マシンの仕上がりに自信を見せるパジェノー。ペンスキーのインディー500での50周年を飾ることはできるのだろうか? Photo:Naoki Shigenobu クリックして拡大 |
自信を取り戻したパジェノー
インディー500での初ポール・ポジションを獲得したシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)。フランス出身で現在35歳の彼は、ザ・グレイテスト・スペクタクル・イン・レーシングへの出場は今年が9回目だ。
2018年に導入されたユニヴァーサル・エアロ・キットをマスターするのに時間がかかったパジェノー。しかし、フェニックス、インディ、テキサスでは予選2位に入り、アイオワ、ポコノ、ゲイトウェイでも予選4、5、6位と、オーヴァルでの戦闘力は決して低くなかった。インディで6位、テキサスで2位など、レースにおいてもオーヴァルでは上位フィニッシュを記録していた。
今シーズンは開幕からストリート/ロードコースでの5戦続くスケジュールだが、パジェノーは最初の4戦で3回トップ10フィニッシュ。そして、決勝が雨になった第5戦インディーカー・グラン・プリで2017年の最終戦以来となる優勝を飾った。まだ予選での速さは2、3年前のものに届いていないが、ウェット・コンディションで圧倒的な速さを発揮しての優勝でパジェノーは失っていた自信を取り戻した。
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予選初日、3番手のタイムをマーク
「マシンのバランスは最高だった!」
インディーカーGPとインディー500ではレースのキャラクターがまったく違う。それでも、久しぶりの勝利がパジェノーの精神面に与えたプラス効果は大きく、スーパースピードウェイでの走行も気分良くスタート。初日にチームメイトのウィル・パワーに次ぐ2番手のスピードをマークし、レース・ブーストでの走行3日間を終えてのノー・トウ・ランキングは3番手。そして、ファスト・フライデイの予選ブーストでもノー・トウ5番手と悪くない位置に付けていた。
パジェノーは予選1日目、ウォーム・アップ・ラップからアグレッシヴに行った。221.781mphは暫定PPを獲得したスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)次ぐ2番目の速さ。1周目は230.521mphで先に走ったパワーの1周目より速かったが、2ラップ目が229mph台にダウン。この日の順位は3位となった。
「風が強まっていた。トリッキーなコンディションで、アドレナリンが出まくり、心拍数も上がっていた。アタック中、自分は思い切り集中ができていた。バック・ストレッチでの追い風でスピードを稼ぐことができなかったが、マシンのバランスは最高だった」と走行直後に彼は話した。「僕らのマシンにはPP獲得の実力があったと思う。明日が雨でアタックのチャンスが与えられなくなったら悔しい」
ファスト9では3ラップ目まで230mphでカーペンターを逆転
チームの総帥、ロジャー・パンスキーにPP獲得を報告、祝福を受けるパジェノー Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大 |
チームメイトであり、永遠のライヴァルでもあるパワーは4ラップとも228mph台しか出せず、予選6位に。そして、最後のアタッカーとして走ったピゴットは230mph台を1周目にしか出せず3位に。パジェノーのPPが決まった。
「マシンを把握するためにウォーム・アップを早く走るか
タイヤのために抑えるべきか…」
ファスト9にはペンスキー勢が3人含まれていたが、3人のスピードには大きな開きがあった。「僕らのマシン・セッティングは似ている。全員が全員の情報を完全にシェアしている。隠し事は一切ない。自分たちがセッティングをどう変えるか、それはチームメイトたち全員が知ることになる。ファスト9の予選に臨むに際しては、3人それぞれがコンディションに合うと思われるものへとセッティングの微調整を行った。それが数字の違いに現れた。僕のエンジニアが最高のマシンにしてくれた」
インディー500でのパフォーマンスも徐々に向上
「今年のマシンの競争力は、2016年よりずっと高い」
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パジェノーは一歩一歩、確実に実力を伸ばし、成績を残して来た。インディー500でも年々スピードとパフォーマンスを高めて来ている。2回目の出場で8位に入った彼は、3回目には予選で5位に食い込み、4回目はついに予選でトップ3入りしてフロント・ロウからのスタートを切った。そして昨年、彼は予選、決勝ともに自己ベストとなる2位/6位を記録した。今年は初優勝の大きなチャンスだ。
「レース・デイは暑くなった方がいい。そうなればマシンの完成度の高さがスピードの違いに現れることになる。2016年の僕らのマシンはとても速かったが、今年のマシンの競争力は、あの時よりずっと高いと自負している」とパジェノーは目を輝かせた。
気になるファイナル・プラクティスでのスピード
レース前最後の走行となるカーブ・デイ、日差しが強く、今年最も高温のコンディションでパジェノーのスピード・ランキングは22番手だった。こなした周回数が33エントリーの中での平均的な数字の64ラップだった割に、順位が良くなかった。大きなトウを偶然得なかっただけかもしれないが、パジェノーの222.856mpはトップだったトニー・カナーン(AJ・フォイト・エンタープライゼス)より2.6mphも遅った。
1時間半の予定が、朝の雨によって13分間短くされたファイナル・プラクティス。この時間を使い、各チームはエアロ・セッティングを何パターンか試していた。決勝日も暑くなるとの予報で、この日のコンディションは今年最もレースに近いものとなると考えられ、ベストと思われるダウンフォース・レヴェルを見つけ出そうとしていた。走行を終えてガレージに戻るマシンをチェックすると、フロント・ウィングのエクステンションを付けていたものと付けていないものがあり、エクステンションの上、あるいは横にウィッカー(こちらにも大・小のサイズ・ヴァリエーションがある)を装着していたところもあった。リヤ・ウィングも角度はチーム毎に違うはずで、上面にボルト・オンできるウィッカーはセンターにひとつ装着、センターにふたつ並べて装着、装着なしというパターンが見られた。
チーム・ペンスキーは4台で異なるエアロ・パッケージをトライした結果、パワーが10番手、カストロネヴェスが12番手、ニューガーデンが13番手と全員目立たないスピードだった。ちなみに、去年のインディで逃げ切り優勝したパワーは、ファイナル・プラクティスでスピードが7番手だった。パジェノーはチーム・ペンスキーのインディ500での50周年を祝うウィナーとなれるだろうか?
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