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ラスト・ロウ・シュートアウト前のプラクティスで6周しか走れず
第103回インディアナポリス500の予選2日目は、朝から雨に見舞われたが、午前10時過ぎに”ラスト・ロウ”を争う6人のためのプラクティスが始まった。
ここでフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)は6周しか走れず、220.009mphしか出せなかった。新しいセッティングをトライしたが、それが失敗に終わったのだ。2017年に彼が共に戦ったチーム、アンドレッティ・オートスポートから、インディカーで最も重要なパーツとも言えるダンパーの提供を受けたが、ライドハイトの設定を間違ってしまったようだ。インディ500へのスポット参戦をしているチームは、もはや完全に負のスパイラルに嵌ってしまっていたのだ。
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アロンソの走行順は6台中3番目
午後1時半スタートに予定が変更されたラスト・ロウ予選は、雨のためにもう明日に延期かと思われた。それが3時過ぎに晴れ間が広がり、コースの乾燥作業がスタート。夕方4時半から6台に1回ずつアタックのチャンスが与えられることになった。
アタックの順番は、金曜に行ったクジ引きを再利用して決められた。最初にコース・インするのはジェイムズ・ヒンチクリフ(アロー・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)。それ以降はマックス・チルトン(カーリン)、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)、セイジ・カラム(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)、パト・オーワード(カーリン)と続いて、最後はカイル・カイザー(フンコス・レーシング)。彼は今朝のプラクティスで1周も走っておらず、あまり好いパフォーマンスは期待できなかった。
衝撃!最終ランナーのカイザーが奇跡的ラップを実現
アロンソ、0.019mph及ばすバンプアウトの憂き目に
アロンソをバンプ・アウトすることに成功し、カイザーのクルーは湧きかえる Photo:INDYCAR (Chris |
アロンソの予選落ちはあまりにも衝撃的で、シモン・パジェノーのインディ500での初ポールポジション=チーム・ペンスキーにとっての18回目のPPはちょっと印象が薄れてしまった。
「昨日も今日も、僕らはあとひとつ順位が足りなかった」
ラストアタッカー、カイザーの走行の様子を凝視するアロンゾ Photo:INDYCAR (John Cote) クリックして拡大 |
「決勝に出場できないとわかり、それからは友達や家族と話し、リラックスし始めていた。昨日の朝から、本当に長い、56時間近い予選となっていたので……。昨日も今日も、僕らはあとひとつ順位が足りなかった。昨日は30位じゃなく31位で、今日は33位じゃなくて、34位だった。どちらもほんの小さな差で……。残念だが、僕らはスピードが不足していた」
「ガッカリしている。来週の日曜にレースに出場していたかった。自分たちはレースに出場するため、挑戦をするためににここに来た。しかし、僕らには十分な速さがなかった。決勝進出を決めた全員を讃えたい。彼らは僕らより良い仕事をした。日曜のレースが素晴らしいものになること、みんなが安全であることを願う。僕は残念だがテレビで楽しむことにする」
トリプルクラウン達成はこれからも僕の目標
テレビで見るより、ここに来てまたインディー500にトライしたい
会見に臨んだアロンソ Photo:INDYCAR (James Black) クリックして拡大 |
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「我々は十分な速さを手に入れることができなかった。それは幾つかの要素のコンビネーションによってだったと思う。僕らが速くなかったのは、何も今日だけではなかった。走り出してからずっとスピード不足だった。我々は苦しんでいた。予選は4周の連続走行だが、完全にアクセルはフラットアウト。ドライビングが大変ということはない。アクセルを戻さない限り、スピードを決めるのは走るタイミング、1日のうちのどんなコンディションの時に走るかで決まってしまう。昨日の我々は、何度もアタックした。異なる時間帯に走った。マシンが良ければ、自分たちは決勝出場を果たせていたはずだ。しかし、それを我々は実現できなかった。全力で頑張ったけれど。私はベストを尽くしたけれどダメだった。全部のアタックがそうだった。オーヴァーステアのマシンでもアクセルを戻さなかった。アンダーステアのマシンでもリフトしなかった。リヤ・タイヤがパンクした状態で走った時は、最終ラップでコーナーを曲がり切れなさそうになったのでアクセルを戻したが……。今日の我々は昨晩に施した新しいセッティングで予選に臨んだ。マシンの全てを変更した。レースに向けた精神面のために、何か違うものを試す必要があった。少しの自信を手に入れる必要があった。昨日と今日はまだ予選だけれど、レースに向けてのマシン作りも正しくなかったとも考えられたからだった。そんな状況だったので、アタックに出て行ったマシンが計測1周目のターン1でどんな挙動を示すのかの見当もついていなかった。それでも全開で行った。僕らはトライをしていた」
今回はみんなガッカリしているが
次にはもっといい仕事をすべく、また頑張るだろう
「どんな経験でも、そこから学ぶことはできるし、次回のための進歩に役立てることができる。それはインディー500に限らず、レーシングドライバーとしての、次なるチャレンジができなかった。速さが足りなかった。それは単純明快だ。他の人たちがより優れた仕事をした。彼らを讃える。しかし同時に、マクラーレンはモータースポーツの世界で唯一、インディー500で勝ち、ル・マン24時間で勝ち、F1のチャンピオンシップでも勝ったチームだ。トライすることでしか、それらは達成できない。ひとつのシリーズに出場し続け、集中すれば成功できるかもしれない。しかし、それでは小さな世界にとどまっているだけだ。こうしてインディにやって来て、トライをしたことは評価に値すると思う。今回はみんなガッカリしているが、次にはもっといい仕事をすべく、また頑張るだろう。またここに来たい。それが3回、4回となっても、昨年のように家にいるよりはマシだ」
新しい予選フォーマットは楽しかった
インディ―500優勝へのチャレンジは、これからも続くとアロンソは明言 Photo:INDYCAR (Shawn Gritzmacher) クリックして拡大 |
「新しい予選フォーマットは、楽しかった。良いものになっていた。僕らにとっては良くなかったかもしれないが、ファンにとって良かったと思う。テレビにも良かっただろう。こうやって6人によるドラマを見せることができたのだから。ファスト9のような戦いは、他のレースでも見る。10~30位を1日目で決めてしまうのもいいと思う。そして予選2日目は、短いが非常に大きなストレスがチームやドライバーにかかっていた。それが良いショーになっていた。昨日も私は予選を楽しんでいた。タイヤがある限り、多くの予選アタックができるシステムだからだ。予選には列がふたつあり、最後の瞬間に行くべきか、自らのスピードを放棄すべきか……といった判断が迫られる。今年このフォーマットを初めて体験し、とても良いと思った」。
アロンソの決勝進出が阻まれた理由のひとつと考えることもできる予選フォーマットを、アロンソは”良かった”、”楽しかった”とフェアに評価していた。来年、3度目の挑戦がなることを期待したい。それはマクラーレンが体制を更に強化して実現するのか、既存のチームに加わる2017年のケースに近いものになるかはわからないが……。
以上
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