2019年9月22日日曜日

2019 INDYCARレポート R17 ファイアストン・グラン・プリ・オブ・モントレー Day2 予選:コルトン・ハータが2戦連続ポール・ポジション

マシンの仕上がりがよくなり、ドライビングにも安定感が出てきたハータ。ポール・ポジションからルーキ・オブ・ザ・イヤーを懸けた戦いに臨む Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
  ルーキーのハータ、シーズン3回目のポール・ポジション獲得
 
 昨シーズンの最終戦ソノマでインディーカー・シリーズにデビューした二世代目ドライバー、コルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)が2019年シーズン最終戦ラグナ・セカのポール・ポジションを獲得した。デビュー・イヤーにして3回目のPP。そして、第16戦グラン・プリ・オブ・ポートランドからの2戦連続PP奪取ともなった。6人による予選ファイナルが始まると、ハータはピットで待機し、残り時間が3分になった時にコース・イン。1周のウォーム・アップの後に2周のアタックを行い、1分10秒1405、1分10秒1658という素晴らしいラップ・タイムを続けえ記録してPPを手に入れた。ベテランたちがセッション開始直後にコース・インし、2セットのタイヤを投入してトライを重ねたのに対し、ルーキーのハータだけが1回のアタックに勝負を賭けることとし、見事にPPを仕留めた。


ハータは素晴らしい集中力で1回アタックに懸ける作戦を成功させた Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
キャリア2勝目を見据えるハータ
「マシンが最高の仕上がりなので速く走れる」

 「チームのパフォーマンスが今週ずっと素晴らしく、マシンが最高の仕上がりなので速く走ることができている。シーズン終盤の数週間になってから、僕らはマシンを大きく進歩させることができており、自分もドライバーとしての能力を向上させている。今シーズンが開幕する時、自分の目標は”シーズンが終わるまでに、予選でトップ6を争えるようになりたい”というものだった。自分にはPPを獲得する力がある。それを知ることができた時、僕はストレスから解放された。そして、自分にファスト6入りが可能だとわかってからは、それを実現できなかった時にとてもがっかりする。明日のレースのスタートが今から楽しみだ」とハータは喜んだ。明日、彼は開幕2戦目以来となるキャリア2勝目を狙い、PPからスタートを切る。

ニュー・タイヤのセッティングに苦しんでいたディクソン
「予選2位はいい意味での驚き」

 

Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
 予選2位はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)。ファイナルでの彼は1セット目でセッティングを確認し、2セット目のアタックに出て行った時には残り時間が2分を切っていた。5回のタイトル獲得歴を誇るディクソンは、与えられた1周だけのアタックでキッチリ1分10秒1831をマーク。しかし、ハータに0.0426秒届かなかった。
 「今週末はマシンのセッティングで苦労をしていた。特にニュー・タイヤで好いラップ・タイムを出すことができずにいたのだから、予選でフロント・ロウにグリッドを獲得できたことは、とても大きなリカバリーだったと思う。いい意味での驚き、そういう予選になっていた。明日がどんなレースになるのか、とても楽しみだ」とディクソンはコメントした。

ロッシ、予選3位でニューガーデンとともにグリッド2列目に「100分の7秒差でポール・ポジションを逃したのは厳しい」
 


 フロント・ロウはタイトル・コンテンダーではない2人によって占められた。ポイント・ランキング2番手から初タイトルを狙っているアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)は予選3位となった。予選ファイナルでのベスト・ラップは1分10秒2105だった。そして、予選4位がポイント・リーダーのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)。キャリア2回目のタイトルを目指すテネシー州出身の28歳は、ファイナルでの自己ベストが1分10秒6719だった。

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 ロッシは、「いつもの週末と同じ。予選は本当に難しい。ずっと言い続けている通り、インディーカー・シリーズにおいては、常にエントラント間のタイム差がとてもタイトなので、思い切りプッシュしなければならない。ミスなく1周を走り切ることだけでも難しいというのに……だ。木曜のテストから2日半、厳しい戦いをずっと続けて来た。チームが一丸となって全力を投じて来て、良い時も悪い時もあった中、予選での自分たちはなかなか良い戦いができたと感じている。しかし、僅か100分の7秒の差でPPを逃したっていうのは、なかなか厳しいものがある。明日のレースに向け、どのようなマシンとするのがベストか、じっくりと考えたい」と語った。

「ちょっと攻めすぎてしまった」と振り返るニューガーデン
「実現すべき予選結果を手に入れた。明日は任務を遂行するだけ


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 4位フィニッシュすればチャンピオンのニューガーデンは、その4番グリッドからスタートすることになった。ポイント2番手のロッシの隣りのグリッドからだ。「いいレッド・タイヤをファイナルの最後に残しておいた。しかし、僕はちょっと攻め過ぎてしまったようだ。PP獲得は、あのラップで全力のアタックを完成させるしかなかった。すでに1回アタックし、ラップ・タイムは記録していたので、思い切り行くことにした。ターン1に飛び込んだ時のタイヤの感触は上々で、ターン2は思い切り奥まで突っ込んだ。今週ずっとトライして来た走りを目指していた。全力をあそこに投入した。そして、それが少しハード過ぎてしまった。あのラップがうまく行ったとして、コルトンのタイムを上回ることができたかはわからない。しかし、可能性があると考えていたからチャレンジした。フロント・ロウに並べるチャンスはあると考えていたんだ。今週もチームが本当に頑張ってくれている。僕らのマシンは強力で、安定感もある。自分たちは、実現すべき予選結果、つまりはスターティング・グリッドを手にできたとも考えている。明日は任務を遂行するだけだ」とニューガーデンは話した。

予選6位に納得するパジェノー
「明日のレースに向けて、自分たちのマシンは非常に強力!」

 
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 タイトル・コンテンダーの3人目、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)もラグナ・セカでの予選ファイナルに駒を進めていた。しかし、パジェノーが手にできたのはその中での最後のグリッド、予選6位という結果だった。彼の前の5番グリッドはジェイムズ・ヒンチクリフ(アロウ・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)のものとなった。それでも、予選後のパジェノーは納得の表情だった。

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「緊迫感のある予選だった。今回はピットが後方なので、予選での戦い方が難しかった。Q1でみんなが前を行くマシンとのスペースを確保しようとすると、後ろからスタートする僕らはタイヤを十分に温めるのに苦労をさせられる。それでも、何とかQ1をクリア。PP獲得を目標に、それができない場合でも、ひとつでも前のグリッドを獲得しようと全力でアタックし続けた。トライできることはすべてトライしたいと考えて、それが今日の僕らはできた。だから、6位でも後悔はない。全力で、コース全域でプッシュし続けた。少し攻め過ぎになっていたぐらいかもしれない。ファスト6を戦えて良かった。明日のレースに向け、自分たちのマシンが非常に強力であるとも感じている。ライバルたちをパスすることもできる自信がある。明日のレースが楽しみだ」とパジェノー。オーヴァーテイクが難しいと言われ続けている中、「自分は抜ける」と言い切ったパジェノー。どんな走りをレースで見せることになるのか。


Photo:INDYCAR (Stephen King) クリックして拡大
 予選7~12位は、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、マックス・チルトン(カーリン)、マーカス・エリクソン(アロウ・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、サンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)。チルトンは今シーズン初の予選トップ10入りだ。

不運!ローゼンクヴィスト、ペナルティでQ2進出できず

 最終戦にはルーキー・オヴ・ザ・イヤー争いも持ち込まれている。現在トップはフェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング)。26点差の2番手にいるフェルッチが12番グリッドなのに対し、ローゼンクヴィストは予選14位となった。Q1でのコース・オフが、後続のヒンチクリフのアタックを妨害したとして、ベスト2ラップが抹消され、彼はQ2進出を果たせなかったのだ。最速2ラップを取り消されてもグループ7位となり、あと一歩でQ2進出を逃したのだった。彼はこのセッションで誰よりも速い1分10秒1645を記録していた。間違いなくPP争いに加われるマシンを手にしていたのだ。しかし、走路妨害という判定は下された。

 
インディーカー批判を口にしたローゼンクヴィスト。決勝でのルーキー同士の戦いも注目される Photo:INDYCAR (Stephen King) クリックして拡大

 ローゼンクヴィストは、「僕にルーキー・オヴ・ザ・イヤーを取らせたくない人が”階上”にいるに違いない」とシリーズ主催者のインディカー批判をしていた。今週末のレースはダブルポイントのため、フェルッチの逆転は十分に可能。スウェーデン出身の彼は、アメリカ人ドライバーのフェルッチにルーキー賞を取らせたい思惑がインディカーにはあると感じているようだ。

佐藤琢磨、攻めたセッティングで予選に臨むも
マシンを天候に合わせきれずQ1敗退


 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は予選直前のプラクティス3で5番手につけており、予選はファイナル進出も十分期待できる状況にあったが、Q1敗退を喫した。 


ここまで順調にマシンを仕上げてきた佐藤琢磨だったが、予選は裏目に Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
「プラクティス3ではマシンが良い感じでまた前進していました。Q3に進める兆しが見えていたので、自分自身、予選に対して期待していました。セッティングはそこから大きく変えることはなく、天候に合わせるための調整を施したんです。暑くなったコンディションにマシンを合わせに行った。しかし、天候に合わせ切れなかったということですよね。プラクティスでもうちょっと良くしたいと感じた部分を、ある程度攻めて行ったセッティングにしたんですが、それが気温など温度の上昇で裏目に出てしまった、ということだと思います。マシンのバランスが崩れ、唐突な動きをするものになっていたんです」と琢磨は分析し、悔しがっていた。「Q2に進むことを100分の3秒で逃したんですから、非常に残念です。誰もが同じ条件ですが、予選は今週最も暑いコンディションになっていました。それが戦いをとても難しくしていたと思います。しかし、この予選で得られた情報も、明日のレースを戦うために活用します。自分たちのレース用セッティングには戦闘力をあるとも感じています」と琢磨は最終戦も全力で戦う意気込みを表していた。
以上

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