2019年11月2日土曜日

2019 INDYCARレポート 11月1日:アロー・マクラーレンSPの若いドライバー布陣が発表に

平均年齢21歳!インディー・ライツ チャンピオンコンビが誕生
 噂は本当だった。
 2020年からNTTインディーカー・シリーズにフル出場するアロー・マクラーレンSP(AMSP)=アロー・シュミット・ピーターソン・モータースポーツとマクラーレン・レーシングがジョイント=は、2カー体制のドライバー・ライン・アップをパトリシオ・オーワード(20歳)とオリヴァー・アスキュー(22歳)とすることを発表した。
 オーワードは2018年、アスキューは2019年のインディー・ライツ・チャンピオン。共にエントリーはアンドレッティ・オートスポートで、そのままチーム内でステップ・アップすることはできなかったが、歴史と実績を持つF1の強豪チームと母体を同じくするAMSPはインディーカーの新興勢力となる期待が寄せられているチームであり、将来有望な若い二人にとっては大きなチャンスとなる。ASPM時代はホンダ・エンジンのユーザー・チームだったが、マクラーレンが加わった彼らは2020年からシボレー・エンジンで戦う。

2020シーズンはシボレー勢にルーキー・オブ・ザ・イヤー候補集中!?

 シボレー勢はユーザー・チームが若手の起用に積極的でなかった。2012年のシリーズ復帰以来、2019年まで8年連続でルーキー・オブ・ザ・イヤーはホンダ・ドライバーが獲得して来ている。しかし、2020年にホンダ・チームでルーキーを起用するところはなさそう。シボレー・ドライバーのルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得がなりそうだ。果たして、その栄誉を手にするのはオーワードか、アスキューか。エド・カーペンター・レーシングにもインディー・ライツでランキング2位となったライナス・ヴィーケイを起用する話がある。フル・シーズン・エントリーができれば、彼もルーキー・オブ・ザ・イヤーを目指して戦うこととなる。

アロンソと若手二人とのケミストリーに注目

 ASPMという前身があるとはいえ、マクラーレンがイニシアティブを握るチームはどこまで戦闘力のある体制を整えることになるだろう。ドライバーが二人とも若いことはマイナスに作用する可能性もある。ただし、インディー500での彼らはフェルナンド・アロンソをスポットでエントリーさせる。若い2人にとっては、豊富な経験を持つF1チャンピオンと情報をシェアして戦って多くを学び取ることができるだろう(オーワードは2019年のインディでそれはすでに体験済み)。アロンソのトリプル・クラウン達成に向け、彼ら二人がどれだけの助けになるかはわからないが……。

 2019年にハーディング・スタインブレナー・レーシングからフル・シーズン・エントリーするはずが、資金の準備ができなかったチームによって開幕目前に放り出されるという憂き目に遭ったオーワードは、カーリンから7戦に出場し、残りのシーズンはレッド・ブル契約ドライバーとなって日本のスーパー・フォーミュラに参戦。しかし、F1へと進むにはスーパー・ライセンス獲得という高いハードルがあり、その実現が難しいためにレッド・ブルとの関係を解消。フリー・エージェントとなっていたところにマクラーレンから声がかかり、インディーカーに戻る話がまとまった。「自分にとって最初のフル・シーズン・エントリーがAMSPと決まって、これ以上嬉しいことはない。去年も幾つか素晴らしいチャンスをもらったが、AMSPからのインディーカー出場決定は、自分のキャリアにとって、もうこれ以上のもの絶対にないというぐらいに凄いものだ。2020年シーズンが今から待ち遠しい」とオーワードは話した。
 アスキューも、「夢が叶った。インディー・ライツで今年タイトルを獲った自分にとっては自然なステップ・アップでもあるが、AMSPからのインディー出場は大変エキサイティングなチャンンジになる。シーズン開幕が今から待ちきれない」とコメントしている。


ヒンチクリフ、来シーズンのレギュラー・シート確保はほぼ困難に
 なお、2015にシュミット・ピーターソン・モータースポーツ入りし、マクラーレンが加わった新体制となってもチームに残留することが検討されていたジェイムズ・ヒンチクリフだが、まだ1年の契約が残っている状況ながらチームが若い二人の起用を決定。他チームへの移籍も自由に行えるフリー・エージェントとなった……・が、問題はもうレギュラー・シートはほぼすべて埋まってしまっているという点。インディー500と地元トロントでのレースへのスポット参戦ぐらいは、せめて実現して欲しいが、どうなるか?
以上

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