)、デトロイト(ミシガン州)、マイアミ(フロリダ州)だ。我々が日本から行く場合、これらの州や都市を経由したらダメってことなのだろうか??

インディーカー開幕の翌日にNASCAR戦!
にわかには信じがたい1デイ・レース制導入か!?

 テキサス州知事は3月に予定されていたNASCARのレースが延期になった後、NASCARとテキサス・モーター・スピードウェイに対し、是非とも早いうちにレースを開催して欲しいとオファーを出していた。そして今、聞こえてくる噂として、「66決勝のインディーカーのレースの翌日曜日にNASCARのレースもやったらどうか?」というアイディアがある。しかし、それはテキサスのファンが1週末に両メジャー・シリーズのレースを同じコースで観戦できる……という意味ではない。どちらのレースも無観客で、となるだろうからだ。
 NASCARとの併催になるか否かは別として、テキサスでのイン
ディーカー・レースを1デイで開催する、というのも検討されているという。近頃ではもう当たり前になっている2デイ・イベントは、ファンにとっては短過ぎ、エントラントにとってはパフォーマンスを発揮しにくいと評判が決して良くなかったのではなかったか。1日の中にプラクティス、予選、決勝の全部を押し込むとは、少々行き過ぎだろう。「1日でも早くシーズンを開幕させたい」という思いがインディーカー、あるいはドライヴァーやチームの間にあることはよくわかる。テレビだけででも、ファンがレースを楽しむ機会を与えるというのは本当に良いアイディアだ。しかし、今の極めて特殊な事情を十分に考慮に入れたとしても、1デイ・イベントにしてまで開幕を急ぐのが果たして本当に意義あることなのか、おおいに疑問だ。インディーカーが土曜日、NASCARが日曜にレースを行なうという大胆なアイディアは、アメリカでのテレビの放映がどちらのシリーズもNBCなので、同じコースで同じ週末にレースが開催されるとテレビ局にとって大きな経費節減になる、というメリットはあるが。

いまだ厳しい日々が続くヨーロッパ
モータースポーツが盛んな国の感染状況が深刻

 COVID-19ウィルスの感染者数を国別で見ると、アメリカはご存知のように今やダントツの世界一。世界で26番目に多いのはスペイン、イタリア、ドイツ、イギリス、フランスといったヨーロッパの国々だ。そして、これらの国はレースにとって重要なところばかりだ。
 そうした国々で感染者数増加の傾向がまだ緩やかになっていない中F1世界選手権は628日決勝のフランスGP/ポール・リカールで開幕する予定になっている。こちらも実現はかなり難しいのでは?
 世界耐久選手権(WEC)はル・マン24時間レースを9月下旬に延期し、開幕戦は83091日開催のシルバーストーン(イギリス)としているので、開催可能なのでは?
という希望が持てる。
 世界ラリー選手権(WRC)46月のイベントを延期。シーズン再開を7月半ばにしているので大丈夫そうに見える。しかし、そのイベントがサファリ・ラリー=アフリカのケニアで開催=なので、欧米やアジアよりウィルス感染が遅れて広がり、安全にイベントを行なうことが難しくなる可能性も考えられる。89月にラリー開催予定のフィンランドとニュー・ジーランドはウィルス対策に国として成功しているので、おそらく開催可能だろう。
 ツーリング・カーのTCRヨーロッパは、72425日に延期されていたスパ・フランコルシャン(ベルギー)でのイベントを更に遅らせることを決定(日程は検討中)と、かなり現実的。シーズンスタートをWECと同じ8月末までズレ込ませる計画だが、その開催コースが当初のスケジュールにはなかったハラマになるというのは不可解。スペインがウィルスによって受けたダメージは非常に大きいため、レースを実現できるか不透明だ。
以上

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