最後のリスタートでウィッケンスとの一騎打ちを制しニューガーデンが今シーズン初勝利 Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大 |
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最後に最速ラップを叩き出したニューガーデンの勝利
フェニックスでの250ラップ・バトルを制したのは、昨年度チャンピオンのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)だった。今日の最速ドライバーではなかった彼が勝利を手に入れた……との感想を最初は持ったが、最後のスティント、つまりは最も大事な局面で最速だったのがニューガーデン。フレッシュ・タイヤを武器にアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)、ジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、そしてロバート・ウィッケンズ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)をパスしたわけだが、タイヤによるアドバンテージがあっただけではなかった。トップに躍り出た直後のラップでニューガーデンは今日のレースでのファステスト・ラップを記録した。彼はちゃんと速かったのだ。そこへチームが的確な作戦でフレッシュ・タイヤを提供。勝利をたぐりよせた。
ニューガーデン、もはやペンスキーのポイントゲッターに
ニューガーデンの予選順位は7位。チームメイトふたりはシモン・パジェノーが予選2位で、ウィル・パワーは予選3位だったから、少々出遅れたとの感じを受けていた。しかし、レースでの先輩チームメイトたちはミスを冒して勝機を手放した。パジェノーはピットでホイールをロックさせてクルーをヒットし、ペナルティで1周遅れに。そこから粘り強く戦ってトップと同一周回でゴールはしたが、順位は10位までの挽回が精一杯だった。勝てていたレースを落とした印象だ。
パワーは最初のピットストップで難なくトップに立ちながら、124周目、周回遅れを取り戻そうと激走していたロッシにパスされた直後、ラインから外れて壁にヒットした。別にロッシが危険な走りをしていたわけじゃない。パワーが勝手に飛んでっちゃった風だった。チャンピオンになった頃の貪欲さ、図太さ、迫力……といったものが近頃のパワーには感じられない。若いチームメイトにやられっ放しでいいのか??
ということで、今年のチーム・ペンスキーは3台体制だけれども、一番若いニューガーデンが今や最も手堅く仕事をやり遂げるドライバーになっているとさえ思ってしまう。予選で多少遅い時でも、決勝で結果を出すのが彼だから。結局、自身とチームの今季初勝利を第2戦で早くも挙げたニューガーデンは、ポイント争いでもトップに立った。2年連続タイトルに着々って感じだ。
「今日の勝利はチームの力によるもの。作戦は完璧だった」
チームクルーに祝福されるニューガーデン。最後のイエローコーションでピットイン、4輪ニュータイヤを選択したチームのレースタクティクスとニューガーデンの勝負強さが見事に噛み合っての優勝だった Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大 |
ウィッケンズ、初のオーバルで価値ある2位
開幕戦でインディーカー初出場でのポール・トゥー・ウィンを逃したウィッケンズは、初のオーバルレースとなったこのフェニックスでも快走。スバ抜けたポテンシャルを見せつけた Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大 |
ロッシ、ミスを跳ね返す強烈な追い上げで3位に
ペナルティでほぼ最後尾まで順位を下げながら驚異的な追い上げで3位まで浮上したロッシをマイケル・アンドレッティが祝福する Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大 |
開幕戦で遺恨を残したかに思われたウィッケンズとロッシ。フェニックスでも接近したポジションを走ったが今回はロッシが2位のウィッケンズにレース後駆け寄って祝福していた Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大 |
佐藤琢磨、マシンセッティングに苦しみ11位に
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は予選13位、決勝11位という結果に。どちらもキャリア・ベストだけれど、今年の琢磨はそんなレベルでの戦いをするつもりはなかった。予選ではポールポジションを争い、レースは常に上位にポジションを保ち続けて優勝争いを行う……との期待に胸を膨らませてフェニックスに乗り込んだ。
しかし、最初のプラクティスで発覚したマシン・セッティングの悪さを、最後まで修正し切れずに週末を終えねばならなかった。予選前のプラクティスは1回しかなく、路面ができ上がるのを待っての走行となっていたこともセッティングが合っていない事実の発見を遅らせ、対処に充てるべき時間を少なくしてしまった。
「テストで良かっただけに変更がしにくかったという面はあると思う」とレース後に琢磨は自分たちが置かれた状況を振り返っていた。テスト最速だった彼らは、コンディションが変わっても十分に対応が可能と考えていたが、予想外に高温の影響は大きかった。
「トラック・ポジションが重要なレースだったが、スティントを長くしてポジションをロスし、最後のピットストップも入らないのが正解だったかもしれない。今になってからだから言えることだけれど……」と琢磨は厳しいレースとなった事情を話した。開幕戦セントピーターズバーグと同じで、セッティングで後手に回ったことが作戦でも誤った方を選ばせる悪循環を作り出していたのだ。ボビー・レイホール、及び彼のチームの作戦力には定評があるが、今年の開幕2戦ではそれがまだ発揮されていない。チームメイトのグレアムは予選、決勝ともにひとつずつ琢磨の前の順位だった。どちらも同じように苦戦をしていたのだ。
以上
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