2018年5月8日火曜日

2018 INDYCARレポート 5月6日:ミッド・オハイオでアキュラ・ペンスキーが初優勝!

プラクティス、予選、そして決勝も全周リードラップという完璧な形でミッド・オハイオを制したチーム・ペンスキー・アキュラ。カストロネヴェス/リッキー・テイラー組が栄えある初優勝 Photo:LAT Images クリックして拡大 
シーズン4戦目にして1-2フィニッシュを達成!

 IMSAウェザーテック・スポーツ・カー・チャンピオンシップ・シリーズに今年から出場しているチーム・ペンスキー・アキュラがデビュー4戦目にして初優勝を1-2フィニッシュで飾った。初ポール・ポジションを第3戦バッバ・バーガー・スポーツ・カー・グランプリ・アット・ロング・ビーチでファン・パブロ・モントーヤが獲得したばかりの彼らだが、第4戦アキュラ・スポーツ・カー・チャレンジ・アット・ミッド・オハイオでエリオ・カストロネヴェス/リッキー・テイラー組が早くも初めての優勝を記録した。


アキュラの7号車と6号車は、ピットのタイミングを違えていたが、2台でレースを完全に制圧。最後は7号車が8秒差でフィニッシュする Photo:Scott R LePage/LAT Images クリックして拡大
レースの全ラップをアキュラの2台がリード
 2時間40分のレースは結果的に125周で争われることとなったが、カストロネヴェス/リッキー・テイラー組は2位に8秒以上の大差をつけてゴール。2位でフィニッシュしたのはファン・パブロ・モントーヤ/デイン・キャメロン組アキュラだった。ミッド・オハイオのレースでトップ争いを演じたのは彼ら2台だけ。全125ラップの87周を7号車、38周を6号車がリードした。
 2台はドライバー交代のタイミングを違えていた。盤の40分ちょっとで7号車はカストロネヴェスからテイラーへとスイッチし、ゴールまでにもう1回あったピットでもテイラーがコクピットに残り続けた。対する6号車は2回目のピット・ストップまでキャメロンが引っ張り、1時間30分ほど走ったところでモントーヤに交代。エリオの44分間に対してテイラーはほぼ2時間と長めのダブル・スティント。キャメロンも2スティント続けて走ったが、こちらはファン・パブロも1時間10分ほどとほぼレースを半々に分けてレースを戦い抜いた。どちらも若手にロング・ドライブを任せているのだ。

ホンダの御膝元に勝利をもたらしたペンスキーの完璧なオペレーション
 

チーム・ペンスキーのピットワークも完璧 Photo:LAT Images クリックして拡大
  ロング・ビーチまでの不運や苦戦が嘘のようで、ミッド・オハイオでの週末はアキュラ・チーム・ペンスキーにとってほぼ完璧なものとなっていた。プラクティスは全部1-2。予選も1、2位独占(エリオ・カストロネヴェスがアタック担当で7号車がPP。デイン・キャメロンのアタックした6号車が予選2位)。そして前述の通りレースは一度も他チームにリード・ラップを記録させずに優勝した。オハイオの中央部といえば、アメリカン・ホンダのメアリーズビル工場など幾つか施設がある。そこに勤める従業員、関係企業の人々が大挙してミッド・オハイオに応援に来ていた。彼らを前にしての初優勝、それを1-2で飾るのだから、さすがはチーム・ペンスキーだ。ミッド・オハイオまで初勝利を敢えて待った……ワケではないと思う。さらにおめでたいことがもうひとつ。この勝利でテイラーがチーム・ペンスキーで優勝を飾った記念すべき50人目のドライバーとなった。

カストロネヴェス、インディー500に向け5月を好発進

 5月といえばインディアナポリス500。今年はスポット参戦となるエリオだが、史上最多タイに並ぶ4勝目に向けて幸先の良い5月のスタートを切った。チーム・ペンスキーが目指すのは17回目のインディ500優勝。彼らとしてもこの勝利で波に乗りたいところだ。そして、インディーカーでは彼らと戦うライバル・メーカーであるホンダ(=アキュラ)もミッド・オハイオでの勝利で5月をスムーズにスタートした。メモリアル・デイ・ウィークエンドに栄冠を手にするのは果たして??

3位表彰台はマツダ・チーム・ヨースト!
次戦はGMの地元ベル・アイルでインディーカーとの併催!!
 なお、ミッド・オハイオで3位フィニッシュしたのはマツダ・チーム・ヨーストのDPiマシン=RT24-P(トゥリスタン・ニュネス/オリヴァー・ジャーヴィス組)。マツダの表彰台はこれで今年2回目だ。開幕からの4戦で2勝しているアクション・エクスプレス・レーシングのキャディラック5号車は今回は4位。昨年度チャンピオンだが今年は未勝利のウェイン・テイラー・レーシングが走らせるカー・ナンバー10のキャディー(リッキーの父ウェインがチーム・オーナーで、弟のジョーダンがドライバーの一人)は5位。セブリング・ウィナーのニッサンDPi(エクストリーム・スピード・モータースポーツ)は9、10位と今回は不発に終わった。



次戦はインディーカーとの併催。ペンスキーはインディーカーとのダブルウインをもくろむ Photo:LAT Images クリックして拡大
 次のレース=シリーズ第5戦はデトロイトのベル・アイルでの開催。インディカーシリーズとの併催で、決勝は土曜日。100分間のスプリントだ。タイトでバンピーな公園の道路を使ったコースでアキュラは速さを見せることができるだろうか。
 デトロイトといえばGMの御膝元。キャディラックは必勝体制で来る。しかし、イヴェント・プロモーターはロジャー・ペンスキー。アキュラDPiで土曜日に勝ち、シヴォレー・エンジン搭載のインディーカーで日曜日にも勝てたらペンスキーには最高の週末となるが……果たして……。

喜ぶカストロネヴェス「リッキーが見事なゴールを実現してくれた
リッキーと二人で新しい表彰のパフォーマンスを考えたいね」

 

若手を立てるベテランらしいドライビングでカストロネヴェスもインディー500に向けて5月を幸先よくスタート Photo:LAT Images クリックして拡大
 「レース序盤はチームメイトのデイン(・キャメロン)にプッシュされたが、レースは長いのだから……とマシンを労わり、燃費やラップタイムを予定した数字に保って走るよう心がけていた。そしてリッキー(・テイラー)に交代。その先は彼が素晴らしい仕事を冷静にこなした。クールでいることこそがスポーツカーのレースでは重要。私の方は心配でピットで爪を噛んでいたけれど、リッキーは本当に見事な形でのゴールを実現してくれた。アキュラに初勝利をもたらすことができた。とても光栄だし、このチームで走れることを誇りと感ずる」とエリオは喜んだ。そして、「今日もライバルたちとのバトルは熾烈だった。私たちは予選でスピードを見せて来ているが、レースになるとライバル勢に苦しめられて来ていた。彼らはまだ実力を隠しているのか、そうじゃないのかはわからない。しかし、私たちが全力を出し切ってもレースは激しいものになっていた。それが今日、ようやく予選での優位を保ってレースで勝つことができた。インディカーでは優勝した時にフェンスを登るのが私のトレードマークだったが、スポーツカーに移り、私は新しいレーシング・キャリアを始めたところ。自分だけの勝利ではないのだから、何かリッキーと二人でできる新しいことを考え出したいね。リッキーが一緒にフェンスに登りたいって言うなら、それもいいけど」とも話した。


 表彰式で待ち受けるカストロネヴェスに駆け寄るテイラー。歓喜の表情がほとばしる Photo:Scott R LePage/LAT Images クリックして拡大
 テイラーは大先輩を前に少々緊張気味で、「世界でもベストのチーム、世界でベストの自動車メーカーのドライバーとして戦っていることを改めて強く感じました」と言うのが初優勝に関するコメントだった。と言うのも彼は木曜日にはアキュラNSXが生産されている工場を訪れていたのだ。「あの美しいスポーツカーが作られているところをつぶさに見たことは、アキュラのレーシング・ドライバーであることを誇りとして強く感ずることのできる経験でした。そして、レースではチーム・ペンスキー、そしてロジャー・ペンスキーにスポーツカー復帰後初の勝利をもたらすことができました。エリオからトップでマシンを受け取った時には大きなプレッシャーを感じました。彼が素晴らしいドライビングでトップを守ってくれたのですから、その仕事に応えるだけの戦いを私も見せなければならないと強く感じたからでした」ともテイラーは語った。
以上

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