シーズン3勝目を挙げたパワー。今回の勝利でポイントランキング3位に浮上、逆転タイトルも射程圏内に Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大 |
ポイント4番手のウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が今シーズン3勝目を挙げてチャンピオン争いに踏み止まった。レース前に81点あったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)との差が68点に縮まった。
ポイント2番手のアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)は、ゴールを前に作戦を燃費セーブに切り替え、ポジションを落として行った。しかし、前方を走るマシンが次々ピットに向かって順位を挽回し、トップに躍り出た。燃料補給したパワーにはパスされたが、ディクソンは封じ込めて2位でゴール。ポイント・リーダーとの差は29点から26点に縮まった。
最終スティントで燃費走行のロッシを猛追したが届かず、ディクソンは悔しい3位に Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大 |
戦略が定まりきならなったディクソン
1.5秒ロッシに届かず
予選がなく、ポイントスタンディングでグリッドが決定されたことでポール・ポジションからスタートする幸運に恵まれたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、トップを延々走って最多リード・ラップのボーナスを手に入れた。そこまでは実に順調だった。ところが、そのままスピードで押し切る作戦を保持することを躊躇し、燃費セーブで1回ピット・ストップを減らす作戦にも色気を出して優勝のチャンス、そして2位フィニッシュを逃した。3位で表彰台は普通のドライヴァー、チームには嬉しいものだろうが、ディクソンとチップ・ガナッシ・レーシングにとっては喜べるものではない。特に、トップからのスタートで二つ順位を落としてのゴール……という点を大いに悔しがっていることだろう。
久々のパワー&ペンスキーらしい勝利
「僕らのマシンは吸い付くように走っていた」
ローダウンフォースの新エアロキットで走るオーバルレースは、オーバーテイクの少ない展開となりがちで、今日もそういうレースになっていた。しかし、作戦に違いが生じたことでポジションの入れ替わりが頻繁に見られる戦いになった。最後は燃料の心配なしで全開走行するディクソンが、燃費セーブでペースを上げられないロッシを猛追。しかし1.5秒届かなかった。
作戦も、マシンの仕上がりもナンバー・ワン。今日のチーム・ペンスキー、そしてパワーの勝ちっぷりは、久しぶりに彼ららしいものとなっていた。「ディクソンを追いかけた序盤、自分の方がマシンの仕上がりは良いとわかった」とパワーは話した。大きな満足感を得られたのは、「昨晩のプラクティスで我々は速くなかった。エンジニアと話し合い、セッティングを変更した。スプリングは前後とも交換し、アライメントはトウもキャンバーも変更。空力もいじった。今日の路面はとてもグリップが高く、僕らのマシンは吸い付くように走っていた。特にターン3、4のスピードが驚くべき速さにできていた」という事情があったからだ。
オーヴァーテイクの難しい戦いとなったインディアナポリス500でも勝利した彼は、新エアロキットの信望者だ。「今年のマシン・パッケージの良さはダウンフォースを削り取ったところにある。そのおかげでマシン間に差が生まれている。ダウンフォースが大きかった時代は、誰にでも同じスピードが出せていた。マシンのハンドリングの違いを隠してしまっていた。グリップを減らしたことにより、速く走れるセッティングを見つけられるのは数人になり、苦労するチームも出るようになっている」とパワーは説明した。
ディクソンとロッシとポイント差は26
パワーも逆転タイトルに虎視眈眈
しかし、今日のレースでのオーバーテイクは、セッティングの優劣よりも作戦の違いによって量産されたものだった。燃費セーブを強く意識している者と、まったく気にしないでいい状況のドライバーとではスピードが決定的に違って当然だ。
残る2戦はいずれもロードコース。ディクソンが逃げ切りで5度目のチャンピオンとなるのか。ロッシが爆発力を発揮して初タイトルへと突っ走るのか。ギリギリでタイトル争いに生き残ったパワーが2度目の栄冠を勝ち取るのか。次戦は西海岸へと舞台を移し、休みなしでこの週末にレースが開催される。
レース後にパワーは目を輝かせていた。「逆転タイトルの可能性は十分だ。実は、今年のインディーカーGPを僕は、今と同じぐらいのトップとの差で迎えた。グランプリはシングル・ポイント、500はダブルポイント。そのレースで勝し、僕は2点差でトップに立っていたんだ」。パワーは2連勝での逆転タイトルに照準を合わせている。
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