2019年7月15日月曜日

2019 INDYCARレポート R11 ホンダ・インディー・トロント Race Day 決勝:シモン・パジェノーが今シーズン3勝目


 
ポール・トゥー・フィニッシュで今シーズン3勝目を飾ったパジェノー。54ポイントを追加して、トップのニューガーデンに39ポイント差に迫る Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大

完璧にマシンを仕上げきったパジェノー

 今年のトロントは3日間の週末中、一度も雨に悩まされることはなかった。雷雲が訪れたのは予選終了直後で、インディカーの走行には何ら影響を及ぼすことはなかった。45分間のプラクティスが3回、3段階の予選、そして決勝日には30分間のウォームアップと、すべてが完全なるドライコンディションだった。トロントのコースはグリップが極めて低く、路面の材質が場所々々で異なる難しいキャラクターだが、今年のエントラントたちはマシンの仕上がりレベルを例年よりかなり高くできていたはずだ。そして、この長いプラクティス時間をフルに味方につけたのがシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)だった。



オープニングラップにターン8でパワーの強引なマニューバ―をきっかけにレイホール、ハータ、アンドレッティ、レイストを巻き込むクラッシュが発生。2~3周目にフルコースコーションとなったが、その後はラスト1周までアンダーグリーンでレースは続き、パジェンーは危なげなく首位をキープ Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
 スーパー・ハイ・ダウンフォースのマシンからユニヴァーサル・エアロ・キットにスイッチした昨年はマシンへの習熟でおおいに苦労をしたパジェノーだったが、フルに1シーズン以上が経過して、今年のインディーカーGPの頃にようやくマシン特性にドライヴィングを合わせることができるようになった。それでもまだ”完璧に自分のものした!”と言い切れる状況にないことは、デトロイトやロード・アメリカでの彼のパフォーマンスを見れば明らかだった。
 トロントでのパジェノーは、「現行インディカーを自分のものにできた!」と胸を張って言っていいパフォーマンスを発揮した。

「アグレッシブさを保ちつつ、
マシンの持つ力のすべてを引き出すことができた」


喜ぶニューガーデンとクルーたち。パジェノーはこの勝利でニューガーデンに次いで、2人目のシーズン3勝目。ここからのチーム内の争いの行方が注目される Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大  
 「準備が万端なら僕は強い。それは過去にも見せて来たことだと思う。今回のマシンは最高だった。だからアグレッシブさを保ちつつ、マシンの持つ力のすべてを引き出すことができた。今週の僕はずっとマシンをハードに走らせていた。それでも、予選の時以外はある程度のマージンを持っていた。そして、その状態で僕らはライバルたちに少しだが確実な差を持っていた。大きなリスクを冒さずとも優位をキープできていたから、気分良く戦えた。こういう週末を毎レースで過ごせるように努力を続けている」とパジェノーは週末を振り返った。

「ターン1とターン3でバックマーカーに追いつかないよう
燃費をセーブしながらペースをコントロールしていた」


Photo:INDYCAR (Shawn Gritzmacher) クリックして拡大
 「レース終盤にはディクソンが差を縮めて来たが、彼がコースのでこで速いのかを観察し、自分のペース設定をすることで対処した。バックマーカーをパスしようとプッシュ・トゥ・パスを使えば燃費が悪くなる。だからディクソンとの差をチェックしつつも、バックマーカーにターン1とターン3で追いついてしまうのを避けるようペースをコントロールしていた。ターン1とターン3以外ではオーバーテイクは不可能。そこで燃費セーブを続けながら、バックマーカーとの間に距離を置き、ディクソンがパスが可能な場所で自分に追いつかせないように走っていた。それには経験を利用していた。どうやって、そんなことが可能とできるのか、多くの偉大なる先人たちの走りを見て学んで来たんだ」。



ロッシ、3位でフィニッシュしニューガーデンとの差は4点!
パジェノーも39ポイントまで肉薄!
佐藤琢磨、5位まで浮上も残り18周でマシントラブル発生、無念のDNF


 トップと61点差のポイント・スタンディング3番手でトロント入りしたパジェノーは、シーズン最多タイの3勝目を挙げて獲得ポイントを395点まで伸ばした。ポイント・リーダーのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は4位フィニッシュと手堅さをまたも見せたが、パジェノーは彼との差を39点まで縮めた。


ポイントリーダーのニューガーデンは今回4位。表彰台には、ニューガーデンを追いかける3人が並んだ Photo:INDYCAR (Shawn Gritzmacher) クリックして拡大
 また、トロントでのレース前にニューガーデンとのポイント差が僅かに7点だったアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)も、予選4位からひとつポジション・アップの3位でフィニッシュ。今季6回目のトップ3フィニッシュによりポイント・トップとの差を4点に縮めた。ディクソンもランキングこそ4番手で変わらないものの、2位フィニッシュ(こちらもトップ3入り=6回目)でニューガーデンとの差を94点から86点に減らしている。

力強い走りでポジションアップを果たし、5位走行中の63周目には自己ベストラップを出して表彰台圏内を目指した佐藤琢磨だったが、67周目に両エキゾーストから発火してレースを終えた Photo:INDYCAR (Joe
ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は最終ラップ手前の単独アクシデントで18位に、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は予選10位から5位まで順位を上げていたが、マシントラブルで最下位の22位。二人はポイント・スタンディング5、6番手を維持したが、トップとの差はそれぞれ、108点から128点、110点から133点へと広がった。


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