2018年7月21日土曜日

2018 INDYCAR ニュース 7月21日:ラグナ・セカ復活、モーリス・ナン他界

Photo:INDYCAR
かつてのエンサインの総帥、インディーカーでは
高木虎之介も走らせたモー・ナン逝く

 訃報から。名エンジニアだったモーリス・ナンが79歳で亡くなった。アリゾナ州トゥーソンの自宅で。彼はパーキンソン病を患っていた。
 イギリス出身の彼は自らレーサーとして活躍した後、F1チーム=エンサインを興し、マシンのデザインまで行った。
 F1チームを閉じてアメリカに渡ると、今度はエンジニアとして活躍。エマーソン・フィッティパルディとインディ500で優勝(パトリック・レーシング)し、アレックス・ザナルディとファン・パブロ・モントーヤ(チップ・ガナッシ・レーシング)をチャンピオンの座に就けた。2000年にはインディーカーチームを発足、2003年に唯一となる勝利をアレックス・バロンとミシガンで記録した。その年には高木虎之介も走らせていた。2004年でチーム活動停止。その後はアメリカでのんびりと暮らしていた。エンジニアリングやレースに対する深い知識と豊富な経験、ファイティング・スピリット、そして陽気さやユーモアも備えた人物だった。冥福を祈る。

2018年7月16日月曜日

2018 INDYCARレポート R12 ホンダ・インディー・トロント Race Day 決勝:トロントは予選2位からポイント・リーダーのスコット・ディクソンが優勝

タイヤかすで滑りやすいコンディションを制し、ディクソンがキャリア通算44勝となる今シーズン3勝目を挙げる。これでポイントスタンディングでも2位との差をさらに29ポイント広げる結果となった Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
ニューガーデン、33周目リスタートでまさかのクラッシュ!

 昨日の予選の戦いぶりは見事だったが、今日のジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は”らしくない”ミスでポイントを稼ぎ損ねた。まだレース序盤の33周目に切られたリスタートで、彼は最終コーナーで僅かにラインが膨らんだためにタイヤかすを拾い、壁にぶつかってしまった。
 

フロント・ロウ2台による序盤のトップ争い Photo:INDYCAR (James Black) クリックして拡大
 「正直、なんで壁にヒットしてしまったのかわからない。タイヤかすとか埃に乗ってしまったんだと思う。イエロー中にコース清掃がされていたが、すでにかなりのタイヤかすが出ていた。まっすぐ壁にぶつかってしまった。その原因の一部は僕にある。ミスを冒したということだ。しかし、あんな状況に陥るとは予期していなかった。グリップが低いのは理解していたが、ゼロ・グリップになるとは考えていなかった。フロントが完全に流れた。優勝か、悪くとも3位フィニッシュができるマシンだったと思う。レースにはこういう日もある。今後のレースでポイントを取り戻さないと。まだまだ最終戦までの道のりは長い」とニューガーデンは話した。

2018 INDYCARレポート R12 ホンダ・インディー・トロント Race Day プラクティス・ファイナル:プラクティス・ファイナル最速はスコット・ディクソン

ファイナル・プラクティスに向かう佐藤琢磨。新しく試したセッティングは必ずしも良くなかったが、それでも8番手につけた Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
ディクソン、今週末3回目のトップタイム
 快晴。気温が26℃、路面が同45~47℃というコンディションとなったプラクティス・ファイナル。昨日の予選で2位だったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が59秒1394の最速ラップをマークした。その時の装着タイヤはブラック。彼は金曜のプラクティス1、2に続き今週末3回目のセッション最速となった。

2018年7月15日日曜日

2018 INDYCAR佐藤琢磨コメント R12 ホンダ・インディトロント Day2 予選:「7位はいいと思います。ただ、悔しいだけです。レ―スのことを考えれば、悪くはない。明日を見ててくれ、ですね」

思わぬQ2敗退となった琢磨。ブラックタイヤのセッティングがよすぎるが故の陥穽にはまったのか…… Photo:INDYCAR (Matt Fraver) クリックして拡大
「デトロイトの件があるので、雨はもう嫌になっちゃってたんです」

Jack Amano(以下――)まさかの雨が予選前に降って来ました。

佐藤琢磨:あれは想定外でしたね。

――セッティング変更をすべきか……と悩む事態が起こったのですか?

佐藤琢磨:はい。やっぱり厄年ですね。デトロイトの件(Q1グル―プ2で10位)があったので、もう雨は嫌になっちゃってたんですよ。

――でもQ1はウェットでも快調だったじゃないですか。

佐藤琢磨:それは僕ですから……みたいな(笑)。でも本当に、まずウェット・タイヤで行って、すぐ1周でやめましたね。レッドになると困るので1周走ってタイムを出して、P1でピットに入った。で、すぐにドライ・タイヤ(レッド)にスイッチして走り出しましたね。

2018 INDYCARレポート R12 ホンダ・インディー・トロント Day2 予選:ジョセフ・ニューガーデンがPP! スコット・ディクソンが予選2位

コンディションの変化に見事に対応したニューガーデンがポール・ポジション獲得。ペンスキーのタイヤマネジメントはやはりすごかった Photo:INDYCAR (James Black) クリックして拡大
ニューガーデン、今シーズン4回目のポール・ポジション

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が昨日話していた通り、チーム・ペンスキーはユーズド・レッド・タイヤでのパフォーマンスが優れている。そしてジョセフ・ニューガーデンというドライバーは、持てる力を出すべきタイミングでキッチリ出し切る能力を備えている。ペンスキー入り初年度にチャンピオンになれたのも、その力があってのことだった。
 今日はアタックを行うタイミングの取り方が結果的に最高のものとなった。そこには天候という要素が大いに絡んでいたのだから、多分にラッキーでもあったとも考えられなくもないが、結局は彼らの読みと、任務遂行力がライバルたちに勝り、トロントのポール・ポジション獲得を果たした。今シーズン早くも4回目のPP。このペースでPPを重ねて行くと、現在歴代3位のウィル・パワーのPP獲得回数を上回ることも可能になる。

2018 INDYCAR レポート R12 ホンダ・インディー・トロント Day2 プラクティス3:佐藤琢磨、予選直前のプラクティス3でトップ・タイムをマーク!

ターン1にアプローチする佐藤琢磨。ブラックタイヤでのセッティングが素晴らしく、58秒6777でこのセッションのトップに Photo:INDYCAR (Matt Fraver) クリックして拡大
佐藤琢磨、パジェノーの持つラップ・レコードを更新!
 
 昨日のプラクティス1で4番手(1分00秒0050)、プラクティス2で2番手(59秒5117)だった佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が、予選を直前に控えたプラクティス3で58秒6777をマークしセッション最速となった。レッド・タイヤ装着でのプラクティス2でも59秒を切るラップは出なかったが、気温が26℃、路面温度が昨日の午前中のプラクティス1より5℃、プラクティス2との比べて10℃も低いコンディションもあって、現レイアウトになってからのコース・レコード=2017年のシモン・パジェノーによる58秒9124を上回るラップを琢磨は記録した。0.0973秒という小さな差ではあったが、久々のセッション・トップに琢磨はなった。
「アレクサンダー・ロッシが58秒台を出した時には異次元の世界だと思ったけれど、自分も58秒台を出せた。路面も良くなったし、マシンも良くできたから」と琢磨は話した。その表情は自信に溢れていた。

2018 INDYCAR 佐藤琢磨コメント R12 ホンダ・インディー・トロント Day1 プラクティス2:「レッド・タイヤにしてペースを思うように上げられなかったのが、懸念事項。それほどブラックでのセッティングがよかったです」

「自分たちの思い描いてた方向に持って行けたことがうれしい」

――プラクティス2はセッション2番手でした。どうですか?

佐藤琢磨:気持ちいいね。ちゃんと自分たちの思い描いていた方向に持って行けたという方が、ラップ・タイムや順位よりも嬉しいですね。最終的にはセッション2位だったけど、2位から6位は差がないようなものだったから。

――本当にすごい僅差になっていました。

佐藤琢磨:自分たちとしては、レッド・タイヤにしてペースを思うように上げられなかったのが、ちょっと懸念事項ですね。やっぱりディクソンはそこが強かった。彼はさっき、ブラック・タイヤではうまくまとめられなかったって言ってた。もともとポテンシャルとしては向こうの方があったのかな……と。自分たちはある意味、すごくまとまっていたので、そこは良かったし、2セッションを走ったけど、週末のここまでを通して見ると順調だと言えると思います。