1週間前にインディーカーを初ドライブ。堂々予選ファスト6進出を果たしたパト・オーワード。衝撃のインディーカーデビュー Photo:INDYCAR (Stephen King) クリックして拡大 |
ソノマの公式プラクティスが始まると、1回目はトップから1.6秒遅れの最下位24位だったパト。しかし、2回目はレッド・タイヤ装着でトップと0.9秒差の3番手につけた。テストでも、この週末でもコース・オフを何度か経験して来たパトだが、インディーカーのパワー、ハイ・グリップのファイアストン・タイヤを急速にマスターして行っている。「レッドで初めて走った時、ブラックより断然気に入った。いいタイムも出せた。だから今週末を迎えるまではファスト6に自分が進めるなんて思ってなかったけれど、”トップ10を争えるかも!”と考えることができた」と彼は振り返った。
予選ファスト6で5位に入り、チームオーナーのマイク・ハーディングと喜び合うオーワード Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大 |
鮮やかな予選ファスト6進出
土曜日のプラクティス3では21番手と、ブラック・タイヤでのパフォーマンスに苦しんでいるようにも見えていたパトだが、予選が始まるとQ1のグループ2で1分18秒4535をマークし、トップに立った。セッションの最初からレッドで走り、2セットを投入してQ1通過を目指すドライバーもいる中、パトはベテランたちと同様にブラックで走り出し、結果的にQ2進出を果たせるだけの見事なラップ・タイムを記録。レッドに履き替えると1分18秒1765までラップ・タイムを縮め、Q1を5番手で悠々とクリアした。今回は、彼の走ったグループ2の方が強豪は少なかった。しかし、パトはラッキーなだけではなかった。Q2では1分17秒5585の自己ベストをマークし、ウィル・パワーとシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)、佐藤琢磨とグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、セバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)は敗退したというのに、パトはファイナルへと進んだ。
実力だけではないモノも備えたオーワード
Q1をクリアも容易ではない御時世に、19歳が、しかもデビュー戦でファイアストン・ファスト6で戦った。これは事件だ。ハータのデビュー戦での予選結果は、19位とルーキーらしいものとなった。
昨シーズンからハーディングで走って来たギャビー・シャヴェス、今年何戦かで起用されたコナー・デイリー、彼らは確かに成績を残せなかった。しかし、パトの場合はアンドレッティ・オートスポートのエンジニアリングにサポートされてのもの。レースの世界では才能と同じぐらいにタイミングも重要。これまでのところ、パトにはそれが備わっているように見える。
「明日トップグループと同じペースで走れたらトップ5
前に何か起きれば表彰台の可能性もある」
Photo:INDYCAR (Richard Dowdy) クリックして拡大 |
「インディーカーのタイヤのデグラデーションはとても激しい。特にレッドがすごい」とパトは予選後に話した。ユーズド・レッドでの戦いとなるQ3、彼はブラックで走ったアレクサンダー・ロッシしか上回れなかった。「リヤのグリップが先になくなる。最初の7周ぐらいは大丈夫だけれど、その後のグリップの落ち込みが急激。このコースがそういうキャラクターで、タイヤの磨耗が激しいということらしい」。こう話したパトだが、予選結果は100満点以上。次はレースだ。
「僕にとっては未体験の世界。そして、それは誰もが通過しなければならないもの。とても楽しみだ。ミスも冒すだろうけれど、それによるダメージを最小限に食い止めるよう頑張る」とパトは殊勝に話した。彼はその後、「明日、もしトップ・グループと同ペース走れたら、トップ5でゴールできる可能性は高く、前で何かが起これば表彰台に上ることだって考えられる。そうなったら嬉しいね」と楽観的なのか、自信家なのか……というコメントもしていた。
フルコース・コーションがどれだけ出るかはわからないが、85周のレースは体力的にかなり厳しい。タービュランス、ピット・スピード制限、ピット・ストップ、リスタート、コールド・タイヤ、燃料セーブ……と実戦で経験し、身につけるべき要素はたくさんある。それらをどこまで上手くこなせるか。
「自分のレースをして、同時にコンペティター全員に
敬意を払った戦いをするつもりだ」
「新しい経験なのはわかっている。最大のチャレンジは体力面。グリップが高いインディーカーはコーナーへの進入速度がインディー・ライツよりずっと速い。インディーカーの空力パッケージとタイヤによるものだ。その次に大変なのがカーボン・ブレーキ。インディー・ライツはスチール・ブレーキ。インディーカーのストッピング・パワーはすごい。首がキツイ。ソノマは一番首に過酷な部類に入ると聞いている。とにかくレースの序盤は冷静さを保ち、リラックスすることが先ずは重要だと考えている。とても長いレースだから、色々なことが起こるはず。ロッシとディクソンの間に挟まれるのは避けたい。ロッシに僕をパスさせたくもないけれど……。もちろん、彼らのレースを台無しにする可能性があることはわかっている。彼ら2人のタイトルを賭けたバトルを優先させる。良いレース、クリーンなレースをしたい。それができたら自分としてはとてもハッピーだ。経験豊富なドライバーたちとレースができる成熟ぶりを見せることが重要だなので。これまでのキャリアでも僕が務めて来たように、自分のレースをして、同時にコンペティター全員に対しては敬意を払った戦いをするつもりだ」。
19歳とは思えないコメントぶり。今日のレース、そして来シーズンの戦いぶりが楽しみだ。政治的トラブルに揉まれそうな気配のチーム体制ではあるものの(別項参照)、それもまたトップ・カテゴリーのドライバーたちは避けて通れない。
以上
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