2018年7月9日月曜日

2018 INDYCARレポート R11 アイオワ・コーン300 アット・アイオワ・スピードウェイ Race Day 決勝:アイオワでジェイムズ・ヒンチクリフが今季初優勝 佐藤琢磨が3位で今シーズン初表彰台

レース終盤に圧倒的な速さを見せたヒンチクリフは、256周目にコース上でニューガーデンをオーバーテイク! インディー500予選落ちの屈辱を晴らす勝利だ Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
ヒンチクリフ、予選11位から5年ぶりのアイオワ制覇
ピゴットは予選18位から3位表彰台に!


 今年で12回目の開催となったアイオワ・コーン300(最初は7回はアイオワ・コーン250)では、予選11位だったジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が優勝した。今シーズン初、キャリア6勝目、アイオワでの2勝目(2013年に優勝)を挙げた。



「レース序盤から、クルマが速く、どんどんオーバーテイクできると気づいた」と語ったピゴット。「レースが進むにつれ、マシンはどんどん強くなった。表彰台に上がれたことは本当にすごい」と語る Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
 アイオワ・コーン300の2位は、予選18位だったスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)。これまでのキャリア・ベスト・リザルトは2016年ミッド・オハイオ・スポーツ・カー・コースでの7位だったが、それを大幅更新する2位フィニッシュでインディーカーでの初めての表彰台登壇を果たした。
 そして、3位でゴールしたのは予選10位だった佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)。今シーズンのベスト・リザルトで、表彰台は2107年のインディアナポリス500で優勝して以来。シーズン後半戦に入ってチームの状態が徐々に上がって来ているようだ。

トータル229周リードラップを重ねたニューガーデン
土壇場で痛恨のピット判断ミス


イエローコーションが2回、コーションラップもトータル16周といずれも過去最少となったアイオワ戦。ユニバーサル・エアロのおかげで、コース上でのオーバーテイクは昨年378回から一気に955回にまで増えたなか、ニューガーデンはトータル256周トップをキープしたものの優勝には届かず Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
  予選でシングル順位だった面々はどうなってしまったのか?
 ポール・シッターだったジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)はスタートからレースをリードしまくり、24周目から実に200周連続でリード・ラップを重ねたが、レース終盤になって最速の存在はヒンチクリフに取って代わられ、300周のレースの256周目にパスされた。その上に、ピットの作戦ミスが重なって上位にフィニッシュを逃した。ゴール直前の294周目、エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)がスピンし、真後ろを走っていた琢磨が接触。カーペンターのフロント・ウィングの一部が吹き飛んでコースに散らばって出されたフル・コース・コーションで、チーム・ペンスキー社長のティム・シンドリックがニューガーデンをピットへと呼び入れた。タイヤを新品に交換しての大逆転を狙ったのだ。今年のフェニックス、2014年のアイオワでは成功した作戦が、今日の場合は残された周回数が少な過ぎた。ニューガーデン、ロバート・ウィッケンズ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)はピットし、ステイアウトしたヒンチクリフがトップを守り、ピゴットは3番手から2番手へ浮上。琢磨は5番手から3番手にポジションを上げた。


ラストスティントで4位争いを演じたウィッケンズと佐藤琢磨。ウィッケンズは279周目にピゴットをパスして3位に浮上した。ところ274周目に出たイエローコーションでニューガーデンとともにピットインを選択し、5位に終わる Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 そして、そのままレースは再開されることなく、ヒンチクリフ、ピゴット、琢磨の順でゴール・ラインを横切った。

3位表彰台の琢磨「自分たちはスティント後半に速く
多くのマシンをオーバーテイクしました」


ライバルより2周遅れて最後のピットストップを終えた琢磨。コース復帰したとき順位を5位まで落としてしまったが、このピットタイミングが最後に功を奏すかたちに Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 「表彰台までを争えるマシンにできるとは考えていませんでしたが、自分たちはファイナル・プラクティスからかなりマシンのセッティングを変更し、それが正しかったことでスティント後半に速く、多くのマシンをオーバーテイクしました。最後のピット・ストップは少しタイミングが遅く、2番手を走っていたのにレースに戻ると5番手でした。あれにはビックリしましたが、まだ周回数はかなり残っていたし、トップ4の差を縮めて行きました。そして最後はすぐ前を走っていたエド・カーペンターのスピン。危なかったけれど、自分は後輪前のタイヤ・ランプの部分が軽く接触しただけで、マシンにはほとんどダメージがなく、リスタートが切られたらピゴットとポジション争いができると確信していました。しかし、レースはそのままゴールになりました。ピットに入ったマシンがあったことで3位でゴール。嬉しい結果です。エンジニアのエディ・ジョーンズたちが素晴らしいマシンを作ってくれたおかげです。今回のようなレースをショート・オーバルで戦えると自信になりますね。この調子でシーズン後半戦も上位フィニッシュを重ねて行きたいですね」と琢磨は喜んでいた。

落胆のニューガーデン「あれだけ速かったマシンを生かせなかった」

 優勝確実から2位に後退し、終わってみれば4位……のニューガーデンは、「これこそがインディーカー・レース。想像できないようなことが起こる。僕らのマシンはレース前半には本当に速かった。しかし、後半に入ってから少しずつスピードを失って行った。レース終盤にマシンをどのような状態にできていれば良いのか、それを見極めるのは難しい。今日の僕らはその部分が足りていなかった。来年また優勝を目指す。今日はヒンチクリフが素晴らしいレースを戦っていた。彼とシュミット・ピーターソン・モータースポーツにおめでとうと言いたい。自分としては勝てなかったのはガッカリだけれどね。あれだけ速かったマシンを生かせなかったんだから」と話した。

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