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ウインドスクリーン装着の影響はあまりなし!
テスト2日目も朝起きると雨。しかし、午後になって天気は回復。気温は14℃までしか上がらず、路面も完全なるドライ・コンディションにはとうとう最後までならなかったが、午後6時まで25台のマシンが慌ただしく走行を重ねて行った。
徐々に乾いて行き、ラバーも乗って行った路面で最終的にトップになるラップタイムを記録したのは、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だった。そのベストは1分46秒7603。昨年のポールシッターはパワーで、1分46秒0177がレッドタイヤを使った予選でのベストだった。路面の舗装の一部が新しくされ、バンプが削られている部分もいる。ラップタイムを向上させる要素はあった。コースの縁石を乗り越えたライン採りも今年は禁止になっており、そうした走りで記録されたラップはカウントされずにいた。エアロスクリーン装着によって25kgほどマシンは重量が増えている。しかも、コクピット上部にそれだけの重さが加わったのだから、ラップタイムへの影響は大きいはずだが、想像していたよりも小さかった印象だ。
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ルーキーのマクロクリン Photo:INDYCAR Jonathan Ferrey (Getty Images) クリックして拡大 |
6台体制のアンドレッティ勢も順調
ルーキーのスコット・マクロクリン、3番手タイム
0.2396秒差で2番手だったのは、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)。ルーキーのスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)が3番手!
昨シーズン・チャンピオンのジョセフ・ニューガーデンが4番手で、昨年度インディー500ウィナーのシモン・パジェノーは6番手と、チーム・ペンスキーは走らせた4人全員がトップ6入という素晴らしいパフォーマンスだった。現時点での完成度でライバル勢に明らかな差をつけている。
ハーディング・スタインブレナー・レーシングを飲み込み、メイヤー・シャンク・レーシングとの技術提携も結んだアンドレッティ・オートスポートは6台体制(!)
オーナーのマイケル・アンドレッティはIRL参戦開始時から豊富に得られるデータをマルチ・カー体制にアドヴァンテージがあると確信している。昨シーズンはチーム内が少しバラバラになっている印象もあったが、このオフに体制を立て直し、打倒ペンスキーの最有力候補になっているように見える。
今年こそチャンピオンに!」と燃えているロッシは、「自分たちの戦闘力は、現時点で良いレヴェルにあると感じている」と手応えを感じていた。「テスト2日目の午後は慌ただしく仕事を進めなくてはならなかったが、用意して来たテストプログラムのほぼすべてをこなすことができた」とも彼は語った。
昨シーズンのアンドレッティ・オートスポートではマシン・セッティングがロッシの好みに寄ったものになっており、チームメイトたちがそれを使いこなせずにいたようだ。今シーズンは6台の協調を保ちながら、各ドライバーの好みも取り入れて行く方針で、それが今回のテストでチーム全体の嵩上げを実現させていたということのようだ。
カラースキームががらりと変わったロッシ Photo:INDYCAR Jonathan Ferrey (Getty Images) クリック |
昨年のテストで最速だったハータは、今回のテストではトップと0.6069秒差の5番手だった。それでも表情には余裕があり、「昨シーズン中に重要だと痛感した燃費セーヴやタイヤ・マネジメントのスキルを進歩させるのが今年の重大テーマ。それらを実現しながら、レースでのペースをもう少し上げることも可能だと思う」と2シーズン目に向けた自信のほどを語っていた。ルーキー・シーズンに2勝した彼は、今シーズンは更なる勝利数を手に入れ、チャンピオン争いに絡んで行く意気込み。今年のアンドレッティ勢はロッシとハータが引っ張って行くことになりそうだ。
チップ・ガナッシ・レーシングはスコット・ディクソンが8番手につけたが、パワーとの差は0.9318秒と大きなものだった。チームメイト2人はフェリックス・ローセンクヴィストが11番手で、マーカス・エリクソンが19番手だった。ペンスキーが4人をトップ6入りさせたのと比べると、チーム力の差は歴然としている。彼らがペンスキーと互角の戦いを演ずるには、若いスウェディッシュ2人の急成長が必要。チームのレヴェルをもう一段、二段引き上げることができれば、ディクソンの6度目のタイトル獲得も叶うかもしれない。
2020シーズンもルーキーに注目
今年もルーキーに勢いがある。5月のインディーカーGPにしか出場しない予定のマクロクリンが才能を強力にアピール。先輩チームメイトたちは”ウカウカしてはいられない”と感じたことだろう。昨年度インディーライツチャンピオンのオリバー・アスキュー(マクラーレンSP)、9番手に食い込んだアレックス・パロウ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・チーム郷)、昨年度インディーライツ・ランキング2位のオランダ人ドライバー=リナス・ヴィーケイ、カーリンがテストしたブラジル出身の2人=フェリペ・ナサールとセルジオ・セッテ・カマラ……。ハータ、ローゼンクヴィスト、エリクソン、サンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・バッサー・サリバン)、パト・オーワード(マクラーレンSP)らも実力を伸ばして来るだろうから、優勝のチャンスを持ったドライヴァーの数は、それこそレースにエントリーするうちの半分以上になる。競争の激しさがまたさらにアップするのは間違いなさそうだ。
佐藤琢磨、タイムは22番手にとどまるが
今シーズンを戦う上でのベースのテストに専念
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は今回のテストで22番手のタイムを出すにとどまった。チームメイトのグレアム・レイホールも16番手と目立たなかった。レイホールのベストは1分47秒9870で、琢磨は1分48秒6896。ボビー・レイホールの率いるチームは、2日間が1日に縮まったテストをフルに活用して成果を挙げることができなかった、と見ることもできる。
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しかし、彼らはラップタイムを追い求めたセッティング変更を繰り返すのではなく(少なくとも琢磨は)、新しいセッティングのアイディアを試すところをプライオリティにしており、その方針を貫いた。昨シーズンの戦いをオフの間に研究し、弱点だった部分を強化する新しいアイディアが幾つも見つかった。それらの基本的な部分を今回のテストで試したのだ。今シーズンを戦う上でのベースをCOTAでの合同テストでまずは固める、という考え方だ。今回のテストはシリーズ第4戦が実際に行われるコースだが、そのレースにだけテストを行えばいいというものでもない。新シーズンのロードレースすべてに対するテストとするべきとも考えられる。しかし、6時間x2日、タイヤはスリックが8セット使えるはずが、走行時間が半減させられ、琢磨は使用タイヤのセット数も半分になってしまっていた。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングとしては、今回こだわった基礎研究的なものが、今シーズンを戦うための良きベースとなることを期待するしかない。
「22位というポジションほど自分たちの仕上がりは悪くない」
「まだコンディションのそんなに良くなっていない頃、とてもコンペティティヴなタイムを出せていた。最終的なタイム、ポジションほど自分たちの仕上がりは悪くないと思う」と琢磨は話し、「ラップ・タイムを良くするためのセッティング変更をしなかったのだから、ライバルたちにタイムで差をつけられるのは当然。でも、オフの間にシミュレーターなどで試していたセッティングで実際にコースで走ってみることで、想定をしていた結果や反応が得られたので、それは今シーズンのマシンを良くすることに繋がる」と琢磨は続けた。
開幕前に琢磨はもう1回テストを行う。フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイのショートコースで3月初旬に予定しているテストは、ストリート・コースでのマシンセッティング向上に100パーセント・フォーカスしたものになるという。開幕戦のセイント・ピーターズバーグ、第3戦のロング・ビーチと、シーズン序盤にストリートでのレースは2戦あり、それらのコースで好成績を残すことはチャンピオンシップを戦う上で非常に大きな意味を持つためだ。
以上
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