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スピードも上がって行ったので非常にポジティヴに捉えてました
――120周を走りました。予定通りプログラムが進んでいる感じですか?
佐藤琢磨:タイヤの使用セット数が今日は3セットと決まってました。1セットで40周ぐらいしてましたね。1セットでは45周も走った。1スティントが30周ぐらいなのに。それが良いとは思わないけど、色々なことを勉強するために、それぐらいの周回が必要でした。4セット目は使いたくないっていうチームの方針があったので。明日は5セット、明後日は6セットを下ろすつもりだから。
昨日のものをベースにしたセッティングは、今日のプラクティスで良くなっていたし、今日作り上げて行ったマシンは結構満足が行っていたんですよね。午後の真ん中ぐらいまでクルマを作って行って、やる方向性がすごく定まって来ていたので、自分としてもフィーリングも良かったし、それに合わせてスピードも上がって行ったから、非常にポジティヴに捉えてました。
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――それが終盤に、何か変わっちゃったんですか??
佐藤琢磨:びっくりした。ニュー・タイヤを履いて集団に入ったら全然違う動きで、すごい苦労しましたね。だから、ロング・ランをやるつもりだったんだど、グレアムも僕も途中でやめて両方ピットに帰って来て、フロント・ウィングを足して出てって、もう1回帰って来て、もう1回足して、それでも足りなくてフロント・ウィング・エクステンションをつけました。そうすると、もうフロントウィングの傾角が物すごく高くなっちゃってて、クルマがバランスを崩してた。最後は40周近く走ったタイヤで、さらに燃料を入れたので、あまりにも非現実的なコンディションではない中でフロント・ウィングをつけてたから、あんまりマシンを評価するためにフェアじゃないかな? スプリング・パッケージもちょっと変えて、クルマを特にコーナー出口でシッカリとターンを続けられるようなクルマ作りを今してるんですけど、それをやると当然、スタビリティとは反対方向の話なので、クルマがスピンしようとするわけでしょ? だから非常に恐ろしくて、乗りづらくて、やめました。
ペンスキーの仕上がりはやはりいい
ウイングの角度が1度ぐらい違っている
――ユーズドのタイヤでうまく進んでいたセッティングが、フレッシュ・タイヤにすると全然ダメになるっていうのは、よく起こることなんですか?
佐藤琢磨:ダメっていうわけじゃないんですよ。ダメじゃなくて、ニュー・タイヤにすると前後両方のグリップが上がるので、ゲインが大きいので、相対的にはクルマが軽くなるようなもんじゃないですか。支える力が強くなるのでね。だからフィーリングは良いんですけど、問題はトラフィックの中で、昨日ぐらいまでは、まだ結構スピード差があったのと、みんなもそんなに速度を最後の数パーセントまで詰めてなかったから、割とまだ大集団にはなってなく、バラけてたし、速度差もあったから抜けたんですけど、今日はみんなが行くところまでいっちゃってるので全体のペースが上がって来て、15台〜20台が一緒に走ることで作り出される、あの風……洗濯機の中みたいになるんですけど……ダウンフォースがないんですよ。で、曲がらないだけじゃなくて、リヤもないまま滑ってっちゃってました。それがニュー・タイヤにして、ウィングで抑えつける力が相対的に小さくなる。そうすると、当然タイヤの接地面積を見ればわかる通り、リヤが地面にボーンッとくっついて、フロントのグリップが足りなくなるわけですよ。だからメカニカル・バランスだけで曲がるようなクルマにすればいいんだけど、極論は。でも、そうはならないわけで、重量配分を見ても、タイヤ・サイズを見ても。そうすると、トラフィックに入った、ニュー・タイヤでペースの上がった時のクルマの動きっていのは非常に難しい。今日の僕らのマシンの動きはとても嫌なものでした。うまく行ってなかったです。多分、みんなが抱えているジレンマだと思います。チーム・ペンスキーでさえも同じだと思いますよ。でも、彼らの仕上がりはやっぱり良いですよ。ウィングの角度が1度ぐらい違ってますね。僕らより1度立っている。それで同じ速度を出していると見えている。シモン・パジェノーなんてガーニー・フラップ着けているものね。ウチはガーニー着けたら後ろ行っちゃうよ(笑)。
まだクルマづくりでは満足が行くところまでいっていない
――2日目を終えての満足度は?
佐藤琢磨:クルマ作りの面では、まだまだ満足の行くところまでは行ってません。大分良いところまで来てはいますけどね。去年に比べたら全然良いと思いますけど、やっぱり全体的なレヴェルも、クルマの理解度も2年の”500”ということで非常に全然上がってコンペティティヴになっているので、結局変わらないですね、速いところは速いというのは。
――オーヴァーテイクのチャンスは新エアロで上がるという予測でしたが、抜きにくさは去年とあまり変わらない?
佐藤琢磨:変わらず抜きづらいね。結局ペースが上がっちゃってるので。だから1台、2台でやっているときは、去年より追いかけられるし、抜ける回数が増えている気がするんだけど、大集団に入ったときは1列の棒状になっちゃって、前の3台、4台だけですね、抜ける状況にあるのは。100歩譲って、5台目ぐらいまではいいかな?
それより後ろっていうのは、もう生きた心地がしない。予選で前にいることが重要ってことだよね。
――今日はストレートで10台以上が連なるシーンが何度も見られましたが、そういう時に後ろ半分にいると、かなりドライビングは大変。
佐藤琢磨:すごいよ、ギヤがなくなっちゃうもん。7速が欲しい。でも、そんな速い速度で1コーナーには入りたくないから。もう怖いよ、エンジンも回り切っちゃうし。集団にいると、コクピットが静かになるし、暑い、クルマの中が、風が入って来なくて。それが、集団のリードしていると逆に寒い。後ろに行くと、空気自体も熱いし、空気が入って来なくなる。空気全体が200mphで移動してるようなもんだから。200mphは言い過ぎだけど、多分、70〜80mphでは流れていると思う。あれが一緒に移動しちゃってるんで、スワールだね。
明日は予選トリムをやりながら
トラフィックの中で安定したクルマづくりを続けていきます
――明日のテーマは何でしょう?
佐藤琢磨:明日は予選をイメージしてやります。”もう決勝用は終わりなの?”って感じだけど、もっとグループ・ランをちゃんとやった方がいいと思う。もちろん、やりますけどね。予選シミュレーションで単独で走る機会が明日は多くなると思います。それで、そのシミュレーションで使ったタイヤはロング・ランとかで使うので。
――インディ500は10年目ですが、今年の走行2日目は他と比べてどうでしょうか?
佐藤琢磨:去年よりは格段にいい。フォイトの時と比べてもいい。でも、2017年の時とは程遠い。
――あの年は”完成形”に乗ったような感じだった。
佐藤琢磨:そう。もう毎日、わかりつつもバック・トゥ・バックしながら、ちょっとした微調整を繰り返していました。
――今、そういう状況にあるチームってあるように見えていますか? ペンスキーとか??
佐藤琢磨:そうですね。
――意外やアンドレッティ・オートスポートは苦しんでいる風に見えますが?
佐藤琢磨:はい。今日彼らと走るチャンスがあまりなかったけど、昨日ロッシと走った時には彼の方が良さそうだった。(スコット・)ディクソンがあとは速い。でも今日、フェリックス(・ローセンクヴィスト)は当たっちゃったか。
――明日は予選シミュレーションをやりつつ、レース用セッティングも……ということですね?
佐藤琢磨:はい。結局、ファスト・フライデイになってターボのブーストが上がらないと最終的なクルマ作りっていうのはできないので。だから、明日はその4周を通じて安定して走れるような、ある程度ベースとなるセット・アップを見つけないといけません。半分は予選トリムをやりながら、引き続きトラフィックの中でいいクルマを作ることを目指して頑張ります。
Jack Amano
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